梨山に登る2014(3)梨山 心浮き立つ晴れ間

華剛茶業で(http://www.hgtea.com.tw/

福寿山農場で待っているとJohnnyがランドローバーに乗って迎えに来てくれた。それにしても寒い。車はどんどん登っていく。まさかこんな高い所へ来ると思ってはいなかったので少々驚く。10分ほどで茶工場へ到着。工場内は非常に清潔、早速お茶を飲み始める。暖かい。

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普通の年であれば、ちょうど今頃茶摘みは終わるという。ところが今年は天気が悪い。何と22日連続雨が降っているという。これでは満足な茶摘みが出来ないと嘆く。それでも毎日茶葉が運び込まれ、茶作りは行われている。私は雨に救われ、茶作りを見ることが出来ている。複雑な思いだ。

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工場の2階に上がると茶葉を干している。室内ではあるが、陽の光が差し込むように設計されており、温度調節などもきちんと管理されている。一面に広げられた茶葉は何とも落ち着く光景。その日の茶葉により、乾す時間も、温度も微妙に変わる。安渓の張さんのように少ない量を一人作るなら自分の感覚で出来るが、一日300㎏以上を作るとなるとそうはいかない。

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乾した茶葉は下に運ばれ、室内萎凋が行われている。今置かれている茶葉は今晩一晩寝かされ、翌朝炒青される。上の階には他に茶葉を検査する部屋もある。普通お茶は作られた後、農薬検査などをするようだが、ここでは運ばれてきた茶葉をまず検査し、基準を超える数字が出れば茶作りは行われない。本来はこれが正しい検査だと思う。

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因みに華剛茶業が持つ茶畑は多くなく、付近の茶農家と長年の付き合いで取引をして茶葉を集め、製茶している。農薬など必要な物は華剛が一括購入して、各農家に配る。これにより、農家ごとのばらつきを抑え、華剛が欲している茶葉を得ることが出来るという。華剛は元々茶商でスタートしたがJohnnyのおじいさんの時代にこの梨山に入り、茶葉作りを始めた。お父さんの時代に、現在の華こうにある製茶場を開業した。最近非常に有名になった大禹嶺の高山茶はおじいさんたちが切り開いたともいえる。

 

それにしても寒い。夕飯は工場で作られ、皆で食べる。私も今日から勝手に一員となり、働いてもいないのに飯を食う。この空間、雰囲気が何とも好きなのである。何人かは立ったまま食べている。そしてお椀は1つだけ。ご飯を食べたらスープが飲める。これは中国でも台湾でもよく見る光景だ。食事は肉あり、魚あり、野菜ありとおかずが多彩。そして冬瓜のスープもあり、体が一気に温まる。人間やはり食べなければいけない。

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食事が終わるとJohnnyが作り立てのお茶の試飲を始める。茶師であるJohnnyのオジサンも加わり、カップにふんだんに入れた茶葉を見、レンゲを突っ込んで香りをかぎ、真剣に飲む。とても食後のお茶という雰囲気はない。ただ長い時間飲んでいる暇はない。さっと飲んで簡単に意見交換して、また持ち場に戻る。私だけが悠長にレンゲから茶をすくって飲み続ける。正直3月に豊原のオフィスで飲んだ高山茶の味は出ていない。

 

民宿

一日目が終了し、9時過ぎに民宿に案内される。車で2₋3分の近さにある1階は商店のような宿。何と客室は地下にある。いや、客室が1階、入口は2階なのだろう。これも面白い。そして泊り客は私一人だけ。おばさんが色々と世話を焼いてくれる。ここに泊まる客は基本的に茶葉の買い付けや製茶に関わる人々らしい。

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地下に降りていくと、ログハウス風の部屋がいくつか並んでいる。部屋の中はこぎれいな作りだが、窓はない。清潔なベッドと掛布団を見て、安心して眠れそう。Johnnyが宿のおばさんに『寒いんだから電気毛布入れてね』と言ってくれていたらしく、ベッドには既に電気毛布が敷かれていた。部屋は最近使っていなかったのか、かなり寒いがこれで安心。

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先ほど夕食時にJohnnyがウイスキーを開け、『寒いから飲もう』というので一杯だけ付き合ったが、水割りでなくストレートであったためか、結構体に効いており、早々に布団に潜り込んで寝る。暖かかったが、お茶の飲み過ぎか、妙に頭が冴えて困った。

 

5月25日(日)

朝晴れた

翌朝6時に起きたが、窓がないので天気が分からない。6時半には上に行き、PCを使う。ここにもWIFIが飛んでおり、ネットは繋がった。但し地下には電波は届かない。外を見ると明るい日差しが目に入る。外へ出ると光がまぶしい。まるで昨日とは別の世界のように輝いている。おばさんが作ってくれた大盛り麺を平らげ、製茶場へ歩いて行く。

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道の両脇には畑が続く。キャベツやニンニクのようだ。向こうには雄大な山の風景が広がる。明るい日差しを受け、山は喜び、雲はうねっている。実に気持ちの良い朝だ。歩いていても足が軽くなるのが分かる。人間、人間も植物も陽の光がいかに重要か、良く分かる。昨日は天気の悪さに落胆していたJohnnyもこの天気に思わずはしゃいでいた。ただ彼は昨晩首を寝違えたようで、喜ぶたびに首を押さえて痛がった。私の経験から言えばこれは単なる寝違えではなく、『経営者としてのプレッシャー』が大きく影響していると思う。その意味でも今日の天気は何よりの薬のはずだ。

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1 thought on “梨山に登る2014(3)梨山 心浮き立つ晴れ間

  1. 台湾での日常がわかりました
    エコ茶会でまうぞうさんのセミナーに参加しましたので雰囲気が伝わりました
    ありがとうございます

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