ミャンマー紀行2004(22)タウンジー 温泉と涙の別れ

(5)温泉

タウンジーの街で私の好物のシャン豆腐でも食べようと探したが、まだ午前11時前で何処も作っていなかった。仕方なく、タウンジーを後にする。結構残念に思っており、次回を期す。車で1時間、道をヘーホーからインレーに取る。途中までは幹線道路を走っていたが、その後田園の道へ。小川が増水して橋を何とか渡ったところもある。何の変哲も無い農村風景の中に突然SPAの看板がある。その建物が温泉施設であった。インレー湖で昨年宿泊した湖賓ホテルが運営している。ホテルのオーナーは福建系。台湾などとも繋がりがあり、温泉に仕立てたのではないだろうか?

 

入り口と反対側に小山があり、その端に源泉が沸いていた。湯気が濛々としていたから、恐らく80度ぐらいはあるのでは?勿論そのまま入ることは出来ない。施設はミャンマーとしては整っており、個室が7つぐらいある。中を覗くと台湾にあるものと似ている。浴槽があり、流し場もある。小さな窓が付いているが、どう考えても狭い。外国人用は別にあるという。露天である。しかしそこはプールのようになっていて、シャワーを浴びてシートに横たわり時々小さなプールに浸かる。幸い誰もいない。私は素っ裸で入ることにする。しかしそこは厳しいTTMのこと、必ずロンジーを着けて入ってくれと何度も念を押す。分かった、分かったとばかりロンジーを取り出すと安心したのか皆行ってしまう。

ミャンマー 202m

ミャンマー 206m 

 

このプールはコンクリの壁で無造作に外と隔てられている。見上げると空しか見えない。まるで大草原の真っ只中に裸で温泉に浸かっている気分、この感触は堪らない。勿論裸で通す。プールは3つあり、1つは原湯に近くて熱くて入れないが、後の2つは適度に調整されていて気持ちよく入れる。ついつい泳いでしまう。シートに横たわるとそよ風が吹き、実に良い。自分は一体どこにいるのだろうか?分からなくなる。結局誰も入って来なかった。入浴を終わり出ようとしたところ、入り口に外から鍵が掛けられている。やはりTTMとTAMは私の行動を十分承知しており、信用されていなかった。誰も入れないようにしてあったのだ。従業員が慌てて走ってきて開けてくれた。こちらが恐縮してしまう。

ミャンマー 204m

 

高床式建物の下にテーブルがあり、そこで昼食を取る。SSとTTは先程タウンジー市場で買い与えたタナカできれいに化粧している。可愛らしい。風が通って気持ちが良い。野菜中心のメニュー。健康志向に合致している。特にトマトが美味しかった。又地鶏ではないということだったが、鳥のから揚げは肉のうまみが抜群で美味かった。しかし何より美味しかったのはTAMが持参した餅米ご飯。炊いたご飯にココナッツとゴマがかかっている。これがあればシャン州で生きていけると思うほど。自然の中で温泉に浸かり、健康的な食事。日本人にも受けそうな企画である。今度提案してみようか?

ミャンマー 207m

 

更に言うと今回タウンジーのマーケットでTAMは密かにあるものを買っていた。それはもち米を揚げた『おかき』である。塩味が適度に利いていて絶品。車の中で貰ったのだが、私ばかりが幾つも食べてしまった。前回の豆腐と団子に続きシャン州で日本の味を発見。次回は何が飛び出すか?

 

帰る際にTAMが少し離れた場所にある地元の人が入る源泉を見せてくれる。当然囲いも何も無い。湯は熱くて浸かることは出来ない。地元の人はただタオルをお湯に浸して体を濡らすだけ。どんな効用があるのかは最後まで分からなかったが、昔からこの辺りの農民が利用していたことは分かる。尚ミャンマーにはここの他にもラショー、ティーボーなどに温泉があるとのこと。地震国でもあるミャンマーに温泉があっても当然か?次回はティーボーでお茶農家を訪問し、帰りに温泉に入ろうと密かに決める??

 

(6)ヘーホーでの別れ

そして愈々その時が来た。ヘーホーの空港に到着したのだ。私にとってもシャン州は忘れ難い、そして離れ難い土地である。更にはSSとTT。TAMは淡々として車から降りると野菜などを買い込みTTMに渡している。門の所でお別れかと思ったが、TAMが手続きし、TTも中に入る。

 

搭乗手続きが終わり、ベンチに座り談笑していたが、TAMが無表情に時間を告げる。見るとTTが大粒の涙を流している。こんなきれいな涙を見るのは久しぶりだ。対照的にSSは硬い表情で何か言っている。TTMは小遣いだと言って涙一杯のTTのバックにお金を押し込んでいる。TTは一生懸命拒んでいたが、本当の親子以上に親子らしい感じがする。昔日本にもこんな光景があったはずである。

ミャンマー 210m

 

TAMがTTを促して建物から去ろうとする。その時突然何を思ったのか、TAMが荷物の重さを測る台の上に乗る。体重を量ったのだ。このユーモラスな動作に釣られてTTまでそこに乗る。SSは『恥かしくて出来ない』等と言いながら笑顔が戻る。周りの皆も苦笑する。TAMとは本当に不思議な人だ。しかしこの機転、只者ではない。次回彼女に会うのが益々楽しみになってきた。待合室に入る。席に座るとSSがワーッと泣き出す。堪えていたものが噴出したようだ。TTMは『泣き虫』などと言ってからかっていたが、その涙も美しかった。次に何時会えるか分からない、その分情緒的になる。今の日本では直ぐ携帯かメールをするからこういう涙は出ない。

 

この待合室にも西洋人が多い。マッサージをするおじさん、おばさんが入ってきて、暇な西洋人には好評であった。1回、1,000K。この西洋人は何処へ行くのか?一抹の不安。飛行機は1時間遅れた。ヤンゴンエアー、CAは良いのだが、時間にルーズ。更には再度あの悪夢が。何とルート変更になり、又マンダレーに行くことに。何ということであろうか?

 

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