ダラダラ佐賀まで茶旅2015(2)伊勢 赤福のお茶

9月11日(金)

朝から伊勢神宮参拝

到着したバス停は何と伊勢神宮の外宮のすぐ前にあった。夜半新宿からバスに乗ると朝一番で伊勢神宮を参拝できる、これは何とも素晴らしい旅のルートではないだろうか。天気も快晴で、朝日が気持ち良い。夜行バスに揺られた気怠さは直ぐに吹き飛んでいった。地元の人が朝早くから参拝に訪れている外宮。大きな木の脇の橋を渡り、高い並木の道をゆく。

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20年に一度遷都される神宮。元の場所はきれいに更地になっており、近くに新しい宮ができている。この循環には色々な歴史があると思うが、職人を絶やさない、材料を定期的に切り出すなど、伝統を継承するためには、適当な期間が必要であることを示しているのではないかと思う。常に新たな気持ちで臨む、そこにはとても日本らしい涼やかさが感じられる。

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多賀宮という別宮へ上っていく。地元以外の人はあまり来ない、人が少ない場所だと聞いたが、太い木の後ろにシンプルな宮が建っていた。本来神社とは、飾り気のない、華美ではない、小さな木造の建物が合っている。朝早くからこのような場所を参拝できるのは、何とも幸せな気分だ。外宮を出てもまだ時間は8時前だった。最高の気分で一日がスタート。

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それから朝食を頂き、車で内宮へ向かう。実は伊勢神宮に来たのは実に18年ぶり。前回は会社の後輩の結婚式で名古屋に来たついでに、賢島に1泊して翌日参拝した。あの時どんな気持ちだったか、どうにも思い出せないが、今とはだいぶん違った景色を見ていたことだろう。

 

天気は本当に素晴らしい、秋晴れになってきた。Kさんも『こんないい天気は最近見たことがない』というほどだった。2日前には台風が通過し、一時はこの度自体がどうなることかと危惧していたが、台風一過、ともまた違う、鮮やかな天気に驚く。駐車場には既に観光バスが停まっている。そこから出て、橋を渡る。20年に一度の遷都の際は、山から木が切り出され、この川を流されてくるという。橋を越えると、整えられた樹木の庭、そして中へと続いていく。

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並木道を大勢の人が歩いていく。よく見ると中国人の団体だった。上海から来たというが、上海語を話していない。上海付近のどこからか来たのだろう。彼らは盛んに写真を撮っている。このような荘厳な雰囲気は、中国でもあまりお目にかかれない。本殿に上がると、ちょうどどこかの企業のエライさんが、祈祷を受けていた。何度も頭を下げるその仕草が新鮮に見えるのか、中国人達も真似をしたりしている。

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隣に立っていたおばさんに聞いてみると『中国でもお寺はあるが神社はない。やはり日本的と思えるのは神社でしょう。そして厳粛な雰囲気の中で、何をしているのかは分からないけれど、神主さんとお客さんが無言で頭を下げ合う風景、これぞ日本だと感じる』のだそうだ。まだまだ少ない中国人観光客だが、これから増えてくるのかもしれない。因みに神社のお守りに興味を示す若者もいた。お守りではなく、お土産として買って行く人もいる。

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神宮に向かう参道はとてもきれいに整備されており、統一感があった。両側に商店が並んでおり、土産物屋や食堂が立ち並ぶ。『伊勢茶』という表現が随所に見られ、土産物として売られている。しかしその価格は正直かなり安い。知名度の問題なのだろうか、味の問題なのか。『詰め放題』などと書かれたコーナーさえあり、お茶が無造作に箱に入れられている。

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伊勢といえば赤福だろう。今年3月、和歌山からの帰りにサービスエリアで赤福の店に行き、ぜんざいを食べたのを思い出す。店先ではお茶を軽く焙じているのか、いい香りが漂ってくる。店の中に入ると、大きな釜もある。古い佇まいであり、縁側からは川が見え、いい眺めになっている。畳の部屋の隅に寝転ぶお客までいる。Kさんがお餅を頼んでくれ、お茶と一緒に出てきた。何ともいい雰囲気の中、甘い餅を頂き、ゆったりとしてお茶を味わう。

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このお茶はどこから来たのだろうか。縁側から外へ出ると美しい庭がある。まるで料亭のようだ。その裏にはちょっとした展示館があった。その中にも『伊勢茶』という表現があったが、元々は亀山、飯南、渡会などに茶産地があったと書かれている。平安時代に僧侶が茶を植えたとある。そして伊勢商人によって全国に運ばれたというのだが。そこにいたおじさんに聞いてみると『昔は赤福の茶は渡会だったが、今はどうだろうか』との答えだった。それは暗に、現在のお茶は違うところから来ていると言っているように聞こえたのだが。さて?

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表に戻ると、さっきの中国人が『赤福氷』なる物を食べていた。かき氷に甘い餅を入れたものだろうか。暑くなってきた最中、美味しいと言いながら、啜っている。これが500円だとして、彼らにとっては25人民元、日本は安いと感じるのも無理はないのかもしれない。食べ終わると、みな楽しそうにバスに乗り込み、次の目的地、奈良に向かっていった。ここは名古屋にも奈良にも行ける。

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我々も神宮を離れ、松坂市の方面へ向かった。Kさんのオフィスは松坂にあり、まずはそこを訪問。その後、お昼をご馳走になり、いよいよ茶畑のある場所へ行くことになる。夜行バスの疲れも『茶』と聞くと吹き飛ぶから、自分でも面白い。

 

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