ミャンマー紀行2003(15)ビンダヤ 5日に一度の市場で

(5)ビンダヤの市場

インレー湖の周りの村々では、5日に1度、各場所で市場が立つ。ビンダヤの街に到着すると、先ずは市場へ向かう。今日はここに市が立っている。パガンでも市場に行っていたので、あまり期待していなかったが、これが行ってビックリ。優良ガイドのTAMの力が大きい。お茶は竹筒入りのラペトゥを購入。1つ100K。筒の中に茶の漬物が入っており、1年はもつというが、売っている人間も保証出来ないという。この竹筒、何とも味わいがあって良い。

 

市場の中では各少数民族が商売をしている印象で、いろんな顔立ちの人達が自分の商品を持ち込んで座っている。民族衣装も多彩で楽しい。売っている物は新鮮な野菜が多い。キャベツは1つ25K。大好物であり、買って炒めたい衝動に駆られるほど、美味しそうに見える。

 

TAMが食べ物を食べようという。流石にここまで全く体調に問題が無かったとはいえ、村の市場で大丈夫かと衛生面で不安になる。正直TAMには悪いが、1口食べて止めようと思った。椅子に腰掛け、目の前を見ると揚げ豆腐のようなものがある。小皿には生姜をベースに葱その他を混ぜたソースが置かれる。TAMが美味しそうに口に運ぶ。私も恐る恐る食べてみる。美味い。揚げの中に柔らかい豆腐が入っており、またソースが絶妙で若干甘く、おやつを食べているようである。1口で止めるどころか、2人で1皿きれいに平らげる。因みに1皿、100K。

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こうなると次は何かと期待してしまう。TAMは小さな団子を買う。お汁粉に入れる団子のようだ。食べると正にそのものである。但し餡子ではなく、中にテェネェが入っている。ヤンゴンで食べた椰子の汁を固めたお菓子である。あれが餡になっている。これも素朴で美味い。

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(6)茶農家へ突撃

朝ごはんも腹一杯食べていたし、豆腐や団子もかなり食べた。これから改めて昼ごはんを食べる必要はもう無い。市場を後にして、早々に山登りにかかる。山の道は見た感じはそれ程急でもないし、歩くのは大変そうにも見えない。緩やかな九十九折、何かテレビドラマの時代劇で使えそうな長閑な山道である。ここにもし峠の茶屋でもあれば雰囲気はぴったりだが。

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しかしそう甘くは無かった。運動不足の私は直ぐにあごを出した。今日は流石にサンダルを止めて靴を履いているが、結構しんどい。後ろから女性達が追い抜いて行く。見ると今まで市場で商売していた人々だ。皆重そうな籠の紐を頭に当てて難なく、運んでいる。7-8歳の女の子もさっさと歩いていく。籠の中には売れ残りの商品の他、鍋なども見られ、自炊している様子が分かる。こんな荷物を持って山を降りてくるのはさぞや大変だろうと思う。TAMによると彼らは何とここから2つ山を越えて帰るのだという。5日に一度のこととはいえ、想像を絶する暮らしがここにある。

 

途中に休むことが出来る小屋があった。まだそんな歩いていない私も直ぐに休憩を申し出る。行ってみると多くの人がおしゃべりしながら休んでいる。殆どが女性である。甕に水が入っていて誰でも飲めるようになっている。皆1山2山越えて帰るという。ロンジーに下駄のようなサンダルを履き、スイスイ登っていく。慣れているといえばそれまでだが、何とも恐れ入った。

 

更に行くと、女性が子供を負ぶっていた。子供の右手は石膏で固定されている。遊んでいて骨を折ったので、村の医者に見せた帰りだという。母親は日傘を差し、風呂敷のような布で子供を包んで背負い、ゆっくり登って行く。この光景を見て、何故か涙が出そうになった。この子はこの日のこと、特に『かあちゃんの背中』を一生覚えているに違いなかった。私は自分の子供に一生覚えているようなことをしてあげたことが今まであったろうか?

 

30分ぐらい歩くと坂が急になる。きついなと思って顔を上げたその時、目の前にお茶の木があった。斜面に少しだけ植えられている。TAMは行き成りその茶畑に入り込み、葉をちぎったりしている。彼女のおじいさんも茶園を持っていたとかで、お茶には詳しいらしい。茶木はそれ程大きくなく、明らかに最近のものに見えた。葉を食べてみたが、お茶の味はするが、例えば龍井茶の葉のような味わいは無い。

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その先に2階建ての家が見えた。こんな山の中にしては、立派な家に見える。道から少し下ると家の庭に出る。家の前では老婆が一人、米を選り分けていた。TAMが何か話しかけると、老婆が中に入れという仕草をした。TAMはまるで自分の家のようにズカズカと入りこむ。私も続く。そこは土間のようになっており、端には竈がある。今日摘んだ茶葉は外で天日干している。

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