懐かしのミャンマーを行く2012(5)のろのろ行くミャンマーの鉄道

(10)マッサージと優雅でライトな夕食

ボートトリップを終わり、陸に上がる。直ぐそこには倉庫があり、先程見たトマトが溢れていた。また青く細長いナスも印象的。湖で取れた野菜がここで陸揚げされ、選別されて、市場へ運ばれていく。

歩いていると何だかいい匂いがした。見ると何とホットケーキを焼いている。8つもフライパンが並び、どんどん焼かれていく。TAMが2つ買ってくれ、食べたが、なかなか美味しい。甘みは蜂蜜か。これはどこの文化の輸入品だろうか。まさかケーキもミャンマー発ではないだろう。

TAMは疲れたのでマッサージへ行くという。私も着いて行く。普通の民家のような所に「マッサージ」の表示があった。中へ入ると非常にシンプル。床に寝ていると、マッサージが始まる。最初はおばさんが、オイルのような物を付けて、背中を揉む。少ししたら男性が出て来て、首や背中を強く揉む。これはかなり効く。

このマッサージはミャンマーのこの地方で古くから伝わる手法だというが、薬草のようなものを塗り、体になじませる。意外と強烈なのか、少し疲れを覚える。小屋の中には「マッサージの後はシャワーに入らないで」との注意書きが英語と日本語で張られていた。マッサージ後、体がほてり、毒素を排出するが、シャワーはそれを妨げるというのが理由。確かにマッサージ後は体が何となく火照り、眠気が出る。

帰り道で、串焼きの屋台が出ていた。何となく食べたいなと思うと、すかさずTAMが「食べよう」という。そして肉や野菜を注文すると、橋を渡って立派なホテルへ向かう。これは何だ。何と、注文した料理はこのホテルの前庭で食べることができることになっていた。屋台の串焼きをホテルのテーブルで食べる、信じられない環境だ。


   

まだ時間的には夕陽が差す。こんな時間に実に優雅な夕飯を食べることになる。そして料金は屋台並み、有り得ない気分だ。こんなことがあるから、ミャンマーの旅は楽しいし、止められない。

6月24日(日)   (11)爽快な水シャワー

昨晩も夕食が早く、そして眠気が早く襲い、直ぐに寝てしまった。昨日のマッサージの影響もあったかもしれない。いい睡眠だった。そして朝起きると直ぐにシャワーを浴びる。ところが、お湯がなかなか出ない。朝からシャワーを浴びる習慣などないのかもしれない。仕方なく、水で浴びる。

シャン州はヤンゴンとは違い、比較的涼しい。その中で朝のシャワーは寒いかと思ったが、意外と暖かい。そして気持ち良い。無理してお湯を浴びる必要はなかった。気分よく朝食へ向かう。

朝食は食パンにオムレツ、そしてTAMから回ってきたかき揚げ?と赤米。コーヒー、ジュース、フルーツと多彩。何だか変な取り合わせに思えたが、朝から腹一杯食う。昨晩の食事が早いと、全てが良い感じで回ることを知る。

そしてチェックアウト。今日は駅へ向かう。時間があるので市場見学。ここの市場は威勢の良い魚売りのお姉さんなどもおり、なかなか面白い。顔にタナカを塗った女性たちが懸命に売っている姿に好感が持てる。ヤンゴンとはすべてが違う。

(12)列車の旅

TAMの粋なアレンジで初めてミャンマーで鉄道に乗る。ミャンマーの鉄道は非常に時間がかかると聞いていたが、果たしてどうなのだろうか。駅へ行くと、実にこじんまりした駅舎が見える。そこへ頭に荷物を載せた乗客がどんどん集まって来ていた。

実は我々は先程の市場へ行く前に一度駅に寄り、チケットを購入していた。1時間も前に何故行くのか不思議だったが、列車が出発した時に分かった。何と外国人が2人、ベンチに向かって我々の列車を恨めしそうに眺めていたのだ。TAMによると、鉄道チケットは30分前には発売停止、身分証のチェックなどもある。あの外国人は自国の感覚で20分前に来て乗れなかったようだ。それがミャンマーの鉄道。


  

駅のホームでは様々な人々が待っていた。老人から子供まで、そして大量の荷物が積みこまれていた。ここニャウンシュエが始発駅で、ヤンゴンまでは何と30時間掛かるという。それは列車が動き出して直ぐに分かった。とにかくゆっくり走るのだ。歩いている人の写真がバッチリ取れるほどゆっくり走るのだ。

車内の1等車は古いがなかなか快適。2等車は相当年季が入っていた。1等の乗客はあまりいないので、ゆったりとした旅となる。田園風景が広がる。牛が歩いている。速度がゆっくりということは車窓から外がゆっくり眺められる。ビジネスマンには耐えられないだろうが、悪くはない。

途中ヘーホー駅で停車。ここは空港のある場所の近く。乗り込んでくる乗客は少なく、直ぐに発車するのかと思いきや、一向に発車の気配がない。降りてホームを見ると、何と芋等の野菜を懸命に積み込んでいる。この列車が遅い理由はこれだった。これは貨物列車なのだ。そういえば乗客も大抵は大きな荷物を抱えており、その中身は野菜だったりする。ヤンゴンまで売りに行くのだろうか。

30分ほど停車してからゆっくりと出発。そして次のアンバンという駅で下車するまで僅か2駅を2時間以上掛かって進んだ。最後の方は流石に疲れてしまい、優雅な列車の旅とはとても言えない。TAMが2駅の旅を選んだのはそこを知り抜いていたから。流石名ガイド。

(13)石炭炭鉱

アンバンの駅には車が待っていた。恐らくは車の方が何倍も速く着いたことだろう。あくまでも列車の経験を積むための乗車だった。アンバンの駅は木造の質素な駅ではなく、コンクリートの立派な建物だった。この辺には何かあるのだろうか。周囲は相変わらず、田園風景、理解に苦しむ。

車でビンダヤへ向かう。途中でTAMが「ちょっと寄りましょう」という。こういう時は素直に従う。必ず面白いことがあると経験から判断できる。しかし一見何もない草原を降りていく。牛飼いの少年と何か話した後、更に進む。一体何があるのか。

粗末な小屋が見えてきた。中に人はいなかった。更に行くと、ようやく人がいた。TAMが話し掛けると、首を振っている。どういうことだろうか。その女性に着いて近くへ行くと、地面が掘り返され、黒い物が出ていた。

「石炭です」とTAM。え、こんな平地で石炭が出るのか。しかし規模は実に小さいし、完全な手掘りだ。昔中国の河北省あたりで見た小規模炭坑と比べても、何とも小さい。しかも今は作業している様子もない。聞けば、最近は石炭価格が下がり、採算が合わないため、掘り出していない。男たちは北部の炭鉱へ出稼ぎに行ってしまい、残った者がこの地で見張り番をしているらしい。

それにしても、ミャンマーは資源宝庫だとは聞いていたが、こんな普通の場所でも掘れば石炭が出るとは。付近では水牛を使った伝統的な農業が展開されていた。ミャンマーの奥深さが感じられる光景だった。そういう意味ではミャンマーは楽園、かもしれない。

 

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