両岸三通の茶旅2015(2)台北 突然の有記茶荘

突如の有記茶荘

午後は宿でゆったりと過ごす。今朝は早起きだったので、体を休めることは重要だろう、と考える。リビングでダラダラとネットをしていると、夕飯を一緒にすることになっていたBさんより急に電話があり、これから会おうという。彼はお知り合いと台湾南部に行っていたのだが、予定が早く終わり台北に戻っていたというのだ。取り敢えず台北駅前まで来てもらう。

 

その辺でお茶でも飲むのかと思いきや、『知り合いのふうせん屋さんが、青木さんの店で待っている』という不可解な説明が発せられる。まあいいや、流れに任せてみよう。駅前から少し歩き、重慶北路あたりでバスに乗る。バスは何本かあったが、来たバスに乗ってみると、すぐに曲がってしまい、予想と少し違ったようだ。これでも行ける、というので乗っていく。バスが信号で停まり何気なく見ると『茶葉公園』という名称が見えるではないか。『あれは何だ』と声を出すと、Bさんが『じゃあ、降りて見てみましょう』というではないか。待ち合わせはいいのだろうか。

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朝陽茶葉公園、と書かれたその小さな公園、なぜか茶葉の製造工程が、地面にはめ込まれたプレートを使って説明されている。しかもそれがかなり精緻なので、ビックリ。こんなこと、誰がするんだろうか。Bさんは、日本からお客さんを連れて、何と今朝もここに来たのだという。この公園の前には、有記茶荘という台北でも有名なお茶屋さんがあった。ここがこの公園を整備していたのだ。

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有記茶荘は大稲埕にある1890年創業の「百年老店」と呼ばれる老舗の茶商。大稲埕は19世紀半ば以降、台湾茶の輸出拠点であり、昔はこの辺りにも茶葉の卸問屋が沢山あったと聞いているが、今やそれほど見当たらない。店に入ると手前で茶葉を売っている。お客さんが引っ切り無しに来ている。卸が中心だが、小売りもやっており、観光客もよく来るらしい。Bさんは午前中も来ており、また過去にこの店を取材していることもあり、既にお馴染みさん。奥の方からいい香りがしている。茶葉の焙煎が行われているのが分かる。フラフラと覗き込む。

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ここのオーナー夫人がいたので話を聞いてみる。台北市内で自店で伝統的な炭火焙煎を今もやっているのはここぐらいだという。この独特の雰囲気が人気の秘訣のようだ。数十年前にタイにも出店し、今もバンコックで売っているという。多義のパッケージも表示されていて驚く。3月に幕張で開催されたFoodexにも参加しており、対外宣伝も怠らない。確かに私もFoodexでこの店を見掛け、話をした覚えがある。焙煎が効いており、比較的私の好みのお茶だった記憶がある。

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お茶の試飲をさせてもらう。台湾各地から集めたお茶を焙煎している。特に特徴が感じられたのは文山包種茶。発酵が非常に浅いこのお茶をしっかり焙煎し、いい感じに仕上げていた。色々と話を聞いていたかったが、元々人を待たせて、突然寄り道しているので、残念ながら、引き上げる。

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それから重慶北路沿いの細かい道を歩いていく。途中で小さな食堂があったが、Bさんはその店に突然入っていき、挨拶している。そこには日本人のプロデューサーがいた。Bさんが芝居でお世話になっているという。そしてその店は日本人の女優さんがやっており、カレーなどを出していた。この女優さんとBさんは夫婦役をやるはずだった、などと聞くと、Bさんが役者さんだったことに思い至る。ここも興味深かったが、時間の関係ですぐに失礼した。

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元々は漢方薬屋街である迪化街の横を通る。ここは今や、観光地化しており、日本人もかなり歩いていて、お洒落な店がいくつもある。以前私が歩いたとき気になった古びた警察署が見えた。懐かしい。30分ぐらいで着くと思っていた目的地に最終的に行きついたのは、1時間半以上も経っていた。

 

青木由香さんの店

涼洲街、というところは元々古びたところだったが、最近はそこに観光案内所が出来たり、お洒落なブテックが出来たりしている。以前とは様変わりの様相だ。その一角に小さなお店があった。台湾で有名な日本人、青木由香さんが出した店だという。常に同じ商品を並べるのではなく、期間ごとにアイテムを入れ替えて売る、という新しい方式だ。服や雑貨、小物など、色々とあるようだ。

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青木さんは台湾から様々な情報発信をしている。4年前にBさんのライブの時に一度会っている。とてもユニークで型破りな人で、そのキャラが台湾人にはウケるのだろう。昔はバックパッカーだったのか、タイにも郷愁があり、最近はバンコックに行く仕事があって嬉しい、と喜んでいた。このお店を始めたのも、一つの発信の形態だろうか。お子さんが小さいので、子育てしながら活動しているようだ。

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実はここが待ち合わせ場所、辿り着くと中にはお客が何人もいた。日本人の家族が服を買っていたが、聞いてみるとご主人は天母で珈琲店を経営しているとか。阿里山珈琲、ちょっと気になるフレーズだ。あとで聞くと、彼のお父さんが元々台湾で珈琲屋さんをやっているのだという。どんなコーヒーなのだろうか。次回は是非お店に行って飲んでみようと思う。

 

そして待ち合わせた人は東京墨田区のふうせん屋、Sさん。ここでふうせん屋さんと知り合うとは思いもよらなかった。日本には2社しかないふうせん屋さんらしい。本社は東京だが、タイにも工場があり、月に一度はタイにも行くという。今回は何かのイベントがあり、台北にやって来て、Bさんと合流している。我々を待つ間にも子供に恐竜の風船を膨らませるなど、交流に余念がない。何だかとても面白い。

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