台湾南部ぶらり茶旅2015(10)鹿野の紅茶作りは

メインストリートには、日本時代を復元した区役所があったり、今も使われている学校の横に、校長先生の官舎が残されていたりと、僅かだが、日本を感じされるものがあった。だが何よりも、この道路が真っ直ぐなこと、区割りがしっかりしていることが、往時の日本の事業であることを物語っている。

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茶業については日本時代には全く行われていなかったようだ。ではいつからここでは茶が作られ始めたのか。それを知るため、我々は新元昌という紅茶屋さんがやっている、紅茶産業文化館に行ってみた。ここには観光バスが来ており、大勢の台湾人が紅茶を味わうだけではなく、紅茶作りの一部を体験していた。また摺こぎ棒で擂茶を作っている人達もいた。

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ここの3代目、温さんに少し話を聞いてみると『1966年頃、祖父が関西から移住して紅茶作りを始めた』というのだ。関西とは新竹方面にある地名で、主に客家が住み、今でもお茶作りが参加な場所。日本時代には確か紅茶を作って輸出もしていたと記憶している。なるほど、日本人が引き上げた後、空いた土地に客家が移り住み、その技術を使って紅茶を作ったということか。温さん一家はやはり客家であった。東方美人を作ったのも客家、何か因縁めいている。

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李登輝元総統もここを訪れ、茶業に力を入れ始める。1984年に茶業改良場の分室がここに設けられる。ただ紅茶は主力商品になり難かったので、様々な工夫がなされたらしい。その内紅茶ブームが訪れ、蜜香紅茶の製造が始まる。そして最近では紅烏龍という新しい商品も作られている。紅烏龍は紅茶なのか、それとも烏龍茶なのか?何とも不思議なネーミングである。

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紅茶から少し離れて、街道沿いへ。ここに鹿嘉農荘と書かれた店があった。李さんとここのオーナーとは以前から知り合いのようで、直ぐに招き入れられ、珈琲が振る舞われる。鹿嘉珈琲という名称で、この辺で栽培されているコーヒーを販売している。香りがとてもいい。そして味が濃厚。如何にもコーヒーという感じがする。それはこの自然な環境のせいだろうか。

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ご主人と奥さんの二人でやっている。コーヒー好きが転じて商売になってしまったらしい。コーヒーだけではなく、天然のハチミツも作っている。甘さが控えめで程よい。更にはお酢も製造しているというから驚きだ。このお酢、何年も熟成させており、かなり体にいいらしい。ようは本人が体に良くて、美味しい物を求めた結果、それが高じて、人に販売するまでになったということだろう。

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如何にも台湾の人らしい発想だ。また週末には、DIYとして、屋外でパンケーキを自分で焼いて、ハチミツを付け、珈琲と一緒に食べる企画なども行っている。これは子供たちが喜びそうだ。田舎に人を呼ぶための方策を色々と考えている。自然の中で出来ること、沢山あるんだな。

 

鹿野は気球が名物です、と言われて驚く。広々とした空間が道の脇にあった。気球乗り場である。何とさっきの紅茶文化館のメンバーも子供を連れてきていた。皆が気球を見ているが、今は実際に上に上げることはしていないようだ。それでもかなり大きな、ユーモラスなイラストが書かれた気球が膨らむだけで子供たちの目が輝く。高所恐怖症の私には無縁の乗りものではあるが、確かにこんな場所に合うかもしれない。

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民族博物館

車で台東に戻る。まず李さんが紹介してくれたホテルへ向かう。とてもきれいでこれまでとは全然違うタイプ。料金も1600元と、昨日よりかなり高いが、これもご縁。しかし何とWi-Fiが部屋で繋がらない。『これまでどんな安い宿でも繋がったWi-Fiがなぜ一番高い宿で繋がらないのか』などと言ってみても始まらない。宿のフロントもお手上げと言った感じで、真剣さはない。

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李さんの博物館では明日から新しい作品展が始まるというので、実は彼は相当に忙しかったはずだが、それを押して私に付き合ってくれていた。感謝。原住民で、ロンドン在住の画家が、絵の展示をあれこれ直していた。この博物館では、いわゆる原住民と呼ばれる人々の活動を支援している。

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Bさんと音楽で繋がりのあるホーさんとも偶然ここで出会った。彼女は台東郊外でゲストハウスをやり、音楽活動を支援しているらしい。李さんが突然『今晩ダンスショーがあるけど、見に行くか』と聞いてきた。良く分からないが、今晩は台東に泊まるので、行きたいと答えると、ホーさんがチケットをアレンジしてくれたらしい。既にこのチケットは完売しているという。

 

忙しそうな李さんと別れて、一度ホテルへ帰る。夕飯も一人で食べるように言われていたが、何となく腹も減らなかったので、そのまま時を過ごす。疲れていたので、少し横になる。そしてダンスの会場へと歩み出す。まずはチケットをゲットするため、博物館の保安室へ。ここにチケットが預けられている。警備員が丁寧に渡してくれた。何だか申し訳ない。途中に屋台街があったので、そこでご飯を食べればよかったのだが、何となく過ぎてしまう。

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