ミャンマー紀行2005(17)マンダレー 日本人慰霊碑とレストラン

何とその場所は別の階段を下りたところにあった。その階段は正面から登っている人々のためにある。当然参道には両側びっしりと土産物屋が並ぶ。しかしお客がそれ程いないこともあり、皆寝転んでいる。階段を下りるのは結構きつい。途中で右に入る。すると外の一角に碑が見えた。我々が近寄っていくと、いきなり子どもが出てきた。急いで掃除を始める。また女性がやってきて花が渡される。また線香も出てくる。一体これは何だ?何かのショーを見ているようだ。

Myanmar2005b 123m

 

どうやらこれは一家で墓守をしているらしい。ちょっとワザとらしくて残念ではあるが、墓を守ってくれるのは日本人としては有り難い。日本人がお参りに来て、彼らに寸志をあげ、彼らはそれで墓を守る。そんな循環が出来上がっている。何だか古代日本のようで、面白い。

 

Myanmar2005b 124m 

正面に『緬甸方面被我戦没諸精霊』と書かれた白い碑の前で少年が裸足で箒を使っている。掃除が終わると花が捧げられ、線香が焚かれる。準備が整うと、『どうぞ』といった感じで私が招かれる。確かに主人公は私である。日本式に立ったまま深々とお辞儀をした。横には『ミャンマーで戦没された日本・ミャンマー・英国全ての人々が安らかに・・・』と書かれている。南太平洋友好協会という団体の名前が入っている。どうやら日本人のためだけではない慰霊碑であるらしい。配慮が伺える。碑の近くには古びた良い形の木が植えられている。向こうには白いパゴダが見える。雰囲気の良い一角である。清清しい風が吹き抜けた。

 

再び階段を下る。直ぐ下に有名なポインティングブッダがあった。前回は時間が無くて見ることが出来なかったが、高さ8m、全身金箔でかなり大きい。弟子のアーナンダが横向きで傍にいる。ミャンマーの仏像は優しい顔をしているものが多いが、このブッダは厳しく一点を指差している。予言を与えるのに相応しい威厳がある。

Myanmar2005b 130m

 

階段を上がり、夕陽を見に行く。結構足がきつくなっている。TAMは難なく歩いて行く。SSはちょっと遅れ気味。三者三様である。仏の道に通じるものがある?頂上に到着すると既に陽が落ち始めていた。前回は雨季であり、周囲が水で覆われていたのを思い出す。今回は乾季、遠くまで村が続いている。エヤワーディ川に大きな夕陽が落ちる。素晴らしい光景だ。ただジッーと眺める。下にはマンダレーヒルの象徴である2匹の白いライオン像が見える。

 

この瞬間はいつも時間が止まっている。皆が息を呑む。騒がしさが全く消えてなくなる。ある意味で宗教的な静寂が周囲を包む。徐々に陽が傾く。そして山の稜線に消えて行く。忙しい日本人の団体が何となく動き出す。辺りの雰囲気が一気に崩れる。皆が我に帰る。私は遠い目が続く。

Myanmar2005b 134m

 

(3)ホームパーティー

そのまま余韻に浸りながら、夕食へ。前回も訪ねた日本料理屋、ホームパーティーへ行く。前回食べたカツどんはミャンマーとしてはなかなかのものであった。今回店に行ってみると丁度日本のオーナーI氏がいた。前回は日本でアルバイトして資金を稼いでいて会えなかったが、戻ってきていた。

Myanmar2005b 142m

 

I氏は日本の学校を卒業後、台湾で日本語を教えていた。その後縁あってここマンダレーでも日本語を教えた。マンダレーが気に入ってしまった彼はその時の教え子であるアウンウイン氏と共同でこの店を始めたという。ヤンゴンならもう少し商売になるのかもしれないが、彼はマンダレーが好きなので他で商売をする気はない。しかしここには日本人は数えるほどしかいない。台湾系の人が来てくれるようだが、兎に角経営は大変である。正直いつまで続けられるか分からないと言う。それでも懸命に店を支えている。このパワーは何処から来るのだろうか?

 

SSはオムライス、私とTAMはハンバーグを食べた。量が多いので売り上げに貢献しようとしてもたくさんは食べられない。高くても1200k程度。この値段でこの味を出すのは大変な努力ではなかろうか?I氏は滞在ビザを更新なければならない。その場合、ヤンゴンまで出向かなければならないらしい。TTMが色々とサポートしているようだが、こちらも大変なことだ。バスで10数時間揺られていく。信念がないととても出来ない。

Myanmar2005b 140m

 

そういえばメイミョウのK氏もビザの更新でヤンゴンに行く時はバスだと聞いた。慣れれば問題ないのかもしれないが、あのお歳ではきついはずだ。私は今回ミャンマーに深くかかわりを持つ貴重な日本人に2人も会ったことになる。私が将来ミャンマーに住むことがあったとして、果たして何処まで出来るのだろうか?やはり無理だということであろうか?

 

ホテルに戻り、湯船にゆっくり浸かり、静かに考える。ミャンマーは私にとって一体何なのであろうか?住んだこともなく、仕事でも関係がない、そんな国が私の心の中を占めていく。何とも不思議な感覚である。疲れは段々取れてきている。明日はヤンゴンに戻れそうだ。

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