ミャンマー紀行2004(20)タウンジー マーケットで

(3)マーケット  8月12日(木)

涼しかったせいか夜9時半から翌朝7時までぐっすり眠る。7時半に朝食を食べる。SSもTTも意外に眠そうではない。どうやらTTMがキチンとコントロールしたようである。TTの話を聞く。彼女の家は15年前までこの近くにあったが、政府の指示で強制移住させられ新村へ移った。移ったといっても当時新村には何一つ無かった。政府は僅か20,000kを補助しただけ。移住した人々は自ら家を築いて、生活したという。軍事政権下、何とも凄い話である。

ミャンマー 185m

 

中国にありそうな話である。中国では『土地は全て国のもの』と言う考え方で、政府が必要とあらば住んでいようが何であろうが、退去命令一枚で15日以内に強制的に退去しなければならない場所がある。私が贔屓にしていたお茶屋があっと言う間になくなったこともある。勿論補償金など一切出ない。住み家を簡単に追われる、というのは私には想像できない。

 

TTには人に言えない、色々な苦労があったことだろう。そうしてヤンゴンに出てきて日本語を学ぶ。かなり上達したのに、妹の為に故郷に戻ることになってしまう。今は中国系企業で働いているというから、人生は本当に儘にならないものだ。本人も来年にはもう一度ヤンゴンに出ていきたいと言っていたが、果たしてどうなるだろうか?非常に気になるところである。

 

8時にTAMが現れる。お土産をくれる。きれいなテーブルクロスである。有難く頂く。今日TAM弟は来なかった。代わりにTTを入れて5人で行動する。完全に女性に囲まれてしまったが、あまり違和感はない。とても気楽な家族旅行のような気分になるは、何とも不思議。

 

先ずはシャン州で5日に一度持ち回りで開かれるマーケットに行く。前回はビンダヤで行った、あの印象的なマーケットである。タウンジーマーケットには新鮮な野菜、果物、米、茶など様々なものが売られていた。あの発酵で有名な小泉武夫先生も珍しい食材を求めてこのマーケットを訪れている。キノコ(日本のしめじ)と虫のさなぎ、カエルを買い込みインレー湖近くのフーピンホテルで自ら料理した、と著書に書かれているのを記憶している。

ミャンマー 186m

 

売り手には様々な民族がいた。前回よりも民族衣装がより多彩な感じがある。さすがタウンジーはシャン州の中心都市という感じがする。しかし今日は雨。ゆっくり見ることが出来ずに残念。売り子は雨でも傘を差して座り込む。傍から見ているとその姿は可哀想と言うより、1つの文化に見えてくる。シャン州の置かれた厳しい現状を見ているようにも思える。

ミャンマー 187m

 

今日は朝食を食べてスグと言うこともあり、TAMは豆腐も団子も食べさせてはくれない。とても残念。雨が強くなり、とうとう常設の屋内マーケットへ移動する羽目に。このマーケットは最初のマーケットより少し離れた場所にあり、何とヤンゴンのボージョーマーケットより広い。何でも売っているところである。最初のマーケットからも9時過ぎには皆が移動してきて、ここで更に商売をするのだという。ここはタウンジー経済の中心地である。

 

私はお土産というものを買わない主義(ケチ?)であるが、前回ヤンゴンでS氏に勧められてタッティングという手編みの織物を買った。珍しく奥さんに好評であったので、今回も探すことにする。TTMがタウンジーに一杯あると言うので探してみるが、なかなか見つからない。この手の込んだ織物はミャンマーでも織り手が減っているようで貴重品になりつつある。特に黒いものは織手の目が悪くなるようで、織る人が少なく、希少価値であるらしい。

 

漸く売っている店を1軒見つけて品物を選ぶ。色の種類があまり無い。品数も少ない。他の店も似たようなので、仕方なくここで2枚買う。これからはなかなか買えない物になるかもしれない。1枚4,000kとヤンゴンの半額であったのはやはり地方都市だからだろうか?SSとTTは何処かへ行ってしまい、二人で自分の服を選んで買っている。何とも仲が良い。

ミャンマー 190m

 

雨も小止みになったので、外に出る。ミャンマー独特の化粧品『タナカ』を売っている。SSとTTの為に買う。売り子の女性は顔中模様を描いてタナカを塗っている。SSが塗っている姿を見たことが無いので渡す。TTはほんの少し、目の脇に塗るなどかなりお洒落である。タナカはミャンマー女性の象徴。この後アテネオリンピックでミャンマー人女性が重量挙げにタナカを塗って出場。話題となるが何故かドーピングで陽性となり、失格となってしまう。抑圧されたミャンマーの女性にもスポーツをやる人が出てきたことは喜ばしいのだが。

ミャンマー 192m

 

余談だが、マーケットの入り口にアイドルのブロマイドを売る店があった。ミャンマーにもあるんだなあ、と通り過ぎると後ろでSSが『ああ、ヨン様だ』と叫ぶ??見るとあの冬のソナタの男優が微笑んだブロマイドを売っている。そうなのだ、ここミャンマーでも冬ソナブーム、そして韓流ブームなのである。これには驚く、そしてアジアは狭くなったと実感する。ヤンゴンでもバンコックでも韓国系映画、ドラマのポスターなどをかなり多く見かけた。SSは日本語をやめて韓国語を習いたい、などと真顔で言ってTTMに叱られていた。

 

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