梨山に登る2014(7)梨山 山の別れ

5月27日(火)

天池

翌朝は雨だった。天気が悪いと気持ちが沈む。一面、霧に覆われた茶工場、そして茶畑。歩いていても、ジメジメして寒い。オフィスに入ると、皆何となく浮かない表情で働いていた。しかし天気ばかりはどうしようもない。工場では昨日何とか運び込んだ茶葉を盛んに製茶している。あの土砂崩れの中救出された茶葉、何となく愛おしい。

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今日私は山を下りる。Johnnyが『帰る前に天池を見に行こう』と言い、荷物を積み込んで、工場を後にした。呆気ないほど簡単な別れだった。まあ、また来ることもあるだろう。車は懐かしい茶畑を過ぎ、別の山へ。そこに天池はあった。霧が無ければとてもいい景色だろうという場所に車を停める。

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少し歩くと霧の中に池が現れる。なかなか幻想的な風景となっている。そして向こうに霞んで建物が見える。達観亭、蒋介石の別荘、いや会議をするための建物らしい。蒋介石は風光明媚な所に別荘を多く建てている。恐らく1年の内半分以上は別荘で政治をしていたのではなかろうか。

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達観亭の中を見学しようとすると、既に午前中の見学時間は過ぎていた。だがJohnnyが声を掛けると、おばさんが出てきて、どうぞ、という。こんな天気だからお客さんは来ないと思っていたと言いながら、中へ促す。1階は会議をする雰囲気はあるが、2階には大きなベッドがあり、休息場所だった。おばさんによれば、実際の宿泊施設は別に山荘があるという。何という贅沢な。行ってみると、古めかしい建物はあったが、中の見学は出来なかった。今でも使用されているのかもしれない。雨も降っていたので、そのまま車に乗り、スルー。

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梨山の街に入る。そこでランチを取る。美味い麺があるというので、注文する。Johnnyとは4日間も一緒にいた。彼は忙しいのに色々と面倒を見てくれた。とても感謝している。別れはちょっと辛い。

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バスで下山

梨山発1時のバスを探すがどこから出るのか分からない。雨はかなり強くなり、周囲が見えなくなる。バスは2台停まっていたが、運転手の姿はない。梨山山荘、立派なホテルがあり、逃げ込もうかと思ったが、もしバスが出てしまうと、今日はもう便がない。強風が吹く中、耐えて待つ。もう一人、バスを探している人がいた。

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1時少し前に運転手が来て、バスに乗り込んだ。Johnnyは手を振りながら去って行った。何だかとても寂しい気分になる。雨のせいだけではあるまい。バスは直ぐに動き出す。ちょっと下って行くと晴れてきた。やはり山のお天気だ。そしてバスが停まる。ここでも通行止めがあった。本当に大変だ、山の中。そこも無事に通ると、後は来た道を戻るだけ。目を瞑っているとどんどん時間が過ぎた。特に何もしていなかったような気がするが、実は相当疲れていた。当然だろう、2500mの高地、慣れていなかったのだが、何となく過ごしてしまった。これも旅慣れた、ということだろうか。

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宜蘭に着くと、天気だった。先ほどの梨山の風雨は何だったのだろうか、そしてあまりに暑い。というか、梨山が如何に涼しく、快適だったかが今になって分かる。バスのエアコンが心地よい。台北までのバスは梨山と違い、頻繁に出るので、すぐに台北に到着してしまった。

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3.台北

吉野屋

宿に戻る。今回は本館に泊まる。先ずは溜まっている衣服の洗濯だと思い、リビングに行くと、60代の男性が洗濯しようとしていた。だが、洗濯機の使い方が分からないという。自宅ではやったことがないのだろう。日本統治時代の何らかの研究にために来たという。ネットも自分で繋がなければならない。良い経験なのではないだろうか。

 

洗濯しながらネットを見る。山の上でもネットは繋がったのだが、やはり何となく落ち着かなかった。ここでは落ち着いてメールを返信し、ブログアップを行う。旅の間は出来ることは限られる。あたりは暗くなり、腹が減る。

 

外へ出ると、なぜか吉野家が目に入る。偶には食べてみるかと入っていく。吉野屋と言えば、25年前、台北単身赴任中によく行ったところ。確か近くに店がなかったので、タクシーで行ったな。吉野屋にタクシーで行く、それだけでバブルっぽい。そして驚いたのが、定食は味噌汁かコーラが選べたこと。牛丼にコーラなどあり得ない、と思ったが、ある日思い切って食べてみるとこれが意外とイケた。以後、私は吉野屋ではコーラになった。

 

今回も久しぶりなので牛丼、コーラを注文しようとしたが、何とコーラは無くなっていた。代わりは紅茶?だった。試しに頼んでみると、甘いアイスティーが出てきた。これで牛丼は辛かった。店員は『今は皆さん健康志向です!』と言い、メニューには『ヘルシー』と称して、生野菜と温野菜が付いたセットがあった。店は混んでいたので、ちゃんと顧客ニーズを掴んでいるのかな、と思うが、甘い紅茶が健康なのだろうか。

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