突然行く台湾北部茶旅2015(7)桃園 台湾の将来は

そして27歳で実家の茶業に入ったという。林さんは7人兄弟の末っ子で、年齢も離れているらしい。それでも父親は甘やかすことなく、厳しく仕込まれ、自分で作った茶を売って給料にする、という状況だったらしい。これによりたんに茶を作るだけではなく、如何に売るかを身につけたようで、最近ようやく余裕が出てきたとか。それもまたすごい。林さんの茶園で作られる東方美人を味わった。紅茶もなかなか良い。ここも客家の血なのだろうか。

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車で茶畑を見学に行く。桃園はその昔、日本時代には一面茶畑だったらしいが、その後衰退し、空港や港に近いことから工場や倉庫が多く作られた。更には最近の不動産ブームで、この辺も開発対象になり、農地はどんどん減っていっているらしい。実際農地を見ることは少なかった。林さんの茶畑はその中で結構広い。敢えて広い土地を確保して、機械化を進めているというのだ。乗用機に乗ったスタッフが、茶園管理作業をしていた。こんな光景は台湾ではあまり見たことがない。

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この付近の茶農家も高齢化しており、後継者がいないところも多い。その様な茶畑の管理を依頼されることも増えてきているが、広い面積が取れる、土壌が良いなど条件が合うものを引き受け、畑を広げているらしい。そうやって確保した土地で従来の手法から脱却し、機械化により効率的に運営していく、それが林さんの考え方である。彼はこの考え方を全台湾に広めるため、走り回っているらしい。確かに標高の高い山のお茶ばかり珍重していても限界があり、今後の台湾茶業を考える上では、林さんのような人が必要であるかと思う。政府も支援する方向らしい。

 

昼時になり、車でランチに連れて行ってもらう。田舎の食堂で客家板條を食べてみる。板條は以前、東方美人の里と言われている北埔で食べたことがある。この辺りには客家が多い訳ではないようだが、かなり美味しかった。台湾は本当に簡単に食べるご飯が美味い!これは大変ありがたいことだ。魯肉飯も大盛りで美味そうだった。

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本当はもう一軒行くつもりだったのだが、あまりに興味深いので、午後も林さんと過ごす。茶畑を見て、話を聞いた後に工場を眺めてみると、面白い機械が色々とある。中には彼が自ら作ったものもあり、さすが機械科出身だと思う。日本の製茶機械メーカーとも日本語で直接やり取りし、機械自体にも詳しく、輸入にも慣れている、こんな人どう見ていないよな。まさに適役だと思う。

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かなりの時間を居座ってしまったが、帰ろうとすると最後にお父さんが登場した。84歳だというが、日本語も話し、かなり元気だ。茶業は既に引退して、息子に譲ったというが、実際はいまだ現役、かくしゃくとして、茶作りを行っているらしい。実はこのお父さんが、台湾で東方美人を作らせれば3本の指に入ると言われる、今風に言えばレジェンドだったのだ。

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帰りは夕方になってしまい、道が混んでいるということで、来た時とは違う駅まで送ってもらった。かなり台北市内に近い場所だったので、Iさんには迷惑を掛けてしまったが、何とも楽しい茶旅だった。この駅は蘆州という名前で、4号線の終点だった。ここは丁度マンション建設ラッシュだったが、一体いくらするのだろうか。この辺なら一般サラリーマンが家を買えるのだろうか。

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そごうにて

一端宿に戻り、夜は台湾人のSさん夫妻と食事をするため、そごうに向かった。台北のそごう、懐かしい。27年前、私がここに住んでいた時、すでにあったデパート。当時はここに来ると何となく落ち着いた。日本人の知り合いともここで出会うことが多かった。ネットで見る限り、太平洋グループとして、現在台北に4店舗、台湾全土で8店舗を展開しているらしい。だが今や台北にも高島屋や三越など日系デパートは沢山あるし、わざわざそごうに行く必要はない。かなり長い間ご無沙汰していた。

 

地下鉄の忠孝復興駅で降りると、何とそごうが2つあることが分かる。私が昔行っていたところは今忠孝館と呼ばれており、その他に駅に直結した復興館があったのだ。はて、待ち合わせはどちらだったか。そこで初めてSさんのメッセージを見返して、復興館にあるレストランだと知る。危ない、危ない、また迷子になるところだった。スマホがあってよかった。レストランフロアーは、夕飯を食べに来た台湾人客で意外と込み合っていた。ロケーションが良いからだろうか。

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Sさんは前回知り合いから紹介してもらった女性で、台湾生まれだが、ニュージーランドで育ち、日本の大学にも留学し、仕事で香港や北京にも駐在した経験を持つ。台湾ではこんな経歴の人にも偶に遭遇する。今日はご主人も一緒に来てくれた。ご主人は台湾大学を卒業して、アメリカ留学。アメリカで仕事をした後、台湾に戻ってきたらしい。2人とも自分のビジネスをやっている。

 

話は台湾の総統選挙に及んだが、『我々中小企業経営者にはそれほど影響はない』という。大陸との商売があまりないせいかもしれない。それよりは『台湾の将来』について、今はその方向性が分からないという。但し、ある意味で『台湾にはいつも方向性などない』とも言っており、個々人が活路を切り開いていく、その結果として、台湾がある方向に動いていくのかもしれない、と感じられた。

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