台湾南部ぶらり茶旅2015(19)台南 安平に行ってみる

Oさんたちとランチに行く。サバビーの美味しい店があるというので食べに行く。この食べ物、本当に気にいってしまった。店も繁盛しており、昼時でものすごく混んでいたが、何とか座席を確保した。地元の人ばかりだ。サバビーの肚、皮、身の三種類が入っているものを頼んでみる。皮はこりっとしている。腹は何とも柔らかい。まあ、全てにおいて味が良い。Oさんにご馳走になってしまった。開店直前に突然やってきた上に、大変申し訳ない。

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安平へ行く

宿の近くまで歩いて戻ってきた。暑い日だったが、宿で休んでいても仕方がないので、いままで行ったことがなかった安平へ行ってみようと思い立つ。聞くところによると、宿近く、赤崁楼の前からバスが出ているという。そのバス停へ行って、細かい字の時刻表を見てみたが、休日運行など多く、平日である今日、どれが来るのか、よく分からない。一生懸命理解したところでは、あと40分バスは来ないと判断された。さて、どうするのがよいのか。

 

実は私と一緒に時刻表を見ていた台湾の若い女性が二人いた。『バス、当分来ないね』と一言言ったところ、彼女らは直ぐに手を上げてタクシーを停めた。そして私にも助手席に乗れ、と合図する。相乗りはとても有難いので、慌てて乗り込む。運転手は行き先を言う前に『安平だろう』と笑っている。この時間、バスが来ないので、こういうお客が多いらしい。

 

彼女らは台北から来た観光客だった。運転手との間で軽快なトークを展開し、旅を楽しんでいた。運転手が『安平国中という中学校があそこにあるんだ。以前は校舎の上に高々と学校名を掲げていたが、最近外したんだ。何故だと思う?』答えは『台湾では漢字は右から左に書くことがある。するとこの学校名は「中国平安」になってしまうから、大陸観光客が喜んでいたが、台湾人からクレームがついて、学校側も撤去したのさ』と。みんな大笑いだ。若い女性と年配の運転手、日本ならこんな会話になるだろうか。面白い光景を見た。

 

20分ぐらいで安平に到着した。彼女らが下りるというので私も降りて、割り勘分の料金を払おうとすると、何と彼女らは『あなた、日本人でしょう。わざわざ日本から来てくれたのに、交通が不便で申し訳ありませんでした』というと、料金を支払い、さっさと行ってしまった。何と格好いい!思わずそう思ってしまうほど、鮮やかな所作だった。20代の日本人でこんなこと出来る人、いるんだろうか。

 

安平古堡、彼女らはそちらの方へ歩いていったので、私はその外を回ることにした。この街には17世紀のオランダ時代に城が築かれ、その後鄭成功がこの城を攻略、台湾における初の漢人政権ができるが、すぐに清朝政府が占拠。19世紀には貿易が盛んになり、1858年に天津条約で福建省のアモイなどが開港されると、商売を始めたイギリス、ドイツなどの貿易商人がここにも洋館を構えていたようだ。だがこれらも日本時代に徐々に廃止されていく。

 

今は運動場になっているイギリス領事館跡。日本時代も同盟国であったため、ここに残ったのだろう。その後関係が悪化し、撤退したものと思われる。徳記洋行跡は復元され、博物館になっている。その付近にはジャーディンマセソンなど、有名な貿易商も洋館を持っていたようだが、今は記念碑がポツンと建っているだけ。更に歩くと、ドイツの東興洋記跡があり、そこはカフェと展示館になっているようだった。

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その横には日式宿舎、と書かれた木造の建物がある。何かと見てみると、大正時代に後の昭和天皇が台南を訪問した際、宿泊した施設を復元したものらしい。最近の台湾は、旧懐日本ブーム。皇太子の台湾訪問に関連した場所も、大いにクローズアップされているようだ。

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安平古堡は以前確か紅毛城と呼ばれていたような気がする。ゼーランジア城とも言う。入場料を払い、中へ入ると大きな木の下にテーブルが出ていたので、アイスクリームを買って休む。その後ろが、昔の城壁がそのまま保存されており、記念写真を撮っている人々がいる。この城は鄭成功がオランダを駆逐した場所だが、その後はあまり使われなかったようだ。日本時代に荒廃していた城が整備されたとある。鄭成功はここでは「民族英雄」として位置付けられている。

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洋館もそれほど古い感じはない。中には歴史に関する展示があったが、鄭成功がオランダを破って台湾を回復したこと、最後まで大陸への復帰を目指したことが、台湾国民党にとっては都合の良い材料だったことだろう。だが現在はどうだろうか。ちょっと暑いがこののどかな古城を見ていると、複雑な気分になる。

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本当ならもっと歩き回り、あわよくば歩いて台南に帰る、というのも選択肢だったが、なぜかここでエネルギー切れとなる。やはり疲れが出ているのだろう。こういう時は素直にそれに従い、歩くのを止めて、帰ることにした。台湾好行のバス停に行くと、15分後に来ると表示がある。この15分、何もすることがなく、意外と長く感じられる。バスに乗り込むと、すぐに海が見えた。この海沿いを歩くと気持ちがよいだろうな、と思ったが、あっという間に市内に戻ってしまった。次回はもっとゆっくり安平の街を歩いて、何か美味しいものでも食べてみよう。

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