タイ巡礼、そして茶旅2017(6)チケット売切れでも行くカンペッペ

7月16日(日)
カンペッペへ向かうが

翌朝、ホテルで朝食を食べて、迎えを待った。近いのだが一応バスターミナルまで送ってくれるというのだ。バスの出発時間も分っているので問題はなかったが、見送りに来てくれるという心が嬉しい。ターミナルで涙のお別れとなる。次はいつ会えるかな。

 

一昨日確認したブースで11時のカンペッペ行きのチケットを買おうとしたら、何と売り切れだという。次は午後までないらしい。一昨日買おうとしたら当日しか買えないと言われたのだが、こうなると言葉が通じないのでお手上げだ。出だしで躓いた。ただこのような経験は何度もあるので、ターミナル内で聞き込みをしてみた。すると、ここからソンテウに乗って、町のバスターミナルへ行き、バスを乗り継げば行けることが分かった。面白そうなのでそのままソンテウで街へ行く。

 

ついにメーソットの街にやって来た。やはり一度は見ておかないと。ただ確かに何もない。バスターミナルというより、市場の横にバスが来るといった感じだが、一応チケット売り場があり、そのおじさんは英語を話し、ちゃんとしていたので安心。ロットゥに乗り込み、一路タークを目指す。

 

タークまで約2時間、所々山道はあるが比較的平たんな道を走っていく。席がちょっと狭くて窮屈、しかも意外と乗り降りがあり、私は席を立ったり座ったりと忙しい。まあでも僅か69バーツ。十分に我慢できる。タークは交通の分岐点、ここも見ておきたかったが、まずは目的地を目指す。カンペッペ行きのソンテウはすぐに見つかり、50バーツ払って出発した。

 

ロットゥは密室で窮屈だが、空いているソンテウは快適だ。特に天気が良い日は、風がとても気持ち良い。そしてどうやらロットゥにはスピード制限があるようだが、ソンテウにはないのか、速いのも魅力的。平らない国道、車も殆ど走っていないので、ビュンビュン飛ばしていく。気持ちいい!午後1時過ぎにソンテウはカンペッペのバスターミナルに入った。元々乗る予定のバスと同じぐらいの時間で到着したことになる。

 

3. カンペッペ
古いホテルは狙い目

バスターミナルはちょっと郊外にあるらしい。歩いて街に行けるのかよくわからないので、バイタクに乗ることにした。吹っ掛けられるかと思ったが、リーズナブルだった。目的地はよくわからないので、取り敢えずガイドブックにあった『ホテル ペ』と言ってみた。橋を越えて街に入り、意外と距離があってペホテルに到着した。

 

ここは昔街一番のホテルだったらしい。名前からして想像できる。結構立派な作りになっている。取り敢えずフロントで聞いてみると『1泊1300バーツの部屋が700バーツだよ』というではないか。しかも朝食まで付いている。更にはスタンダードな部屋なら何と500バーツだことが分かり、そこに泊まることにした。いくらなんでも安過ぎるのではないだろうか。

 

部屋は古びていたが、ネットも繋がるし、ホットシャワーも出る。何より部屋が広い。環境としては悪くない。更にはフロントのおばさんはそこそこ英語も出来て、とても親切で有り難い。このような昔のいいホテルが古びてかなり安く泊まれることを知ったのは幸運だ。これからの旅、狙いは昔の一流ホテルで行こう。

 

もう午後2時頃だが、腹が減ったので外へ出た。さすがに日差しが強くて、あまり歩く気にはなれない。すぐ近くに麺屋があり、うまそうだったので店頭でオーダーして中に入った。店主は髪を後ろで束ねた男性で一風変わっていた。店の中を見てびっくり。まるで骨董屋かと思うほど、古いビールやウイスキー、コーラのビンが飾られていた。反対側に何と仮面ライダーのフィギャーがいくつもあった。これはもうオタクの域を超えている。全て店主のコレクションらしい。食べ終わるとその横の市場でTシャツを2枚買う。

 

夕方までゆっくりと休んだ。暑い時は昼寝して、涼しくなったら行動する。地元のタイ人の行動様式を真似てみる。普通の観光客には時間がないが、私にはたっぷり余裕がある。今回の旅の一つの目的、それは『ゆとり』そして『茶以外の旅』だ。原則1つの街には2泊して、毎日移動しない、出来るだけゆっくりと街を回ることにしていた。

 

暗くなる前に宿を出て街の散歩を始めた。フロントでもらった地図はタイ語であり、よくわからないが、お寺の位置ぐらいは分かるので、そちらへ歩いて行く。お寺は大きかったが6時を過ぎており、本堂は閉まっていた。タイのお寺は境内にはいつでも入れるが、仏像を拝むのは午後6時までと学ぶ。

 

更に歩いて行こうとすると突然雨が降り出す。急いでホテルへ引き返すも、ちょっと腹が減り、食べ物はないかと市場へ紛れ込む。ただ市場も雨で店仕舞いが多く、食べるところがなかなか見つからない。すると一軒、鶏肉をつるした屋台があった。ここで鶏肉を買って部屋で食べようかと立ち寄ると、何と後ろに食べるスペースがあった。

 

雨も小ぶりで助かった。カオマンガイを運んできた少女が、なぜかとても嬉しそうな顔をしていた。屋台は父親がやっており、幼い弟がいる。今日は雨で商売はあがったり、鶏肉も売れ残って、と思っているところへ一人でもお客が来たのが嬉しかったのだろう。そんな顔を見ているとなぜか『きっとこの子には母親はいないんだろうな』と思ってしまった。笑顔の中にほんの少し影が見えるのだ。何と言うこともなく、寂しい気分になって、ホテルへ帰った。

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