ミャンマー決死行2014(11)厳戒態勢のネピドー

6.ネピドー

厳戒態勢のネピドー

帰りにネピドーに寄ってもらった。ちょうどマンダレーとヤンゴンの中間に位置する人工都市。2003年頃から軍事政権下で極秘裏に建設され、2006年に首都移転、突如現れた一夜城。『行っても面白くない街』と色々な人から言われていたが、実は一層興味が湧いていた。一体どんな風につまらないんだ?

 

行きは高速道路から街の端を眺めただけだったが、それでもいくつか建物が見えた。今度は高速を降りて街へ向かう。街の入り口には検問があった。なんだここは、入ってくる者を一々全てチェックしているのか?横を見るとASEANサミットの看板が出ている。これだ、来週はオバマも安倍も、アジアの首脳たちもここにやってくる。それで警戒厳重なのだろう。

DSCN0894m

 

それにしても車が少ない。殆どいないと言ってもよい。だからこんなにチンタラ、1人ずつ身分証をチェックできるのだ。我々は外国人だから、『入境禁止』にならないか心配したが、特に誰何されることもなく、通り抜けた。まあ1週間以上も前なのだから、チェックはするものの、緊張感はないのかもしれない。

 

街は本当に広々していたが、車も走っておらず、ましてや道を歩いている人は皆無。一体ここは何なんだ。役所は全てここに集められていると聞いたが、どこにもそれらしい建物は見えない。あとで探してみると、ある一角に各省が1つずつ広大な敷地を貰っており、入口の門は見えるが、建物は全く見えないことが分かった。ずらりと並ぶ官庁街を想像していた私は、全く間違っていたのだ。百聞は一見に如かず。

 

車で回るも、広すぎて、行けども行けども先がある。1つの広大な都市を人工的に作るというのは途轍もないエネルギーなのだろう。郊外には駅があり、空港も作られている。何とも広い道路があった。片道十車線、両側20車線、何故こんなものが出来たのか。恐らくは航空機のスクランブル発進用なのだろうが、これまでの旅で見たこともない広さだった。軍事政権はここで何をするつもりだったのだろうか。西側との戦闘、少数民族との戦いを想定していたということか。

DSCN0898m

 

ホテル街がある。国際会議などを首都で開くために誘致したのだろう。来週はどこも満室だろうが、今はひっそりしている。ホテルとホテルの感覚もかなり広く、隣のホテルに遊びに行くにもちょっと歩く感じ。国際的なホテルチェーンはあまり見られなかったが、規模の大きなホテルばかり。ここは私のような者がフラッと来る場所ではないな、と感じる。それでも動物園や宝石博物館など観光客向けの施設もあり、最近は家族連れなどが遊びに来るとも聞く。ミャンマー人なら必ず行く、お寺も完備されている。ヤンゴンのシェンダゴンパゴダに似せているらしい。

DSCN0899m

 

道路にはバス停があるが、バスは一度も見なかった。屋根のあるバス停に人が2₋3人所在なげに座っていた。あれはバスを待っていたのか、単に暑さしのぎだったのか。車で来ない限り、何もできない街だった。特に今は、警備の人々だけが目立つため、車から降りて写真を撮ることすら憚れた。道路の草木を手入れする労働者だけが、異質なものとして、そこに居た。

DSCN0903m

 

ランチを食べるところもない。レストラン、が道路沿いにある、ということもない。食べるところは基本的にホテルか。我々はショッピングモールへ行く。きれいなモールだが、お客はあまり居ない。本当に人の気配のない街だ。それでも主要官庁が揃っているのだからそれなりに人口はあるはずなのだが。家族をヤンゴンに残す単身赴任が多いと聞くので、役所と家の往復、昼間は外に出ている人口がない、ということだろう。

DSCN0904m

 

モールにはレストランがいくつか入っていた。その中の1つに入ると、日本人の出張者と思われる一団がご飯を食べていた。暑いミャンマーに来ても、ちゃんとスーツを着て、ネクタイをしている者までいる。こういう姿を見ると、申し訳ないが、現地には溶け込めないな、と思う。勿論1₋2日で帰ってしまう人々なのだが、どうなんだろうか。まあ、逆に日本人であることを強調するにはいい出で立ちかもしれない。中国人と間違えられていいことはあまり無い。韓国人はどうなんだろうか。

 

入った店はヤンゴンにもあるチェーン店。頼んだ麺を食べてみると何とも味の素。具は沢山入っていてよいのだが、ウマイとは言い難い。今や段々見なくなった味の素、ミャンマーではまだ沢山使われている。ミョーテイ村の麺が懐かしい。自然が一番だ。アイスコーヒーも妙におしゃれで違和感が。

DSCN0908m

 

私のネピドー体験は僅か2時間ほどで終了した。でもこの2時間で十分ではないだろうか。歴史のない、人工的な、人影のない街は、私にはそぐわない。自分が一体どんな街に行きたいのか、はっきりさせるのによい場所を訪れたことになる。

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です