茶筅の街から宇治まで茶旅2015(3)京都 福寿園、中国茶茶房、そしてインドカレー

福寿園本店

さすがに京都は車が多いが、それでも渋滞というほどではない。但し駐車場を探すのはとても大変だ。我々は福寿園本店に向かった。3月にIさん他と四国の茶旅に出た時、紹介されたのが大学院でお茶の歴史を研究しているというHさん。日本で茶道以外の茶の歴史を研究している人は多くないとのことで、機会があれば、是非会ってみたいと思っていた。彼女は京都に住んでいるので、ちょうどいい機会だと思い、連絡したところ、今日は福寿園でアルバイトをしているとのことで、ここに来ることになった。ここを訪れるのは初めてである。

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福寿園京都本店は四条烏丸の四条通に面している。地上6階、地下1階のビルであり、各階にはお茶に関する展示、レストラン、喫茶コーナー、茶葉販売、体験スペースなどが配置されている。このビルに来れば、日本茶のかなりの部分を味わえる仕組みができている。その中で今回は地下1階に来るようにと言われていた。果たしてどんなスペースなのだろうか。

 

『宇治茶のMyTea工房』と銘打って、プロ仕様の設備で好みの味や香りの茶葉を独自にブレンドして、作ることができる、というスペースだった。更にはお茶の美味しい淹れ方やブレンドの仕方を教える本格的なセミナーなども開かれる。先ほどの茶筅を使った手軽な抹茶講座などという企画もあるようだ。このようなイベントを支えるために。このフロアーで働いている人は、皆日本茶インストラクターの資格を持ち、それなりの経験を持っている人だけで固められている。

 

今回訪ねたHさんもその一人。我々が訪ねた時は、特にイベントもなく、お客さんもいなかった。カウンターに座り込み、初対面にも拘らず、旧知の間柄のように、お茶を出して頂き、話し始める。勿論Iさんが知り合いだったことが大きいが、やはりお茶繋がりはいいな、と思う。話題には困らないし、年齢の違いなども考える必要がない。彼女が先日行った富山のバタバタ茶の話、四国の碁石茶などの話も、FB上で既に見ているので、違和感がない。翌日HさんのFBを見ると『滅茶苦茶人見知り』だとあったが、我々の間には何の問題もなかった。面白い。

 

このフロアーにはもう一人、Iチーフがいた。偶々福寿園に就職したIチーフは、そこからお茶に興味を持ち、ついには会社を辞めてお茶の歴史を勉強するために大学院に進んだそうだ。そして大学院を卒業した頃、福寿園にこのスペースができ、会社から声が掛かって、出戻ったという。さすが芸は身を助く、ということだろうか。ここには様々なお茶の情報が入るし、お茶関係者との往来も多いはず。そして何よりもお茶に触れる仕事ができるということが貴重だと思われる。これはHさんも同様で、お茶に関係した仕事、がポイントで、ここでバイトしている訳だ。そしていい先輩、Iチーフから得られるものも大きいだろう。

 

ISO茶房再訪とインドカレー

楽しい時間は直ぐに過ぎていき、福寿園にかなり長居してしまった。今日の夜は、ISO茶房のISさんと、食事をする予定にしていたので、慌ててIさんの車で向かう。京都の街は渋滞がかなりひどい、という印象があったのだが、この日は四条から金閣寺までそれほどの時間は掛からなかった。

 

ISO茶房を訪問するのは2回目。ISさんとは昨年台湾で、お茶のご縁で知り合った。この茶房、町屋風の建物、織物工場をリノベーションしており、天井も高い。かなり雰囲気の良いお店に仕上がっている。ISさんの強いこだわりが感じられる。ここでは台湾の高山茶、岩茶などを淹れてもらった。日本茶の福寿園から中国茶、台湾茶へ。なかなか面白い変化である。

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そこに電話が入る。29年前に上海で私の中国語の家庭教師をしていた中国人女性Wさんからだった。彼女のご主人Hさんの実家は金閣寺のすぐ近くだと聞いてはいたが、ちょうど今、そこにいるというのだ。15分ぐらいして、彼女は本当にやってきた。IさんもISさんも驚いただろう。突然中国人女性が現れたのだから。

 

しかも彼女は店に入るなり、この店が気にいってしまい、『ここを買ったらいくらぐらい』とか『改修費用はどれくらい?』とか、ISさんを質問攻めにした。今の中国人の一部には、日本の文化を感じさせる家屋に興味を持つ傾向があり、そして出来ればそれを手に入れたい、という欲求があることが分かる。だが、それにしても、お茶をゆったり飲む、という文化より、頭は不動産投資になってしまうのだろうか。

 

1時間ほどお茶を飲んでいると、先ほどのHさんがバイトを終わり駆けつけてきた。彼女も日本茶だけではなく、台湾茶にも興味を持ち、この茶房にも一度来たかった、というので誘ったのだ。京都にいても、お茶という共通点があっても、なかなか機会がない、というのは、ちょっと残念な話。お互いがで会うために、何らかの仕組みが必要かな、とは思う。

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夕飯を食べに外へ出た。魚の美味しい店があるというので、行ってみるとなぜか既に閉店していた。そこでその近くにあるインド料理屋へ進む。京都で、日本茶と台湾茶を飲んだ後に、インドカレー、というのは実に意外な展開でよい。このお店、インド人オーナーがやっており、味は本格的。ボリュームは学生向けのようで、凄い。かなり気にいってしまった。ここでもカレーを食べながら、日中お茶談義となり、何とも楽しい夜だった。帰りはIさんの車で京都駅前まで送ってもらった。

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