ミャンマー紀行2004(10)メイミョー 夜の馬車

(2)夕食まで

既に夕方も5時半を過ぎていたが、散歩に出る。実はTTMは私を人に会せようとしていた。S氏からも名前は聞いていたが一体どんな人なのか?この高原に住んでいる日本人とは?ダリア・モーテルから歩いて3分ぐらいでその家に到着。洒落た洋風の家である。自分もこんな家に住んでみたい。

 

しかし残念ながらKさんはお留守であった。近所の人の話ではマンダレーにでも出掛けたのだろうという。TTMによればKさんは設計師でこの家も自分で設計した。道の反対側の家も彼の作品。ここメイミョーに相応しい職業である。周りには100年前のイギリス風家屋、別荘が並び、空気も最高に新鮮。住環境は申し分ない。家の前に『ひろみの家』と書かれているのは何だろう?後で分かったことにはそれは彼のミャンマー人の奥さんの日本名であった。

 

Kさん宅を後にして、歩き出す。本当に素晴らしいホテル、住宅が並ぶ。庭に大きな木があり、屋根に大きな煙突が見える。聞けば日本人でここに家を購入した人も居ると言う。但しミャンマーでは外国人は土地付き一戸建ては買えないのでミャンマー人の名前で買うのだそうだ。値段は高い所でも5万米ドルぐらい。もし将来住むつもりがあれば是非とも手に入れたいものである。

 

最近はマンダレーに進出してきた中国人が買っているという。これを中国人のミャンマー侵略と見て警戒している人々も多いと思われる。将来値段がかなり上がるかもしれない。それよりもこの絶好の環境で老後を送りたい人は必ず居るだろう。子供たちを連れてくれば喜ぶかなあ?

 

TTMはこのまま歩いて街に行き、夕飯を食べようと言う。付いて行くと最初は家々に目を奪われるが、その内辺りも暗くなり寂しくなる。道を間違えたのかと心配になる。暗くなるとそこは田舎である。本当に周りが見えなくなる。ところがTTMとSSにはどうやら道が見えるようである。ミャンマー人は停電などで暗いところに慣れている。我々日本人は文明に毒されて人間の本能を失ってしまった。

ミャンマー 070m

 

50分も歩いただろうか?何とか街に着いたときは7時になっていた。街といってもそんなに明るい訳ではなく、大きなレストランがある訳でもない。一軒の中華料理屋に入る。どう見ても中国系の一家が店をやっている。メニューも漢字併用。鳥野菜ラーメンを頼むが、非常に美味しい。これで600k。この辺りのレストランは皆薄暗いがここはかなり明るく、気分良く食事を取る。

 

SSが少し太った、と言って大そう気にしているので、人間は何故太るのかという話をした。そしてどうやれば痩せられるのか?(全て私見)本当に痩せたいらしく、一生懸命聞いてくれる。そんなに太っていないのに、可愛らしい。やっぱり若い女の子、気になる所は日本人と変わらない。

 

SSは私に真面目に礼を言う。そして『あなたの子供は幸せだ、色々教えてくれるお父さんが居て』。そうか、SSは父親が居ない家庭で育っている。勿論おじいさん、おばあさん、おじさん、おばさん等に囲まれていたので寂しくはなかったろうが、父親への憧れはあるだろう。全くのお節介ではあるが、私が父親代わりをやろうか?後日その話をしていたら、もう一人父親代わりがいた。S氏である。SSには親子の大切さを教わった気がする。また父親は子供にとって必要な存在であることも再認識した。

 

(3)夕食後

TTMは食事中も店で電話を借りて明日のアレンジなどに忙しい。普通は何をしているのか気になるところだが、ミャンマーでは気にならない。明日がどうなるのか楽しみでならない。帰りも歩いて帰ろうとTTMが冗談を飛ばすがとてもそんな元気は無い。見ると道に馬車が停まっている。ミャンマーで馬車が走っているのは今やここメイミョ-だけだと言う。TTMが値段交渉し、1,000kでホテルまで乗せて貰う。

 

馬の後ろに余り大きくない箱?が付いている。3人で乗り込むとかなり狭いが、何となく気分は出る。そのまま走り出す。街を外れるとあたりは真っ暗。まるでシャーロックホームズのドラマを見ているようだ。そんな中でTTMとSSは普通に会話している。やはり夜目が利く。

ミャンマー 072m

 

ホテルに戻ると未だ8時過ぎだが、やはり田舎の夜はすることが無い。空を見上げると星が出ている。ホテルの建物には屋上があり、3人で階段を登る。空には輝く星がある。満天の星空、というのとも違う何となく独特の空である。最近空を見上げることも無く、首が痛くなる。しかしかなり長い時間首を上に向けていたくなる夜空がそこにあるというのは幸せ。

 

TTMが『あの星は何の星でしょう?』と聞くが、全く覚えていない。少し前は記憶力には自信があり、覚えていたはずなのに。老化現象が始まっている。北斗七星が見える。カシオペア座かな、あれはオリオン座?日本に戻ってプラネタリウムに行き、勉強し直したくなった。

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