北限のお茶を訪ねて2015(8)真野御陵でおじいさんに拾われて

バスが2時なので、小木を散策した。木崎神社の横を歩いていくと港へ出た。どんな風でも入港が出来た小木港は天然の良港だったと書かれている。今は静かな漁港。フェリー乗り場は別の場所にある。こちらの方が今はメインだ。小木からは直江津にフェリーが運航している。元々はこの便で直江津に行き、そこから東京へ戻ろうかと考えていたのだが、直江津からのバスは新潟ほどなく、日程上の都合から、新潟に戻ることにしていた。

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真野

2時のバスに乗り、もう一つ訪ねようと思った場所、真野御陵へ向かった。適当にこの辺だろうと降りると、そこは佐渡歴史伝説館という場所。そこから歩いたが、なかなか着かない。更に道が上りになり、結構疲れる。途中に石抱きの梅、という梅の木があった。これも順徳上皇が植えたと伝えられる。この辺は、なぜか豪邸が多い。庭も太宗立派な家、この財はどこから来たのだろうか。ようやく真野御陵に着いた。当然中に入ることもできず、ただ何となく外から眺めるだけ。承久の乱に敗れて22年間、この地で過ごして亡くなった上皇はどんな気持ちだったか。今も決して賑やかな場所ではない。当時は本当に寂しいところだったであろう。

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さて来た道を戻るのは疲れるなと思い、国分寺へ抜ける道はないかと、土産物屋で聞いてみた。すると、『素人には無理ね』とにべもなく言われる。御陵の横の道を山沿いに行けるようだが、表示もなく道も険しい。諦めようと立ち去りかけると『おじさんに送ってもらいな』と。すると、そこで話していたおじさんが『乗りな』といって軽トラを指した。

 

先ほど苦労して登ってきた坂を軽トラは軽快に走っていく。この方、70代だが、トレールに昨日、今日と参加した帰りだった。合計で20数キロを歩いたらしい。『国分寺へ行くバスが出ているところへ連れて行ってほしい』というと、『そこまで送っていくよ』と言ってくれる。申し訳ないが、成り行きで行ってみる。すると、突然道から外れる。

 

『そこに佐渡金山の金を運ぶ中継場があった』と言って、坂を上った家を指す。藁ぶきの古びた家が残っていた。こんな所まで人足が担いで運んで来たんだな、そして小木の港までも運んだのだな、という実感が沸いてくる。この家はもう使われていない。横には新しい家が建ち、人が住んでいる。『いずれは取り壊されるよ、市の史跡にも指定されていないし』とおじさんが小声で言う。

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車は国分寺跡へ。そこは何もない場所だった。まあ奈良時代の遺跡が残っている方がおかしいとも言えるので、これが自然だ。その少し向こうに、お寺はあった。現在の国分寺の建立は江戸初期らしい。なかなか雰囲気の良い場所。おじさんが『五重塔も見るか』というのでそこまで運んでもらった。妙宣寺には五重塔が確かにあった。順徳上皇配流に同行して、その後出家した北面の武士が建立したらしい。日蓮が流されてきた時はその危機を救ったともある。五重塔は1827年の建立、非常に保存状態が良く、写真を撮りたくなる雰囲気がある。境内は相当に広く、大小様々な建物がある。承久の乱に続いて起きた、後醍醐天皇の討幕計画、日野資朝は佐渡に配流され、処刑されている。その墓もここにあった。

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宿まで送るというおじさんの好意を断り、この寺で時を過ごし、バスで戻ることに。ところがちょうどバスが行ってしまい、歩いてその辺を散策することに。そこにも日野資朝の息子の逸話あり、大膳神社というところに能舞台もあった。何とも佐渡は侮れない場所だ。更に歩いていこうとしたが、疲れてしまい、少し待ってバスに乗り込み、佐和田へ帰った。

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夜は日曜日のせいか、近所で開いている店がなく、やっと見つけた店も常連さん相手に開いているところ。皆が酒を飲む中で黙々とカツ丼を掻き込んですぐに帰る。なんかとてもアウエーな感じで困る。カツ丼は600円でとても安かったのだが、みそ汁が妙に熱かった。

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10月19日(月)

帰り道

翌朝はゆっくり起きて、8時台のバスに乗り、両津へ。バスにはお客が乗っていたが、その中に2人、外国人がいた。フィリピン人だと思われる。一人は陽気なフィリピーノであり、話声が大きくなると、もう一人がシーっとやる。日本に慣れている。一人は来たばかりの学生、一人は何らかの仕事をしているように見受けられた。佐渡にも外国人が住んでいるんだな、いや、ここは昔各地から流れ着いた人たちが住んだ場所なんだ、と思いを巡らす。

 

両津でカーフェリーに乗る。今回は床にごろ寝、と思っていたが、どうやら社会科見学らしい、中学生の一団が大勢乗り込んできて、占拠されてしまった。仕方なく、椅子席に座っていると、今度は中国人観光客が数人やって来て、比較的大きな声で中国語を話し始めた。佐渡にも中国人の個人旅行客が来る時代か。

 

昼前に新潟に着くと、まずはバスで駅へ行き、Yさんに言われた黒糖饅頭をお土産に買う。続いて、駅そばを食べる。一口かつが入ったうどんを注文。うーん、別々に食べてもよかったかも。そして先日下りたバス停へ向かい、バスに乗る。今日は乗客が結構多かった。若者が多いが、何をしに行くんだろうか。

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バスに乗り込むと今回モニター画面は付いていなかった。バスによって一定ではないようだ。そして行きと同じように3か所のSAに停まる。ところが東京に入るころから渋滞に巻き込まれる。到着予定時間を過ぎたがどこを走っているのか全く分からない。結局30分以上遅れたが、運転手からは一言も説明がなく、お詫びの言葉もなかった。普段首都圏の電車では2分遅れればお詫びばかりしているが、このバスの対応はある意味で徹底されている。安いんだから仕方がないでしょう、といった態度が潔い。でも移動する身としてお詫びは要らないので交通情報は欲しい。このバスは東京駅行きだった。急遽参加することになった飲み会に行くため、新宿駅に急いで向かったが、大遅刻してしまった。

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