鉈先生と行く雲南ラオス茨の道2016(11)丁家塞 漢族が作る茶畑

 4月13日(水)
8. 張家湾

今朝もよい目覚めだった。意外だったのは鉈先生が二日酔いもなく?起きてきたことだった。お酒に強いとは思われないし、昨晩の感じではとても起き上がれないと思っていたのだが、さすが鉈先生!今日は早々にこの宿をチェックアウトして、朝ご飯を食べに行く。朝早くから建物の建設工事が行われている。水かけ祭り前の追い込みだろうか。鉈先生はお粥が食べたかっただろうが、残念ながら、朝ご飯はきしめんのような麺だった。ラオスとは麺もスープも少し違っている。

 

車で10分ぐらい行ったところに、『易武 中国貢茶第一鎮』と観光用に書かれたゲートがある。ここが易武の入り口なのだろうか。記念写真を撮るために停まったと思っていたのだが、実は昨晩一緒だった西双版納在住者を待っていた。今日も一緒に行動するらしい。どこへ行くのだろうか?

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合流してから、2台の車で山道を進んでいたが、30分ぐらい行ったところで、突然前の車が停まった。何事かと思って前を見ると、車と車の間から、横に倒れ掛かっているトラックが目に入る。こりゃ大変だ。他の車の運転手たちも駆け寄っていったが、完全に道は塞がれてしまっていた。相談の結果、この道を戻って、他のところへ行くことになる。元々どこへ行くつもりで、これをどこへ変更したのか、全く分からないが、ただただ車に揺られていくだけだ。旅にハプニングはつきものだ。

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そして30分ぐらいで着いたところは、張家湾と書かれた山間の村だった。ここは一体どこなんだろうか?何とそこは清代に入植した漢族が住む村だった。古い家が並ぶ村の中では茶作りが行われている。雲南山中の茶作りは基本的に少数民族がやっているとばかり思っていたが、ここは歴史からして違う。ただよくよく聞いてみると、ここに住み始めたのは最近で、元はもっと山奥の茶産地のところで暮らしていたらしい。ある意味で『こんなところに漢族がなぜ?』という番組のような疑問が沸々とわいてくる。

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王さんの知り合いの家に入る。家族が総出で出迎えてくれる。というか、日本人が来たというので珍しかったのだろう。庭先でたちまち出来立ての茶が振る舞われる。昨晩落水洞に居たおじさんも一人着いてきていた。きっと彼の導きでここに来たのだろう。何ともすごいネットワークだった。

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そしてそこからまた車に乗った。山道を30分ほど行くと、茶畑が見えてきた。昔彼らが住んでいた丁家塞という場所だという。当たり前だが周囲には本当に何もない。僅かに茶工場があり、民家が少し残っているだけだった。250年以上前、本当にここに漢族が入植したのだろうか。とんでもないところへ来てしまった、と思ったはずだ。いや、漢族と言っても茶作りの技術を持っていたのであれば、恐らくは雲南の他の山間部から移住したので、驚きはなかったかもしれない。

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案内してくれた男性は言う。『我々の祖先は清の乾隆帝の命を受けて、ここに入植し、皇帝に茶を献上したのだ』と。そんな歴史がここにはあるのだろうか。易武が栄えたのは清代、それも乾隆帝以降だと思われるが、そこにはどんなドラマがあったのだろうか。そしてその後廃れていったこの地域が復活してきた様子も知りたいところだが、知るすべがない。ここに居ても何も見えては来ない。

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茶畑を見ると、なんとも不思議だ。植え方もまだらで整ってはいない。株ごとにぼこぼこと生えている。品種もばらばら、とても多くの種類が混在しており、同じものを摘んで集めるのは無理があるように思うほどだ。茶摘み自身も大変そうだ。ミャンマーの山の中で見た光景に似ていた。農薬とか化学肥料とかいう言葉とは無縁の世界が広がっている。エコ、という言葉も空虚に聞こえる。

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なぜこんなことが起こっているのだろうか。説明によれば、特に茶畑を管理していなかったから、というが、勿論昔から生えているわけではないだろうから、何か理由はあるはずだ。そんなことがとても気になる。歴史を紐解くヒントにでもなるだろうか、とつい思ってしまう自分がいる。いずれにしても、あの事故がなかったら、ここへ来ることはなかったのだから、これもやはりご縁、茶縁なのだろう。

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昼ご飯は街道沿いのレストランへ。横に川が流れているのは、茶産地のお約束。地元料理が並んでいる。茶も淹れられる。少し雨が降り出したが、また皆が集まってきて、楽しく食べる。さすがに昼間のこと、酒は断った。野菜が新鮮でおいしかった。食後は鉈先生が持ち込んだ、日本の高級手もみ茶を振る舞う。が、殆どの人は一口飲んで去って行ってしまった。やはり口には合わないのだろうか。皆元の席に戻り、自分たちの茶をすすっている。そしてここで皆さんとお別れして、ついに西双版納に戻ることになった。

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