四国・和歌山・静岡茶旅2015(5)愛媛 霧の森と脇製茶

日本一の大杉

大石さんと別れ、街のスーパーに碁石茶を買いに出かける。スーパーには地元の特産品として碁石茶を置いているほか、碁石茶入りの大福などもある。地元限定食品が大好きなK和尚は喜んで色々と買い込んでいる。私は碁石茶を買ってみたが、小分けにされており、買い易い。しかしよく考えてみると結構高い値段で売っている。これでも買う人がいるのであれば、それは成功、ということなのだろう。従来の日本茶の売り方では未来への希望は感じられないが、碁石茶には未来が見えている。

 

次の地へ移動するのだが、途中に気になる看板があり。寄ってみることになる。『杉の大杉』、行ってみると、駐車場で『協賛お願いします』と言われ、1人200円の入場料を取られる。これは駐車代なのか、入場料なのか?中には賛同しない人もいて支払わないケースもあるとか。

 

神社には見事に大きな杉があった。2株が合体している。樹齢3000年以上?樹高は56mと60m、1株の根回りは20m近くもあり、とても普通の杉とは思えない。静寂の中、あたりが少しずつ暗くなる。大杉が全てを覆いつくそうとしているかのようだ。四国の山中は実に神秘に満ちている。

IMG_3769m

 

霧の森ロッジ

本日のお宿は霧の森ロッジという場所。高知県から愛媛県に戻ってきた格好だ。市の名前が『四国中央市』、確かに四国のほぼ真ん中に位置するようだが、なかなかすごい名前だと感心する。四国4県で議論はなかったのだろうか?川の脇に作られた霧の森、という施設。かなり大きな敷地を使っている。ロッジがいくつかあり宿泊が可能。我々は一番奥のロッジに4人で泊まった。隣には温泉がある。が、もっと大きな温泉が別にあるというので、そちらへ向かう。

IMG_3783m

 

その温泉はとても大きく、地元の人が沢山入りに来ていた。宿泊者用というよりも、地元の人に使われている。それが本来の望ましい姿なのかもしれない。それにしても、日本というところは本当に贅沢だ。1泊2食付き温泉に泊まればバカ高いが、ただ温泉に入るだけなら数百円で済む。何とも有難い。外国人もこんなところにはきっと満足できるだろうと思う。実は日本人ほど風呂に拘る民族?はいない。日本人は毎日温泉に浸かっても平気だが、外国人は慣れた人でないと難しいのではないか。

 

ロッジに戻ると、この霧の森に大いにかかわった脇製茶の脇さんとお孫さん、そしてこの施設のカフェで働く日本茶アドバイザーの方々が集まっていた。今夜もまたお茶会だ。こんな集まりは何とも嬉しい!それもロッジの部屋でこじんまりと。S君が早々に釜炒り茶を淹れる。脇さんはすでにご高齢だが、わざわざ来て頂き、お茶の話などを聞かせて頂く。有難い。横でお孫さんがしっかりとそれを聞きとっている。まさに伝承の世界なのだ。

IMG_3782m

 

お茶会がお開きになると、皆はまた温泉に浸かりに行く。私は疲れていたので遠慮した。既に体が東南アジア型になっているようだ。元々に体質かもしれないが、江戸っ子のように烏の行水になってしまう。長風呂は疲れ、体に堪える。『日本人は風呂で体の機能を調節している』と言った人がいるが、まさにそうなのだろう。私は調整が出来なくなっている。

 

3月12日(木)

脇製茶

翌朝は早く起きて、一人付近を散歩した。実に気持ちの良い朝で、周囲の静寂さ、そして鳥の鳴き声、足取りも軽やかになる。川辺に降りるとその音が素晴らしい。水も澄んでいる。こんな環境、中国人ならお金を払っても欲しいだろうな、などと思ってしまう。中国人がひっそりとここを訪れる日が来るかもしれない。夏は水遊びも出来るようだ。

IMG_3798m

 

朝ごはんは前日配られたパンと卵、そしてサラダ。このような朝食の出し方もありかな、と思う。個人的には毎朝ご飯とみそ汁よりは、パンやコーヒーがあった方が有難い。といってもこのメンバーでコーヒーはないだろう。やはり朝からお茶だった。早々に荷物を纏めてチェックアウト。

 

本日はすぐ近くの脇製茶さんを訪問する。家の前の茶畑まで脇さんが出てきて頂き恐縮した。この街は新宮といい、ここの茶は新宮茶と呼ばれている。脇さんのお父さん、脇久五郎さんの像がある。新宮茶の創始者。被せ用の畑もあり、一部手摘みも行われているようだ。S君は早速茶畑に切り込み、写真を撮りまくる。

IMG_3811m

IMG_3817m

 

ご自宅では現在の社長、脇さんの息子さんに応対して頂いた。四国のお茶の歴史を尋ねると、これまで綿々と調べてきた話を披露してくれた。恐らくはかなり前に、西方から船に乗って流れてきた人々が茶樹と製茶法を持ち込んだのではないか、とのことだった。私も感じるところがあり、この説を証明することは難しいとしても、排除はできないな、と思う。今回のミャンマー茶もそのようにして、四国に流れ着き、碁石茶などになったというのが分かりやすい。

IMG_3823m

 

それにしても脇製茶のお茶は実にお茶の味のうまさが出ていた。何故なのだろうか、歴史の話ばかりで肝心のお茶の話を聞き逃したが、最近沢山飲んできた日本茶の中でも、非常に美味しいと感じられる、濃い目の緑茶が出てきた。水もよいのかもしれない。そしてこの四国の中央で、大切にお茶を育て、作っているからだと思う。

IMG_3814m

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です