静岡のお茶を訪ねて2015(2)大井川鉄道で川根へ

駿府城へ

その後、約束より早めに月刊『茶』を発行している茶業会議所の編集長とご担当にご挨拶に行く。この1月から、有難くも簡単なコラムを連載をさせて頂いているので、一度は訪問しなければと思い向かう。忙しいと聞いていたが、2時間近くも色々と教えて頂き、今後の参考になった。何しろ日本茶のプロ向けの雑誌で内容はかなり濃い。これまでとは違い、あんまりいい加減なことは書けないなと思いながら、『素人目線』で、皆さんとは違う視点で書いてみたいと思っているが、果たしてどうなるのか?怒られそうで、怖いがチャレンジしてみよう。

 

帰り掛けに駿府城を訪ねてみる。雨も上がり、何となく気分の良い夕方。駿府といえば、徳川家康が幼少の頃、今川家の人質として暮らした場所。そして秀吉の時代に武田を滅ぼし、城を築いた場所。更には将軍を退き、隠居した場所。歴史的には何とも意味のある城だと思うのだが、現在はお濠は残っているが、それ以外は整然と整備され、公園になっている。真ん中の家康の像があるが、それ以外目立った特徴はない。雨上がりの夕暮れ時、夕陽が眩しい。

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駅の方へ戻る。元勤め先の支店があり、そこに昔一緒に働いた先輩がいたので、ちょっとご挨拶に行く。『地方支店は皆家が近いし、終電も気にならない』と、いまだに猛烈に会社で仕事しているのには驚く。静岡はとても生活環境が良いように見えるが、殆どの時間を会社で過ごしているようで、大変だなと思う。私がもし静岡に住んだら、楽しいことが一杯ありそうなんだがな。立場が違うとこうも違うものだろうか。会社を辞めるという自分の決断が正しかったかどうか、ふと考える。

 

静岡駅から電車に乗り、藤枝に戻って宿へ帰る。途中軽く夕飯を食べ、そのまま寝てしまう。コンビニに行く気力がなかったということは結構疲れていたのだろう。この宿、ビジネスホテルという趣で、部屋はかなりコンパクト。経費節減努力が見られるが、一体誰が泊まっているのだろうか。スタッフの愛想はかなり良く、ホテルチェーンともまた違った昔の雰囲気がある。

3月20日(金)

翌朝はゆっくり起き、宿代に含まれている朝食をとりに食堂へ。そこでご飯を食べていたのは、皆工事現場などで働く人々。ビュッフェの朝食をモリモリ食べていた。食堂のおばさんも愛想がよく、『もっと食べてね』などと言ってくるので、こちらもついつい食べてしまう。納豆、生卵、焼き魚、ご飯はいくらでも食べられる。そして食べ終わると皆礼儀正しく『ご馳走様』と言って、食器を自ら片づける。おばさんが『そんなことしなくていいのに』と言いながら『今日も頑張ってね!』とエールを送る。日本って、凄いな、と思う瞬間である。

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3.川根

大井川鉄道で

今日は川根の茶農家Mさんの家へ行く予定だ。大井川鉄道に乗るため、藤枝駅からJRで金谷へ行き、9時の電車に乗る。大井川鉄道はSL、また機関車トーマスが走っていることで有名だが、SLの停車駅は限られている上、時間も合わないので、行きは普通電車で行き、帰りにSLに乗ることにした。

 

金谷駅を出て、大井川鉄道駅へ。改札口で切符を買うと分厚い昔の切符が渡される。いいなあ、と思うのだが、僅か35㎞行くのに、1680円もかかる。うーん、ロカール線を維持するのは大変だな。狭いホームには小雨の中、乗客がちらほら。向こうに茶畑が見えるのはやはり静岡!まだお茶のシーズンでもなく平日であり、大半は地元の人が数駅で下車していく。車両は昔の急行風。車窓からも茶畑が見え、幸せな気分になる。

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少し行くと山間部に入り、大井川に沿って走る。この辺は全て無人駅のようで、小さな駅舎が見えるだけ。昔からお茶で栄えてきたこの付近、川を使って茶葉を下ろしていたのか。今は皆車だろうか。たぬきの置物があった。雨に煙る大井川、霧がいい感じで出ている。いい茶葉が出来そうな風景、茶畑の雰囲気が高まる。

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1時間強電車に揺られ、緩やかに登っていく。そしてついに青部に着いた。小さな木造の駅、単線の線路、茶畑の向こうの学校、大井川に架かる吊り橋、何だか映画のセットのような風景が目の前に出現した。そして何とMさんが傘を差して駅舎のところに立って待っていてくれた。この光景を見るだけで、今日は来てよかったと思ってしまう。それほど絵になる。

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まずは駅の前の茶畑へ。その向こうはMさんが通った小学校、だがなんと50年前に廃校になっていた。今はある大学が使用しているので、現存しているという。校舎の窓などは入れ替えられているようだが、雰囲気の良い昔の学校がそのまま残っている。Mさんの小学生姿が思い浮かぶ感じだ。

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そしてその向こうの大井川。遥かに見えるのは昔作られた発電所。この地が重要な場所であった証拠。きれいな吊り橋が架かっているのだが、なぜか通行禁止になっている。安全基準を満たしていないとのことだが、それを理由に撤去が検討されているようだ。部外者が言うのもなんだが、この風景にこの吊り橋、残してほしいな、と思うのだが。

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