台湾茶縁の旅2014(5)南投 凍頂山にはトマト畑が

3月19日(水)

5.南投

茶文化館

9時半にアンディが車を飛ばして迎えに来てくれた。アンディは京都の茶問屋Tさんが紹介してくれた。昨日のジョニーと共に先日にFoodexで日本にも行っており、その際Tさんから私の名前を伝えて貰っていた。彼は若干25歳、お茶屋の4代目。

 

アンディのベンツは快適に南投県を目指す。元々は私が路線バスで竹山まで行くことになっていたが、ジョニーからの連絡でここまで迎えに出た。この辺のお茶屋の繋がりはなかなか面白い。1時間もかからずに竹山に着いた。

 

アンディのお茶屋さん、遊山茶訪(http://www.yoshantea.com/)では現在竹山に『遊山茶訪茶文化館』を建てていた。建設中の現場へ入ると台湾茶の文化を発信しようというコンセプトで、工夫を凝らし、作っている。これまで使っていた製茶機械もそのまま置かれており、今後はここで製茶を見せるらしい。お茶は文化であり、単に売ることだけが目的ではない、ということだろう。完成は6月頃だとか。一度見に来よう。

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それからアンディは私を茶畑に連れて行った。ここは完全有機で茶樹を育てているらしい。『正直完全に有機(無農薬、無肥料)では商売にはならない』というが、『大事なことは勇気を持って有機にトライすること』といい、数年かけてどうなるか見ているらしい。

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確かに現時点では残念ながら、茶の木がすくすく育っているという雰囲気はなく、葉もあまり茂っていない。完全にこれから、という感じが滲み出る。恐らくアンディのお父さんの代まではこんな試みはしなかっただろう。若者はチャレンジしているのだ。エコだの有機だの言ってみても、結局は行動が大事。この一角が将来へ繋がる道、という感じがした。

 

あっという間に午前は過ぎ、ランチの時間になった。予想外にカフェ風のお洒落なレストランに入る。何とそこにはアンディの両親、お店の従業員が来ており、何やら打ち合わせをしながら既に食事をしていた。お父さんは3代目、お母さんは総経理、という肩書。

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めちゃくちゃボリュームのある定食が出てきて驚く。更にはここの名物だ、ということで竹包飯まで追加で頼んで頂き、もう食べるのが大変。最近は田舎にもお洒落な所が出来ていると聞いていたが、味はいいし、量は多いし、で大満足。

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凍頂山

午後は車で凍頂山に登る。ここは3年前に歩いて登った場所。凍頂烏龍茶の産地なのだが、山の下の方は檳榔樹ばかり。街で沢山売っている凍頂烏龍茶はどこから来たのか、と思うほど、茶畑は見られない。ほぼ頂上に近い所にある村へ。1軒のお茶屋さん風の所へ入っていくと、お爺さんが座っていた。アンディの母方の祖父、だという。既に85歳で引退しているが、元々はお茶を作っていた。早々お茶を飲ませて貰うと、実に味わいがある。完璧に伝統的な製法で作られていた。

 

是非ともこのお茶を分けてもらいたいと思ったが、『自分が飲む分だけを、自分で作っている』との話を聞き、断念。それはそうだ、お茶を作っていた人が晩年は人のお茶で我慢できるわけがないのだ。それにしてもこのように丁寧にお茶が作られれば、品質向上は間違いないと思うのだが、それではとても商売にはならない。

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お祖父さんと一緒に散歩に出る。85歳とは思えない足取りでさっさと歩く。散歩するのが毎日の日課だというが、これが健康の秘訣だろう。空気もいいし、暑くもなく快適だ。3年前もやってきた凍頂烏龍茶老茶樹、の記念碑の所まで歩いた。

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ところが風景は変わっていた。前は茶畑だったところが、半分は畑に変わっている。お祖父さんが『トマト』と一言。トマト畑と生姜畑になっていた。これにはビックリ。『最近は手間ばかりかかって儲けが少ないお茶より、植えて、育てて、取って出荷するだけの高原野菜などに転作する農家が多い』と言われ、納得。

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確かに茶作りは大変だし、リスクもある。周囲を見渡してみると、確かに転作準備をしているのか、土が掘り返されたりしている。お茶の将来がちょっと心配になる。だがアンディのような若者たちが新たな形の茶作りを模索しているので、日本のようにはならない、との話も聞いた。どうなんだろうか。

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