福建茶旅2019(3)武夷山から福安へ

4月8日(月)
武夷山から福安へ

武夷山ツアーもあっという間に最終日を迎える。やはり団体の旅は、自分で考えて行動しないから、時間が過ぎるのだけがやたらと速い、というか、日程をこなしているだけという印象が強い。そして何よりも食べ過ぎ。今朝は沢山のご馳走を前に、麺を軽く食べて終了とする。残念、未練。

 

今日、私は他のメンバーと別れて一人で福安というところへ向かう。調べてもらうと武夷山から福安は意外と行きにくいと分かる。辛うじて1日に2本だけ直通のバスがあるというので、まずはそれを確認するためバスターミナルへ向かう。ターミナルではなく、ちょっとした停留所のようなところだった。そこで午後のバスチケットをゲットして一安心。

 

それから皆で、下梅に向かった。下梅は3年前、万里茶路の福建の起点として訪ねた街だった。ここは以前は完全に廃れた街になっていたが、大茶商だった鄒家の末裔が、こつこつと自らの先祖の歴史を調べており、それが万里茶路ブームに乗って、その起点として蘇ったらしい。本当は赤石という場所が、茶葉の集積地で起点であるとは教わったが、赤石はほぼ街が消滅する勢いで、下梅に注目が集まるのはやむを得ない。

 

パッと見た感じは3年前とそれほど変わっていないようだが、更に整備された建物が広がっているようで、見たことがない所へも案内される。今や30人近いガイドさんがいるというから、この街の観光業は大繁盛なのだろう。ガイドさんを指導しているのは、前回私が案内してもらった鄒家の末裔の方、道理でガイドさんの説明がよく耳に入る訳だ。

 

1時間ほど見学して、すぐにホテルに戻った。ちょっと早めだがホテルでランチの用意がされている。今日は香江の武夷山の責任者が出てきて、歓迎してくれた。食事はやはり広東料理でうまかったが、急に用意したのか、料理が出てくるのが遅く、全部食べる前に私は失礼する時間になってしまった。慌てて荷物を取り、ロビーへ行くとすぐに車に乗せられ、皆さんに挨拶もせずに離れることになってしまった。何とも申し訳ない。

 

バス停に到着したが何とものどかな空気が流れており、バスはいつ来るともしれない。午後1時と書いてあったが、それは別の場所の始発時間であり、ここに来るのは1時20分だと聞き拍子抜け。こんなことならランチをデザートまで食べてから来ればよかったと後悔。結局バスはさらに遅れて1時半頃音もなくやってきて、危うく乗り損なうところだった。

 

乗客はそれほど多くはなく、ゆったりと過ごす。最初の1時間は高速にも乗らず、一般道を行き、高層マンションが建設されている郊外から建陽の街に入っていく。このバスは途中何か所かに寄るため、相当に時間が掛かることを理解した。出来ればここで下車したかったが、トイレに行くだけに留める。

 

今度は高速に乗り、また1時間ほどで水吉という料金所に停まる。19年前この街を偶然に訪れ、600年前の明代の登り窯から作られた天目茶碗の破片を多数目撃したことが忘れられない。更には3年前に行った、政和という地名も出てくる。福建には何度も来ているが、もう一度行って見たいところが沢山あることに改めて気づく。

 

段々と日は西に傾いていくが、バスはひたすら高速を走り続けている。一体いつ着くのだろうかと心配した頃、突然バスは止まり、乗客が降りて行く。バスの横を見ると福安ターミナルとの表示があり、バスを降りると私の荷物が既に降ろされていた。約4時間の旅は終わったと知る。

 

紹介を受けていた鄭さんが態々福州から迎えに来てくれていた。彼は福州で茶荘を経営しているが、故郷は福安であり、地元のお茶を売り込もうと熱心に活動している。鄭さんが予約してくれた(名義は何と農墾)ホテルに入る。福安には外国人が泊まれるホテルは2つしかないのだという。因みに少し安い部屋もあったが、そちらには泊まれない?と言われてしまう。外国人の中国旅行は、お金持ちには関係ないが貧乏旅行には益々やり辛くなっている。

 

ホテルの隣に農墾の代理店があり、オーナーと鄭さんが知り合いで、まずそこでお茶を飲み始める。農墾と言えば、新疆や海南島などで見たことはあるが、福建にもあるのはちょっと意外。ここも辺境防衛が必要な場所だということか。ここで私は今回の福安来訪の目的、『福安農学校』『坦洋工夫茶』の2つを述べた。そして坦洋工夫茶を初めて飲んだが、思いのほか、味がしっかりしていて美味しく感じる。

 

ホテルのレストランに場所を移して、食事をしながら話を続けた。タニシのような小さい貝、そして独特の麺が出てきて、美味しく頂く。そこには坦洋工夫茶の製茶技術に優れているという鄭さんのお父さんも登場したので、その歴史の一端をヒアリングした。お父さんはこの日、地元の茶功労者として表彰されたらしい。

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