台湾南部ぶらり茶旅2015(16)台南の檳榔屋さん

7.台南

ゲストハウス

台南駅に降りたのは10年ぶりだろうか。駅を眺めているとそれほど大きく変わった様子はない。自動改札が出来たぐらいだろうか。台南にも21世紀になってから宿泊した記憶はない。確か半日グルメツアーで食い倒れをしたことがあったはずだが、それも遠い過去のこと、よく覚えていない。前回来た時は、街も何となく暗く、活気がなかったように感じた。隣近所、親戚が中国大陸へ移住した、という人が何人もいた。シャッター通りもあったような。

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荷物を引いて、街を歩いていく。古い、という点ではそれほど変わりはないが、それはどこでも駅前は開発に向かないからだろう。涼しかった鹿野から台南へ来ると、暑さが身に染みる。歩いて10分ほどの宿に着くまでに、相当の汗をかく。当然道は荷物を引くには適しておらず、アップダウンに苦しみ、バイクを避けながら、何とか進むので、その疲れが加わる。

 

その宿は、数人の知り合いから『台南に行ったら泊まってみて』と紹介されたものだった。大通りからはかなり入っているので分かり難いと聞いていたが、ちゃんと道順を示す地図が公開されていたので、その通り行くと意外と簡単に見つかった。確かにこんなところに宿があるとは普通は気が付かないだろう。予約していなかったら、他を探していたかもしれない。

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宿は民家の中に埋もれるようにして建っていた。季節はずれなのか空いていた。それでも高雄での経験を踏まえて、ドミトリーを避け、個室をお願いした。個室は3階、そしてトイレは1階にしかない(老人にはトイレが大切な要素だ)、という不便さを除けば、快適なところだった。2年半前に日本人オーナーが始めたこの宿。台南に来るバックパッカー、安宿志向の日本人にウケている日本人宿だった。

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檳榔屋へ

Bさんから、台南の知り合いを何人か紹介してもらっていた。FBでメッセージを送るとすぐに反応してくれたのが楊さんだった。まずは彼を訪ねてみようと、住所を見ると宿からそう遠くないので、何も考えずに歩き出した。『馬路楊檳榔會社社長』と言う肩書がFBには書いてあったが、一体どんな人物なのだろうか?ちょっと謎めいていて興味をそそられる。

 

言われた通りに歩いていくと、やがて看板が見えた。そしてその下へ行くと、楊さんと奥さんが檳榔を詰めていた。えー、本当に檳榔屋さんだったんだ?!それは面白い。以前はトラック運転手など、檳榔をかむ人が多かったが、今では相当減っているらしい。『昔は10人もの人を使っていたが、今は夫婦二人で十分だよ』と言いながら、盛んに手を動かしている。

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楊さんの周囲には写真が沢山貼られており、特に歌手の一青窈さんと一緒の写真が目に入る。すると『これが妙さんの本』と言って、1冊の本を取り出す。一青窈さんのお姉さんである一青妙さんの『私の台南』という題名で本である。一青姉妹は日台のハーフである。その中に楊さんのことが出てくるというのだ。この本がきっかけで、台南を訪れる日本人が次々と彼のもとにやってきている。写真を撮り、FBにアップし、台南の紹介、宣伝に一役買っている。私も一緒に写真を撮り、そしてノートにサインした。No.158という番号が振られた。

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楊さんと話している間、彼は何かとても忙しそうにスマホをいじっていた。聞いてみると、来月妙さんのイベントが台南であるため、その打ち合わせをしているらしい。彼女と直接、ラインでやり取りしている。何とも不思議な人物だが、これ以上邪魔するのも何なので、『この辺でうまい物はあるか』と聞いてみると、すぐそこの牛肉湯を食べろ、と勧めてくれた。

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腹が減っていたのでまだ5時台だったが、言われた通り牛肉湯の店を探して、入る。魯肉飯もいるか、と聞かれたので、追加注文した。牛肉麺は聞いたことがあるが牛肉湯?以前はそんなに流行っていたとは思えない。だが、一口すすってみると、これは牛のうま味が十分に出ていて実にうまい。さすが台湾食文化の聖地、台南人が美味いというのだから本物だ。

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さて、会計をしようと思い立ち上がると向こうから若者がやってきて、いきなり『会計は済ませましたよ』というではないか。一体誰なんだ?何と彼は楊さんの息子だった。『日本人がわざわざ訪ねてきたのに、お構いできなかったので、せめてものしるしだ』という。えー、これには驚き、急ぎ店に戻り、楊さんに礼を言った。勿論Bさんの紹介、ということが大きいとは思うのだが、このような扱いをされるとビックリするやら、何と言ってよいやら。楊さんは一言『美味かっただろう!』と言って笑っていた。こんな交流、日本で出来るかな?

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夜の散歩

それから台南の案内人である楊さんが教えてくれた、夜のライトアップがきれいな神農街へ行ってみた。楊さんの店からすぐのところにある、小さな道だったが、昔の建物が見事に残され、お店になっていた。観光客誘致に力を入れる台南、古き良き街のアピールが伝わってきた。

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