懐かしの安渓を再訪する2014(2)安渓 家族総出の茶作り

車は見知らぬ家の前に停まった。運転手、安飛の家だという。『じいさんの家は皆仕事で出払っている。うちで飯を食おう』と。彼の奥さんは張さんの長女なのだ。奥さんは麺を作って待っていてくれた。何だかとても美味しく感じられた。

 

食後安飛は『茶でも飲むか』と言い、老鉄観音茶を出してきた。これは味わい深いお茶だった。彼は車の運転もしているが、茶の仲買のようなこともしているらしい。いいお茶があれば買い込んでおいて、外へ売るらしい。この村ならこんな商売も成り立つのかもしれない。

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それから荷物を持って張さんの家へ行き、荷物を部屋に押し込んでまた外へ出る。安飛は車をバイクに乗り換え、私は後ろに乗り、山道を行く。今日はいい天気だ、少し熱いぐらいの陽気だ。茶畑もきれいに見える。

 

懐かしい再会 茶摘み

あの懐かしい作業場へやってきた。張さんは相変わらず黙々と作業しており、高さんの息子が手伝っていた。だが、高さんはいなかった。聞けば『今ちょうど総出で茶摘みをしている』ということで、茶畑へ連れて行って貰う。畑へ行くには山の細い道を上り下りしなければならず、慣れないと案外難しい。

 

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茶畑へ着くと、高さん以外に張さんの奥さん、次女夫婦が茶摘みをしていた。珍しい、こんなに大勢で摘むなんて。『実は明日は天気が崩れる。今日のうちに摘めるだけ摘んで茶作りをする』という。機械なら多少の雨でも摘むが、手摘みは雨の時はしない。張さんは茶葉を大事にする。『いい茶葉が無ければ苦労して作っても無駄だ』という考えだ。

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高さんの摘むスピードは相当なものだ。奥さんは大きなはさみを使って摘んでいる。皆軍手をはめている。炎天下の茶摘み作業、重労働だ。思わず見様見真似で私も手伝う。出ている芽の部分をめがけて手を伸ばす。次々に手を動かすが、摘める量など高が知れている。手摘み、というのは本当に大変なことなんだ、その茶葉は貴重なんだ、疎かにはできない、と摘みながら考える。

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1時間ほど摘むと『もういいか』ということになり、茶葉を担いで作業場に戻る。摘んだ茶葉は直ぐに家の前で天日干しにする。シートを敷いて茶葉をその上に均等に撒く。これなら私にもできるだろうと思ったが、安飛に『これは簡単じゃない。見ているだけがいい』と言われてしまう。どんな作業にも簡単などというものはない。素人には分からない。

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中に入ると先ほどまで干していた茶葉が収納されている。今日は本当に多くの茶葉が摘まれたのだ。張さんが『昨日作った茶、飲むか』と手に茶葉を掴んでやってくる。飲むと『あー、俺はこのためにここまで来たんだ』という爽快な気分になる。このお茶の美味しさを言葉に表現することは難しい。

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ここでずっと茶を飲んでいたい、と思うのだが、張さんは直ぐに作業に戻る。安飛が手伝う。殺青を行い、揉捻の為に茶葉を布で巻き、そして茶を火に掛ける。いつもならゆっくり1つずつやるのだろうが、今日はいくつもの作業を並行して行う。私も手伝いたかったがとても手が出ない。安飛と次女の旦那は心得があるようで、さっさと作業を進める。私はただただ見入る。

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少し経つと、地瓜を干した地瓜干を茹で戻した食べ物が出て来る。作業は刻一刻、その中で常に腹ごしらえもしなければならない。これは本当に戦いなのだ。作業した全員で美味しく頂く。張さんは遠くの空を見つめていた。その後ろ姿は何とも格好が良い。今日会ってから初めて会話した。『明日は雨だな。雲の動きと、鳥の動きで分かる』という。安飛は携帯で確認し、『明日の天気予報は雨だぜ』と告げる。『そんなことは分かっている』と張さんの背中が語っていた。

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