下田紅茶旅2015(3) 下田散歩

既にあたりは暗くなっている。少し行くと川沿いに風情のある街並みが見えてきた。ペリーロードと呼ばれるその道は、了仙寺から下田公園まで約500m。平滑川をはさむ石畳の小道沿いには伊豆石造りの風情ある家並みが続いていた。ペリーが日米和親条約締結時に歩いた道だそうだが、今や観光スポットとして、復活している。ペリーは往時の下田を見て、どう思ったのだろうか。

 

そこから上り坂を行く。何だか闇夜のハイキングのようになってきたが、今更止める訳にも行かない。いくつかのホテルやペンションなどが見えたが、目指すホテルは高台の上にあることが分かり、愕然とした。喘ぎながら登っていく。これも私の茶旅なのだろうか。ようやくたどり着いたところは立派なホテル。

 

懇親会にも多くの参加者があった。乾杯のご発声は紅茶研究家の磯淵先生。明日は船上で紅茶を飲み、セミナーを行う、紅茶クルーズを開催するという。何故か下田芸者の踊りも披露される。この辺がご当地のPRなのだろうか。私はOさんに付いて、適当なテーブルに座る。Oさんのところには引っ切り無しに挨拶の人が来る。さすが地紅茶の第一人者だけのことはある。

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ビュッフェの食事を取りに行き、新鮮な刺身などを食べながら、同じテーブルの方々とお話をする。お隣のご夫婦は、愛媛県の山里で紅茶を作っているという。民宿もやっているので泊ることもできるらしい。反対側には長崎県の対馬で紅茶作りを始めた人もいた。本当に色々な場所で紅茶が作られていることを実感。同時に折角のご縁、一度はお訪ねしてみたいと思う。参加者の大半はここに泊まっているのだろう。

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食事が終わっても皆さん、話し続けている。この懇親会もメンバーオンリーなので、皆紅茶関係者だ。年に1度のこの機会、親睦を大いに深めている。私はそっと失礼して、夜道を駅前まで歩いて帰った。テレビでは丁度フィギャアスケート中継があり、浅田真央の復帰戦が映っていた。

 

11月29日(日)

松陰散歩

翌朝、この宿には朝ごはんがついていた。宿の別棟が居酒屋をやっており、朝食はそこで食べる。昨晩結構食べてしまったので、お腹はそれほど空いていなかったが、付いてみるものは食べる。昨日の女性が、焼き魚、目玉焼き、ご飯とみそ汁を持ってくる。お客は仕事で来ている人が多いようだ。1人ずつカウンターに並んで食べるのはちょっと面白い。

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散歩に出る、実にいい天気で気持ちが良い。海の方に向かって歩いていくと、黒船サスケハナ号が停留している。クルーズ船だ。その先を歩いていくと弁天島に着く。吉田松陰の碑・金子重之助の顕彰碑と弁天社がある。松陰はここから黒船への密航を試みたのだな、夜の海はさぞや暗かっただろうなと思うと、何となく胸が躍り、同時に切なくなる。

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アメリカ領事館が置かれた玉泉寺にも行ってみた。ハリスがここにいたのは僅か2年だったが、日本初の(牛の)屠殺場があり、牛乳の碑があるのが、何とも開港という言葉を感じさせる。また寺社内にはアメリカ人やロシア人の墓もある。ペリーの船に乗り込んで命を落とした人々の墓は立派だった。ロシア人の墓を探す前に団体が来たので、早々に立ち去る。三島神社には立派な松陰の像が建っていた。

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サミット会場の脇の宝福寺も覗いてみる。勝海舟と土佐の山内容堂がここで会見したとあるが、なぜか坂本龍馬の像が建っている。唐人お吉の墓もあるとかで、記念館も建っている。だがお吉は、間違ってハリスのもとへ行き、そのことで下田の住人からは相当冷たい仕打ちを受け、失意のうちに死んだと聞いた。それが芝居で有名になると持ち上げているとは、なんとも。歴史と商売、何でもありというのはどうなんだろうか。

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サミット2

サミット2日目。昨日回れなかったブースを回り、お茶を購入した。さしま紅茶のYさんからは、紅茶サミットなのに何故かちょっと渋い煎茶を購入。こういう味、求めていたんだよな、いずみ。牧之原のYさんの紅茶もなかなかの味。そして熊本のKさん、しっかりした紅茶を作っているなと感じる。来年サミットを主催する奈良月ヶ瀬のIさんのところも早々に訪ねてみたいと思った。

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10時からは、地紅茶の第一人者、すでに30年以上丸子で紅茶を作り続けている村松二六さんの講演があった。二六さんの丸子には既に9月に訪問していたが、その時は研修会でお話を聞くことが出来なかった。今日の講演は実務者として、その蓄積したノウハウを惜しげもなく、伝えていた。参加している茶農家にはとても参考になったであろう内容だった。

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私も茶農家の方から、これほど実践的な話を聞くのは初めてではないだろうか。様々な工夫を重ね、自ら機械を調整し、気候などに合わせて茶作りを行っている。そのぶれない姿勢は素晴らしい。紅茶作りを目指す皆で盛り上げて行こう、という感じが、30年のご苦労を物語っていた。

 

講演会で顔馴染のRさんに会い、彼女らともう一度ブースを回る。お茶の味やパッケージ、展示の仕方、女性の感覚は全く別なので大いに参考になる。そのままランチに行き、昼過ぎの電車で下田を後にした。

 

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