台湾南部ぶらり茶旅2015(11)台東 茶屋での出会い

ダンス鑑賞と大雨

芸文中心で行われたそのショーは、初めは原住民グループによる歌と楽器演奏で、数百人入る満員の聴衆、会場を大いに盛り上げていた。コンサートが始まった、という感覚だった。しかしその後のダンスは、ちょっと異様な感じだった。ダンス自体は非常に柔軟な、若者らしいきびきびした動きに圧倒され、中にちょっとコミカルな笑いを誘うものもあり、面白いものだったが、出演者の若者10人ほどが、学校の卒業式のように、一人ずつ練習での辛かった思い出を語り、中には感極まって、涙を流す子も出てきた。それを母親の様な気持ちで声援する大勢の女性たち。日本ならさながら若手ジャニーズのようなものであろうか。

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台北からわざわざ毎週ここまで通ってきて、辛い練習に励んだ者もいた。何度やっていてうまくいかず、挫けそうになった者もいた。それぞれが様々な事情を抱えた若者、それを乗り越えて、ここに立っていた。そしてこのメンバーでの最後の舞台、満員の観衆の前で見事に演技した。日本ならこのような舞台裏は見せないだろうが、台湾では全てを見せて、共感を呼び、観衆と一体化するということだろうか。良く分からない部分もあるが、これはこれでよいと思われた。

 

舞台は拍手の嵐でなかなか静まらなかった。ようやくお開きとなり、外へ出ると、何と先ほどまでは全く降っていなかった雨が激しく降っていた。傘の準備などしていない。お客さんは次々と車の方へ向かって小走りに行く。仕方がないので、ジャンパーを被り、走って帰った。途中でファミマがあったので寄ったが、小降りになったので菓子パンを買って帰る。ホテルに着くまでには濡れ鼠になってしまった。これにはどういう意味があるのだろう。

 

11月14日(土)

茶屋での出会い

翌朝はホテルでビュッフェの朝食をとったが、お粥などを少し食べただけで、あまり食欲がなかった。昨晩夕飯も食べていないのに、ちょっとおかしな状態だった。ネットはロビーでしか繋がらなかったので、食事をしながら、メールチェックなどを行い、返事を打つ。いいのか悪いのか、分からない台東滞在だった。駅前から鹿野行きのバスが出るのは分かっていたが、あまり早く行っても仕方がない。取り敢えず散歩に出る。昨晩の雨は嘘のようだ。

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適当に歩いていく。すると何となく名前を見たような気がするお茶屋があった。確か誰かに紹介されたはずだが、その紹介先を検索すると、住所が嘉義になっており、今回は縁がないと思っていたところだった。何故嘉義のお茶屋がここにあるの、などと考えても仕方がない。まずは入って聞いてみるしかない。まあ同じような名前のお茶屋もいくらでもあるだろうから。

 

ということで店に入ると常連らしいおじさんとおばさんが数人、土曜日のお茶会のようにお茶を飲んでいた。そこへ一見さんが飛び込んだのだ。何だろうという目で見られる。取り敢えず自己紹介して、嘉義の話をしたが、『何の話だ』という感じで要領を得ない。だが台湾のお茶の歴史が知りたい、という一言で、店のおばさんが『それならいい人がいるから呼んであげるよ』と電話を始めた。

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しばらくしてやって来たその人は、何と鹿野にある茶業改良場の場長さんだった。これには驚いた。彼は毎日台東から車で鹿野に通勤しており、今日は土曜日だから台東の家にいたのだという。何という偶然、いや必然。それからは鹿野のお茶の歴史、台湾東部の茶業について、紅烏龍のことなど聞きたいことをあらかた聞いた。その上で、月曜日に改良場を訪問してもよい、という返事をもらったのだ。これで鹿野に月曜日までいる必要性が出てきた。

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もっと話をしていたかったが、ホテルのチェックアウト時間が迫っており、残念ながらここから引き上げることに。ホテルの名前を聞いた客の一人が、ちゃんと車で送ってくれた。この辺が本当に親切だな、台湾人は。いつもながらに感心した。それにしても凄い引きだったな、このお茶屋さん。ここのお茶をゆっくり味わってはない。次回はオーナーがいる時に再訪したいものだ。

 6.鹿野

バスで

駅前でバスに乗る前に、昼ご飯を食べることにした。例のサバビーのお粥。ここにもあった。この魚、ちょっと蕩けるようでもあり、柔らかくて美味しい。スープがまた出汁が効いている。確かに流行るのも頷ける。台北では見たことがないので、南部の食べ物なのだろう。満足。台湾では刻々とうまい物が開発されて行き、そのレパートリーに付いていくのは大変だ。

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台東駅、とは言っても鉄道の駅は昨日下りたように、既に郊外に移転している。ここはかつての駅舎と線路をそのまま残している展示館に過ぎない。なぜここだけ郊外に移転したのだろうか。今はバスが発着しているだけである。関山行きのミニバスに乗り込む。少し街中を走って行くと、すぐに乗客で満員となる。昨日は車でスーッと来た道を今日はバスで止まりながらゆっくりと進む。

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