台湾南部ぶらり茶旅2015(12)鹿野 心地よい民宿

1時間弱乗っただろうか。鹿野のメイン、龍田村に入った。初めて来たらどこだかわからなかったかもしれないが、何しろ来たばかりなのですぐに分かる。実は昨日李さんが『鹿野に泊まるならここ』と言って、1軒の民宿を紹介してくれ、わざわざそこのオーナーに頼んでくれていたのだ。だがメインストリートのどこで下りたらいいのか分からなくなる。何だか歳だな。

 

心地よい民宿

運転手がここだ、というので、荷物を降ろした。そこはあの神社のある場所。やはりここが中心だ。隣には大きなホテルが1つだけあるが、あとは小さな民家が並んでいる。23-分歩いて戻ると、その民宿はあった。台湾の民宿というのは、日本的な安宿というイメージよりもむしろペンションなどに近い。ちょっとお洒落な宿ということである。この宿もヨーロッパ調の別荘風で、どう見ても民家である。庭もよく手入れされており、歩いていても気持ちが良い。看板すら出ていない。このような宿はフラッと来て、いきなり探せるものではない。

 

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1階にリビングがあり、畳の部屋まであった。台南から来た家族がそこに泊るという。私は2階の1室に案内される。そこも山小屋風で広々とした居心地が良さそうな部屋だった。どう考えても人の別荘に泊りに来た感覚。部屋に鍵もかからない。トイレとシャワーは部屋の外にあるのだが、2階の残り2部屋には誰も泊まっていないので、一人占めである。何だかツイている。

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そもそもここ鹿野は、高雄や台南よりかなり涼しい。高原の避暑地、と言ったイメージがぴったりの場所。疲れている体がこの地を欲していた。すぐに『2泊しよう』と心に決めて、奥さんに話した。ここにはドイツ人外交官が何度も泊りに来たらしい。良く分かるよ、その理由。

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少しゆっくりしていると、奥さんが『実は主人が台北に行ってしまったので、車がない。茶畑に連れて行けないので、知り合いを呼ぶから彼の車で行って』という。そんなことまでしてくれるか。それはやはり紹介者、李さんの影響力だろうが、いずれにしても親切この上ない。常に顧客の求めに応じようという姿勢が感じられる。因みに宿泊料金は1泊1部屋日本円で1万円を越えているが、友人の紹介ということ、一人ということで、半額以下にしてくれていた。

 

高台

ランドクルーザーが程なくやって来て、助手席に乗り込む。丘の上で茶園をやっているというのだ。道は山道を軽く上るとすぐに到着した。茶園が見えたが、その茶樹はまだかなり若かった。2年前に植えたばかりだという。ここ逸品茶園は、かなり前から茶園をやっているが、最近生産量を伸ばしているらしい。『自分が子供の頃はこの辺一面茶畑だったんだが』とオーナーは懐かしそうに語る。

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高台、ここはそういう地名になっている。『それは日本語ですよね?』と聞くと、逆に『高台は日本語なのか?』と聞き返される。これまで中国語で高台なる言葉を聞いたことは一度もない。そしてここは日本人が入植した村である。ほぼ間違いなく、これは日本語、日本人が村より高い場所を指して使った言葉だと確信した。今この村に住んでいる人々には、高台が日本語だという認識はないのだろう。

 

3つの建物が目の前に建っていた。1つは茶作りの作業場であり、倉庫である。ここでちょうど焙煎が行われており、彼は時々そちらを気にしていた。かなり大きなスペースであり、茶葉製造量も個人のベースとしては多いに違いない。真ん中には立派な自宅があり、奥さんと子供と住んでいる。

 

もう1つは店舗になっており、倉庫同様に天井が高い。観光で来た台湾人が時々寄っては茶を買って行くという。そこには奥さんが店番をしていたが、彼女は中国大陸から嫁に来たらしい。台湾では今、老茶ブームということで、ここにも陳年茶が置かれている。丁寧にお茶を淹れてもらった。

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忙しそうだったので、自分で高台の頂上へ行ってみる。観光バスも停まる。そこには大勢の観光客が来ており、眼下の景色を眺め、写真に納まっていた。向こうにも山が見える。ここ鹿野は山間の街。100年前にここにやってきた日本人はどんな思いだっただろうか。そして終戦で出て行く時はどうだったんだろうか。最近は台湾生まれで日本に帰国した『湾生』と呼ばれる人々が映画に取り上げられるなど、関心を集めているが、既にその多くが亡くなっている。鹿野にも偶に湾生が里帰り?していたようだが、今はそれも少ないだろう。

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もう少し行くと、少し高いところから草の広場へ、ハンググライダーをやっている広々とした場所があった。何とも気持ちよさそうに大空を飛んでくるのだが、高所恐怖症の私には縁のない遊びだ。何だか楽しんでいる人が多い。夕暮れ時に、空から皆が落下してくれる。下では子供たちが走り回る。近くにはキャンプ場もあったとても良い自然環境がそこにある。台湾に人々も都会生活に疲れ、このちょっと田舎で心と体を癒しているのだろう。

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