四国・和歌山・静岡茶旅2015(8)和歌山 興味の尽きない龍神茶

5.龍神

龍神村へ

フェリーを下り、和歌山市内から龍神村へ向かう。私は完全に方向を失っており、一体どこを通っているか全く分からなくなっていた。この付近に来るのは初めてであり、地図を眺めたこともないので、龍神村がどの辺にあるかも分からない。龍神という神秘的な名前が益々神秘的になる。

 

有田の辺りを通過した。昔は有田みかんといえば有名で、父が良く食べていたのを思い出す。八百屋の次男だった父はみかんやスイカの良し悪しを見分けるのが上手く、父の買って来たみかんは常に甘かった。途中道の駅に寄る。K和尚は知り合いの工房がそこにあるというので挨拶に行く。さすが和歌山、和尚の地元である。が、彼も高野山から近い龍神村に足を踏み入れたことはないらしい。

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そして約2時間かけて龍神村付近に着いた。カフェに飛び込むと、そこには龍神茶の関係者が首を長くして待っていてくれた。早々にまた車に乗り、茶農家さんを訪ねることになる。龍神茶は晒青緑茶と言われ、プーアール茶の原料茶のようなものだ、と以前聞いたことがある。一体それはどんなものだろうか。

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宮脇さんのお茶

更に車は30分ぐらい山道を入る。龍神村はその面積の70%以上が500mを越える山に囲まれている山岳地帯。きれいな道路はあるが完全な山の中に、茶農家宮脇さんの家があった。バス停が目の前にあったが、1日2本しかない。殆どの人が車で龍神温泉へ向かうようだ。周囲はいい感じの山に囲まれている。まずは家に上がり、お茶を頂く。この家には以前秋篠宮様がやってきたとかで、それ以来、お茶を献上しているという。その貴重なお茶を早々に頂戴する。確かに雲南あたりで飲んだお茶、ミャンマーで緑茶と言っているお茶に似ている。

 

作り方を聞いていると、茶葉を炒めて、揉んで、天日干しする。先日行ったタイ北部、メーテンの緑茶の作り方によく似ていた。やはりここのお茶は雲南、タイ、ミャンマー辺りから渡来したのではないか。しかしいつ頃、誰がここにお茶を持ち込んだのだろうか。四国同様その歴史は謎に包まれている。恐らく書かれた資料は存在しないだろうし、推測の域を出ないだろう。

 

気になったのは、この辺の人は『明るい人が多い』という話。以前富山のバタバタ茶の里、蛭谷を訪ねた時も、この集落だけ、人柄が他と違う、実に明るいと聞いたのを思い出す。渡来人が祖先と決めつける材料には乏しいが、決してありえない話ではない、ということだろうか。四国の高地同様、黒潮に乗って太平洋から和歌山に着いたのだろうか。龍神という名前がどうしても中国を想起させる。徐福伝説なども頭を過るが短絡すぎるだろうか。このお茶と同じ製法が広東省にあった?という話も以前聞いた。本当に興味は尽きない。

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宮脇さんがとても丁寧に茶畑を案内してくれた。何だか盆栽のように茶樹が丸く刈り取られている。シカやイノシシの被害に遭わないように、防御のネットがあるところもある。自生の山茶が原料とのことだったが、ここではしっかり管理されている。既にお茶を作る人も少なく、茶は貴重、幻になりつつある。陽が西に傾いてきた。茶畑の自分の影が伸び、帰る時間を告げていた。

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最後の食堂と温泉

夕飯を食べる場所がない?ということで、龍神最後の食堂を予約してもらった。予約というより、これから行くので、閉めないで待っていて、という依頼をしたということだ。日高川沿いに走っていくと、その食堂が見えた。周囲は釣りをする客ぐらいしか来そうも無い場所。

 

店内は如何にも昔の大衆食堂の雰囲気を残しており、いい感じだ。有名人のサインなどが飾られており、ロケなどで立ち寄った形跡がある。アユ釣りが解禁になるとここで入漁券を購入するらしい。ここはアユ釣りのメッカ!ご主人も釣り人で、これから忙しくなるらしい。食事はあまごという魚を焼いた定食。まあなんとも贅沢に2尾も付いている。またまた日本の良さを堪能した。

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そして本日の宿泊先、龍神温泉へ。立派な温泉宿があり、料金も高いが、我々はその別館で素泊まりして、安く上げる。ナイス!男三人、布団を並べて寝る。温泉は、川を渡った本館にある。川には吊り橋が掛かっており、高所恐怖症の私には難易度が高そうだったので、小雨を口実に車で送ってもらう。温泉は立派で、日本三大美人の湯?という触れ込み。何だか肌がすべすべした気分になる。それにしてもこうも連日温泉三昧。そして風呂から出るとお茶三昧、もうあり得ないほど、満たされた世界を送っている。実に、実に有難い。Iさん、S君には感謝の言葉もない。

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