懐かしのミャンマーを行く2012(4)インレー湖ボートトリップで

6月23日(土)  (6)ボートトリップ

ミャンマーの田舎に来ると夜早く寝て、朝早く起きる。何とも健康的な生活となるが、その理由はネットが繋がらないことだろう。PCに向かう時間が短ければ、それだけよく眠れる、テレビや他の障害物が無ければ、そしてストレスが無ければ、ミャンマーの田舎は眠るのにちょうど良い場所なのである。

朝6時には散歩に出る。昨日行った川沿いは気持ちが良い。実に静かで落ち着いた空間がそこにある。船が浮かび、パゴダが向こうに見える。僧侶達は托鉢に歩く。ミャンマーらしい風景は既にヤンゴンでは消えかけているが、ここシャン州には確実に残っている。

朝食はクレープ。蜂蜜を掛けて食べたら、美味しかった。バナナとマンゴも食べ、満足。シンプルだが、いい朝食だった。新しいホテルは朝食も新しい。TAMは伝統的なシャンの朝食。味噌のような物をもち米に掛けて食べていた。これはこれでよい。

朝食後、インレー湖ボートトリップへ。8年前に一度ボートに乗り、日焼けで凄いことになったが、今日はそれほど暑くなさそう。細長いボートにTAMと2人乗り込む。そして懐かしい水上農園を見る。ちょうどトマトのシーズンなのか、トマトを取っている。湖自体も相変わらず雄大で景気が良い。例のインダー族の片足で舟を漕ぐ伝統も健在。

途中で船が数艘停まっている所があった。良く見ると漁師が取った魚を仲買人に売っている。所謂水上マーケットだった。昨晩から漁に出て、網を掛け、朝魚を売って仕事を終えるそうだ。何とも気の長い話だが、昔からこのような漁が繰り返されているのだろう。湖の素晴らしい風景と妙に馴染んでいた。

(7)インティエン遺跡を行く

かなり長い間ボートに乗り、ようやく湖が川となり、幅が狭くなり、家々が見え始める。人々の生活も丸見えだ。お寺もあり、村になってくる。そして到着地には既にボートが沢山停泊していた。多くの観光客が来るところらしいが、私は何も聞かされていない。私は全てをTAMのアレンジに委ねている。

先ずは市場へ行く。シャン州で開かれる5日に一度の市、今日はここで開かれているらしい。いつもの市場の風景がある。茶葉も売られている。ここで入手した緑茶茶葉は意外とおいしかった。

そしてお寺へ行く。少し回廊を上り、外へ出ると、何とそこには古いパゴダが沢山ある。比較的最近発見され、今少しずつ整備され始めたインティエンの遺跡だという。確かに長い間全く放置されているパゴダも多く、何となく可哀そうにも見えるが、200-300年前のパゴダが多いとのことだが、古びた様子がなかなか良い。

上に上ると今度は新しく修復された黄金のパゴダと古いパゴダが混在する。修復費用を負担する人が出るとそのパゴダが綺麗になるのだそうだ。そして寄付した者の名前がどこかに刻まれる。私も寄付して名前を刻もうかなどとも思ったが、以前TTMにビンダヤの洞窟寺院で戒められたのを思い出し止める。

寺院内では昼食が始まっており、お坊さんたちが片肌脱いで、豪快に食事をしていた。ちょっと迫力があった。男たちはお坊さんの給仕をしている。この仕草がどうにいっており、仏教国を感じさせる。女性は手出しが出来ない。

ゆるゆると下へ降りる。一体どれだけのパゴダが作られたのか、と思うほど、大量のパゴダだ。この地は今では発展から取り残されているが、ある時代には都であったのだろう。そうでなければ、これほどのパゴダは出来ない。

(8)インティエンの食べ物

そろそろボートへ戻るのかと思っていると、川の上流へ。そこは小さなダムになっていたが、その周辺では本当に昔ながらの生活が営まれていた。川で洗濯し、体を洗い、そして水を汲む。

我々が歩いていると、年配の女性が前に鍋を置いて座っていた。TAMが彼女に声を掛けると、彼女は立ち上がり、鍋に砂を敷き始めた。いぅたい何が始まるのかと見ていると、何とその砂鍋で大き目の煎餅を焼き始める。

そしてもっと驚いたことは、彼女は年配の女性ではなく、若い女性であり、その懐には赤ちゃんを抱えていた。彼女はここに座って煎餅を焼いてどれだけの収入になるのだろうか。赤ちゃんは生きていけるのだろうか、と余計な心配をしてしまった。何故かあの姿を見ると今でも涙が出そうで困る。TAMは一瞬にして彼女の状況を見抜き、さり気無く支援をしたのだと思う。その煎餅にはほんの少し砂が付いていたが、添加物などはまるでなく、実に実に自然な味がした。

更にボート近くへ戻ると、そこにはまるで日本のたこ焼きのような物が作られていた。食べてみるとタコは入っていなかったが、たこ焼きの外側に違いない。結構おいしいので幾つも抓まんでしまった。シャン州にはこのように日本の原型ではないかと思われる食べ物が沢山ある。いつの間にか市場は終わっていた。片付けのしている子供たち、その向こうには日本人の援助で出来たという学校がひっそりと建っていた。

(9)ボートで寄り道

水上レストランで昼食を取った。最近は観光用の立派なレストランがいくつかできている。店内はきれいでトイレもきれい。シャン州も観光用施設は進化してきている。ここで食べたのは何故かピザ。TAMが食べようというので食べたが、そういえば昨日もワイナリーでパスタ。シャン州で2日続けてイタリアンか。これも珍しいが、一つの変化。

そして8年前にも行った手造り繊維工場へ。水上に浮かぶ家屋は少し綺麗になっていたが、雰囲気は変わらない。相変わらず、相当古い機織り機で皆が懸命に織る。若い女性も年寄りも隔てなく仕事をしている。ここには定年はない。生きている限り、体が動く限り、働き、そして死んでいく、と聞き、人間の営みを感じる。生きがいとか遣り甲斐とか、考えれば考えるほど混乱してしまい、自分を見失う。シンプルライフ。

実は昨日はTTMの誕生日。何かプレゼントを買わねばと思い、TAMに選んでもらう。こういう物を選ぶのは全く自信が無いので助かる。結果、何にでも使えそうな布に決まる。SSにお土産が無いと僻むので、そちら用も購入。全てが手作りで価格は安い。有難いが、あの労働を見てしまうと、うーん。

ボートは真っ直ぐに帰らずに、寄り道する。今度はボートを作っている所で降りる。むくつけき男たちが、せっせと鉋を削っている。だが、一人が私に気が付き、船の模型を持ち出し、買えと迫る。ミャンマーではあまり強要されることが無いので驚く。断ると興味が無くなったとばかりに無視して作業に戻る。こんな所もあるのか。

ボートは元来た水の道を戻る。湖で生活する、大変なことも多いだろうが、何となく風情があり、好ましい。





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