梅ヶ島茶旅2015(3)安部川源流を歩く

6月14日(日)

翌朝はかなり早起きした。朝の日が差し込む古民家は何だか落ち着く。皆さん、まだ寝ていたので朝の散歩に出て見た。山の朝は本当に空気が清々しく、足取りが軽やかになる。小さな、自宅の茶畑が見え、この付近がお茶の産地であったことを実感する。道路の所まで降りてくると、梅園、と書かれた広い場所がある。梅ヶ島、という地名なのだから、昔は梅の木が沢山あり、梅の花が咲いたのだろうか。今の梅園は婦人会が面倒を見ているとある。

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実は私の携帯はとても古い。10年前に購入したもので、山へ行くとほぼどこでも圏外となり、使えなくなる。今回は家内のスマホなる物を持ち込み、メールなどが見えられるようにしたつもりだったが、やはり古民家では繋がらなかった。ただ他の宿泊客はちゃんと見ているのでオカシイと感じ、道路まで来て携帯を見ると繋がっている。何故だか理由は分からないが、困ったものだ。何かのスイッチが入っていなかったのか、スマホの使い方を早く覚えないと、この文明国で難民になってしまう。

 

古民家に戻るとKさんたちが朝ごはんの準備をしてくれていた。朝は各自でパンにソーセージを挟み、食べている。そして野菜がたっぷり入ったスープが絶品だった。囲炉裏のところで、ホットドッグを食べ、スープを飲むと、なぜか新鮮な感覚になり、活力が湧いてきた。特に火が点いているわけでもないのに、これは実に不思議な感覚だったが、古民家パワーなのか、それともスープパワーなのか。いずれにしても気持ちよい朝を迎えられ、よかった。

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沢下り

今日の成り行きも全く分からないので、取り敢えず荷物を持って、クリエーターチームの車に乗せてもらう。茶園ツアーに合流するため、待ち合わせ場所に向かう。皆さんの宿泊先、くさき里には、既に大勢の人々が外に出て待っていた。このツアーは某大学主催の社会人向け公開講座だと後で聞いたが、私は大学生が茶園にやってくると勘違いしており、ご年配の参加者が多いのを見て、意外感ありあり。まずは安倍川の源流を訪ねる、沢下りに行く。

 

車は山の中のきれいな林道を走って行く。この道は30年前に山梨側に抜ける道として整備されたとあるが、今は繋がっているのだろうか。車は殆ど走っていない。そして何とここまでが静岡市なのだ。これは驚き、静岡市はどこまで大きいのか。そこから道を外れ、沢に降りていく。まさに原生林、という感じの林が続く。その合間から木漏れ日が差し込み、雰囲気は実にいい。

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水が流れるルートはくっきりと見えるのだが、実際には水は全く見られない。この6月の梅雨の時期、何故水がないのだろうか。では源流とは何だろうか。その先を歩いていくと、『安倍川の水源』と書かれた小さな表示が目に入る。そしてその辺りから、何となく水が湧きだしている。水たまりが見え、その中には小さな魚やおたまじゃくしが泳いでいた。この魚、一体どこから来たのだろうか。地下を潜ってくるのだろうか。不思議な光景が続く。

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途中から、水量が多くなり、川のように流れていく。そこを避けて、沢の斜面を下り続ける。クリエーターの人々は思い思いの場所で足を止め、様々な考察を行っている。自撮りで動画を撮影して、イメージを膨らませている人がいる。一般参加者は、周辺に生えている草木に興味を持ち、名前を確認し合い、静々と歩いていく。このようなツアーに参加する方々だから、山道にも慣れており、植物に詳しい人が何人もいた。私は植物にほぼ興味がなく、花や木の名前を全く知らない。少しは勉強する必要性を感じるのだが、今から図鑑を見ても覚えられないだろう。

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驚くのは、参加者が自発的にゴミを拾って持参したビニール袋に入れていること。これなどは中国人が日本に来て、もっとも感心することの一つだと言われている。このような日本の原点、自然を訪ねるツアーを中国人向けに作り、ついでにゴミ拾いもやってもらう、というのは悪い発想ではない気がする。買い物してくれない中国人は必要ない、のが観光庁の現状かもしれないが、日本の良さを体感するにはとても良い機会であるし、彼らの日本への理解が進むことは我々にとっても大いに望ましいと思うのだが、そう考える人はどのくらいいるのだろうか。中国人を金の亡者のように言う人がいるが、まずは自分たちを見直してみるのが良い。

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30分ぐらい歩いて、ようやく林道へ出た。意外と歩くのが大変な場所もあり、ちょっとしたトレッキングだった。そこから運転していた人たちが出発地点まで車を取りに行ってくれ、黄金の里、という施設に行き、休憩した。ここには温泉があり、売店もあった。売店では、地元で採れた新鮮野菜の他、棒茶と呼ばれるお茶が売られていたが、これは何だろうか。トレッキング中に蛭に刺された人がおり、脹脛から血が。すぐに地元の人の指示で薬が塗られた。

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