京都茶旅2015(10) 大徳寺内のお茶屋さん

清水一芳園というそのお店は、大阪のお茶問屋が、京都に開いたお店だった。店主は息子さん、店内はかなり斬新な造りで、お茶も売っているが、茶器のスペースが意外と広い。そして喫茶スペースではカップルが、大きなパフェを頬張っている。Iさんはここに台湾茶が置かれているというので、興味を持ってきたようだ。台湾茶は店主のお父さんが、台湾との付き合いが深く、店主も台湾に修行に行ったことがあることから、売られているとのことだった。

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ただロケーションが繁華街ではなく、お客を呼ぶのは予想以上に大変で、ランチにマグロ丼を出すなど、色々と工夫を加えており、お茶からは少し離れて行っているようだ。日本の茶業についても、色々と意見交換をする。このようなカフェを交えた、直接お客さんの声が聞ける場所を通じて、茶問屋さんも、消費者ニーズを吸い取ってくれるとよいのではないか、と思う。

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帰りにお茶屋さんで教えてもらった、お店近くのイタリアンへ行く。お洒落な店内では女子会が行われており、男二人の我々はピザとパスタを食べて早々に引き上げる。バスを乗り継ぎ、金閣寺まではかなりの時間がかかる。北大路のバスターミナルが立派で驚く。京都はやはり広い。

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10月8日(木)

大徳寺

京都最後の朝もいい天気だった。今回は本当に天候に恵まれ、晴れ男の面目躍如。ISO茶房に荷物を置いて、大徳寺に向かう。これもIさん紹介のお茶屋さん、昨日行こうと思っていたら、お休みだった。京都は水曜休みが多いようだ。昨日買った1日バス券を今日も買い、使う。

 

大徳寺まではバス亭3つぐらいで直ぐに着いてしまう。お店は10時からといわれていたので、それまで大徳寺を散策。このお寺は有名だが、来るのは初めてだ。大徳寺は臨済宗の大本山。1315年の創建、応仁の乱で荒廃した寺を一休さんが再興したという。侘び茶を創始した村田珠光など東山文化を担う人たちが一休に参禅以来、茶の湯の世界とも縁が深く、武野紹鴎・千利休・小堀遠州をはじめ多くの茶人と深く関係した寺となっている。秀吉が信長の葬儀を行った場所でもあり、山門の2階に自分の像を安置した利休が切腹となったのは有名な話だ。

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寺院内にはいくつもお寺があり、その庭が素晴らしい。木々が静かに佇んでおり、歴史を感じさせる。早朝で観光客の姿もなく、ゆっくり散策すると、何もしていないのに、妙に気持ちが落ち着てくるから不思議だ。ボーっと歩いていくと寺の外へ出てしまう。そこにもまた狐篷庵という非公開の場所があった。小堀遠州の建立。狐篷という文字に惹かれる。隣には高校があるのだが、全体的に実に静か。

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この寺の敷地内に、お茶屋さんがあるのだが、気づかずに通り過ぎてしまう人も多いかもしれない。そのお店、皐盧庵はひっそりと建っていた。中に入ると、玄関脇でお茶を売っている。店主KさんにIさんの紹介だと告げ、上げてもらう。畳の部屋が3つあった。その向こうに中庭が見える。何とも雰囲気の良い、京都を感じさせる作りとなっていた。

 

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Kさんはまだ若い。10数年前に宇治田原でお茶作りを始めたが、作ったお茶がどこに売られていくのか分からないことに疑問を持ち、お茶の販売を開始、4年前にはここに店を構えるまでになった。日本の茶農家はお茶を作るだけ、というのが主流。最近は農家自身が販売を手掛ける例は多くなってきたが、Kさんはさらに一歩進んで、自らの手でお茶を淹れ,お客さんに出すところまで来てしまった。普通はお茶淹れには他の従業員を雇うだろうが、彼は一人でやっていた。これはある意味で画期的ではないだろうか。

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お客は最大3組まで、部屋ごとに対応する。炭火でお湯を沸かして、ゆっくりお茶を淹れる。メニューを見ると高級な抹茶もあるが、1000円程度で楽しめる煎茶もある。お菓子も最中などの他、大徳寺納豆が小さなお皿に置かれており、実に楽しい。大徳寺納豆は麹菌を使って発酵させ、乾燥後に熟成させたもの。小さい粒のようになっており塩辛い。こちらが本来の納豆であり、現在我々が思う納豆は室町以降、納豆菌を使って作るのだそうだ。Kさんとお茶作りや喫茶の話しをしていたら、あっという間に時間が過ぎた。慌てて帰る。

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最後はタイ料理

ISO茶房で荷物を受け取り、これまでの礼を言い、バスで京都駅へ向かった。午後の新幹線に乗る前に、駅付近で食事をする予定になっていた。バンコックで出会ったKさんは、タイ料理を習っており、バイトでタイ料理屋でも働いている。彼女はバンコックで出会った人たちの中でも、何となく印象に残っている人だったので、連絡してみたところ、わざわざ出てきてくれた。

 

京都駅から10分ぐらい歩いたところにあるタイ料理屋さんに向かった。川の横にお店があった。店内はほぼ満員で、何とか席を確保した。タイ人が料理を作っており、人気があるようだった。パッタイとカレーのセットを頼み、シェアして食べたが、久しぶりのせいか、なかなかうまい。

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Kさんとはタイの話で盛り上がる。今や日本にもタイ料理屋がどんどんできており、一種のブームのように見える。東京でもランチにタイ料理、というケースが増えていた。だが、あのバンコックの屋台で食べるB級の麺、チープなカオマンガイなどには当然お目にかかれない。タイが少し懐かしくなる。既に2か月以上離れていた。

 

また話し込んでいると、時間がどんどん迫ってくる。ぷらっとこだまは遅刻を許さないため、急いで駅に戻る。何とかホームに駆け込み、電車に乗り込んだ。今回の京都の旅を振り返りながら、4時間の新幹線旅を楽しんだ。

 

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