ハノイで飲む濃い目のお茶2012(6)ハノイ お爺さんの小さな茶店

タクシーが走っていない

午後紹介のあった日系IT会社を訪問した。オフィスの場所が宿泊先から結構離れていたが、タクシーで言われた通り行くと何とか行き着いた。ベトナムの人の気質や人材状況など、為になるお話を聞く。

そして夕方4時半、オフィスをお暇してまたタクシーで戻ろうとしたが、タクシーが全く走っていない。ビルの前で10分待ったが、1台も走っていない。よもや、と思ったのは、中国でもあるタクシー運転手の食事タイム、または交代時間。もしそうなら捕まえるのは絶望的かもしれない。しかしバス路線は全く分からない。というより、自分の正確な所在地すらはっきりしない。

5時半には宿泊先ホテルでの待ち合わせがある。どうしようか、と思っていると1台の車が停まる。白タクかと思い、ホテルの場所を告げると、「いいから乗れ、金は要らない」という。そういわれると逆に疑ってしまう。それが中国で生きて来た証だ。ただより高い物はない、のだ。残念ながら断る。もしかすると単に親切な人だったのかもしれないが、万が一を考えるといくら焦っていても、乗れなかった。

仕方なくもう少し広い道まで行った。しかしここでは渋滞がひどくなりつつあり、タクシーなど全く見付からない。するとバイクに乗ったオジサンが声を掛けて来た。バイクタクシー、これに賭けてみることにする。行先を何度が言い直したが、大丈夫か。バイクは私を後ろに乗せ、渋滞の車の間を縫っていく。そして意外なほど安全運転で、危ない感じはない。何とタクシーとほぼ同じ時間で着いてしまった。勿論料金は半分以下だ。ベトナムにも色々と便利な手段がある。もう少し言葉が出来、地理が分かれば、是非活用した所だ。

夜は大学の後輩のご主人がハノイに駐在しており、会う。ついでに会社の方々を数人連れて来て頂き、中国とベトナムの違いなどをヒアリングする。中国人は素晴らしい、という言葉が何度も出た。中国ではなかなか聞かれない言葉だったが新鮮だった。

因みに連れて行ってもらった日本料理屋さんは最近ハノイに出て来た。元は岐阜の料理屋で名古屋に支店を出した次は、東京ではなく、ハノイとなったようだ。日本の景気は外食産業を海外に押し出している。

3月22日(木)   ルーさんのお茶

いよいよハノイ最後の朝。一昨日行った庭園お茶屋で聞いた、お爺さんが朝だけ、常連にだけ開くお茶屋があるという話、気になってしまう。ズンさんも気になったようで、行って見ようか、と言ってくれ、連れて行ってもらう。タクシーでどこをどう走ったのか、郊外の公団住宅が建つ場所にやって来た。一体どこにあるのかと見ていると、何と建物と建物の間の小さなスペースでお茶を飲んでいる人が見えた。まさかと思って行って見ると、まさにそこがお茶屋さんだった。これはこれで凄い。

ご主人はルーさん、83歳。既に庭園茶屋など仕事は書道家の息子さんに譲り、今は好きな時に常連さんだけにお茶を淹れて過ごしている。こんな生活良いな、と思ったが、ここまで来るのは大変だったようだ。学校の先生をしていたルーさんは、60歳で定年になったが、年金は少なく、折からのドイモイ政策で物価は上がるばかり。これでは生活できないと好きなお茶を商売にしたという。その拘りは相当なもので、先日我々も行ったタイグエン県のタングンの茶農家を飲み歩き、気に入った所に自分のお茶を作らせたという。

ルーさんの茶屋には如何にも常連という人々が数人、新聞を読んだり、話したりしている。お茶は黙ってルーさんが出す。その日のお茶は1種類のみ。今週のお茶は張り出されており、好きなお茶の日に来るのかもしれない。料金は格安らしい。お茶はやはり渋め。

壁には黒板があり、何やら書き込まれているがベトナム語なので分からない。きっとお茶に関することが書かれているのだろう。新しいお客さんが来たので席を譲って失礼する。なかなかいい空間だ。

最後のブンチャー

それからズンさんにホーチミン廟へ送ってもらい、見学した。凄い人が行列を作っていたが、何とか見ることは出来た。北京の毛沢東記念堂と同じ感じ。ホーチミンさんは安らかに眠っていた。今のこの国をどう思っているか、聞いてみたかったが、直ぐ立ち去るように言われて外へ出た。

そしてホテルへ戻り、最後のランチへ向かう。数々のB級グルメを堪能したハノイだが、やはり最後はブンチャーだろう。ホテルで聞いて、ブンチャー専門店へ向かう。そこは昼時でかなり混んでいたが、席を確保する。何も言わなくてもブンチャーしかないのか、さっと出て来た。本当に、本当にここのブンチャーは美味かった。

併せて揚げ春巻きが出て来たが、こちらもぱりぱりして美味しい。ベトナムというと生春巻き、というイメージが強いが、実は基本は揚げ春巻きらしい。これなら我々も安心して食べられるし、味も良い。素晴らしい。

そしてホテルで予約したタクシーで空港へ送ってもらい、香港航空で香港へ戻った。帰りの便もホットドックが出たが、もう手を付けなかった。ハノイは美味しい街だった。



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