四国・和歌山・静岡茶旅2015(9)和歌山から静岡まで

3月14日(土)

高野山へ行けず

翌朝は昨晩の雨も上がっており、この温泉の周囲を散策した。上御殿本館、という宿が立派だ。徳川家康の十男、紀州藩の開祖宣頼が温泉好きで、この宿を建てたが、明治に焼失し、現在宿はその後再建されたとある。興味深いのは、宿の管理を任されたのが『龍神家』だとあること。この地には代々土地の名前を継ぐ者がいた、ということだ。この龍神家がどこから来たのか、それが昨日考えた答えなのかもしれない。

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実は今日は和尚を送りがてら、高野山経由で愛知、静岡へ、という予定だったが、何と高野山で雪が降り、龍神スカイラインが通れる保証がなく、断念した。既に3月も中旬、今年も異常気象だろうか。まあこれは高野山から来るな、と言われていると思うしかない。S君、Iさんは色々と情報を集め、帰路のルートを検討していたが、昨日来る途中に目にした明恵上人生誕の地に興味があったため、そこへ行くことになった。

 

明恵上人といえば、栄西が持ち帰った茶の種を京都栂尾高山寺に撒いたと伝えられる人物として、お茶関係者の間では有名。しかもK和尚が敬愛してやまない高僧でもあり、これは行くしかない、ということで、向かう。出身地は有田であり、何とか辿り着いたその場所には碑が建っていた。和尚は早々にご挨拶の読経する。このような経験はなかなか出来ない。

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明恵上人は武士の子として8歳までここで暮らしたが、孤児となり、親戚を頼って神護寺に入り、その後華厳宗中興の祖となる。『仏陀の戒律を重んじ、受け継ぐ者』としても知られている。近くの歓喜寺も上人ゆかりの地となっていた。更には如何にも箱モノ行政?の、明恵ふるさと館、なるものもある。ちょっとそぐわない感じ。そこで食事をすることになったが、何と明恵うどんというメニューまである。どうなんだろうか、この高僧に対する地元の態度にはちょっと疑問がある。

 

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奈良で即席茶会

そして有田からJR橋本駅まで走り、ここから電車で高野山に戻る和尚を見送り。そこからはなかなか分かりにくい一般道を縫うようにして走り、何とか切り抜け、奈良方面へ。昨年3月訪れた針テラスというところへ行く。そこには昨年6月にS君のところに手伝いに来ていた茶農家一家が待っていた。何とこのサービスエリアの公共スペースで即席お茶会。これはまたすごい展開。今回四国などで手に入れたお茶などを早々試してみる。

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数年前に就農したこの人、お茶作りを行っているが、それを軌道に乗せるまで、様々な仕事を合わせてしているようだ。行政からの支援もあるが、実態としては、日本で新しく農家をやっていくのは容易ではない、という印象を受けた。特に家族がいる場合、そのリスクはかなり大きい。それでもチャレンジする、それは素晴らしい。

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あまりゆっくりしていると日が暮れてしまう、というので、小1時間ほどで奈良を後にする。それから三重を通っていると、道の両側に茶畑が見える。三重は日本で三番目に茶が採れる場所。初めて見る三重の茶畑にちょっと興奮。伊勢神宮などの話をしていると、車はサービスエリアに入り、建物の中には伊勢の赤福の出店がある。ぜんざいを注文。大勢の人が待っている。こんなに気軽にぜんざいを食べながら、お茶を飲める空間があるのは良いと思う。それでもお茶というものはやはり主役ではなく、脇役なのだな、と強く感じもする。まあワインは料理の引き立て役、という感覚も重要かと。

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そしてIさんの故郷、安城へ向かうが、土曜日の夕方でかなりの渋滞に嵌る。ここだけはIさんが運転する。かなりののろのろで、安城に到着したのは午後7時前。そこで荷物を下ろし、今日はS君の家に泊まるため、牧の原へ向かう。『東京に帰るのは明日がよい。車で送ってくれる人がいる』という言葉に敏感に反応し、ずうずうしくも、1泊お世話になり、その上、東京まで連れて帰ってもらう案に乗っかる。

 

途中サービスエリアで夕飯を食べ、夜9時半頃、牧の原に着く。そういえばS君の茶畑、見たことないというと、真っ暗な中、連れて行ってくれ、車のライトで見学。こんな夜分に茶畑を照らして写真を撮っている、どう見ても怪しい二人連れだ。人が通ったら泥棒と思うだろうか?

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その夜はS家にお世話になり、疲れもたまっていたせいか、人の家にも拘らず、早々に寝込む。本当に疲れているのは長時間運転していたS君のはずだが、すでに明日の準備に追われていた。若さというのであろうか。羨ましくもあり、無理は禁物との思いもある。まあ普通の人は私みたいに遊んでばかりはいられないのである。

 

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