スリランカ お坊さんと行く紅茶畑の旅2012(6)バドゥッラ 100年前の茶葉集積地

ホテルのWifi

バドゥッラに到着。この街には教会がいくつも見え、また英国時代の建物も多く残っている。何となく、ミャンマーのメミョーを思い出す光景だ。イギリスは街づくりのパターンが一定しており、その影響かもしれない。また流石にここまで来る旅行者は多くないらしく、開発も進んでいないということか。

今日の宿はスマの知人がいるお寺と聞く。そのお寺、ムティヤンガナ・ビハーラは街の真ん中にかなり広大な敷地を持つ。ところが残念なことに部外者を泊めることは出来ないと言われ、ホテルを探す。寺の前のゲストハウスを覗くが、ホットシャワーが無いと言われ、他へ。そこは寺から少し離れているが、外装はかなり立派。何とスマもここに泊まると言い出した。

ところが部屋は外装とは違って昔のまま。勿論広くて悪くはないのだが。そして今日こそはと思う、自己PCでのネット接続にもまた失敗した。ロビーではフリーWifiだと言っていたが、どうしても繋がらない。プロバイダーに電話しているようだが、埒は開かない。これがスリランカの地方都市の現状であろう。

ホテルのスタッフにメールチェックを申し出るもオフィスは既にクローズしているとして断られる。そこへ一人の従業員が自分のPCで接続するといって、4階にあるバーでPCを貸してくれ、メールチェックだけは出来た。

このバー、屋上に屋根を付けた構造で、雨が降っていても、濡れることもなく涼しい。大型テレビがクリケット中継を鮮明に映しており、ここで夕食を取ることに。インドでも見たチャオミン(焼きそば)とコーラを頼む。このチャオミンがかなりのボリュームがあり、またなかなかイケル。焼そばというよりビーフンだ。野菜、鶏肉、シイタケなどが豊富に乗っており、美味。これでコーラと併せて3ドルとは。

夜は早く寝ようとしたところ、停電となりこれ幸いとベッドに潜るが、直ぐに明るくなり、眠れない。

11月11日(日)  バドゥッラの駅

朝は7時前に起き、散歩へ出る。バドゥッラの街を見学する時間はないと言われていたので、散歩のついでに駅を見に行く。ところが方向を間違え、真反対の方へかなり歩いてしまう。

ようやくたどり着いた駅は珍しく鉄橋を渡った所にあった。川の直ぐ近くに駅があるのはあまり見たことが無い。だがこの駅が英国時代の終着駅だと聞き、何となく合点がいく。この街は以前茶葉の集積地として栄えていた。茶葉は川を使って集められ、すぐ横の駅からコロンボへ運ばれたのだろう。

この街には古い教会もあり、昨日の大きな仏教寺院もあり、そしてヒンズー寺院もある。完全に混在した不思議な街。当初はイギリス人の都合で開拓された山の街であったのが、いつの間にか変化したようだ。

街のティー・センター(茶荘)を覗く。ダスト茶が基本であり、またBOPFのようなミルクティに適した茶葉しか売っていない。高級茶葉もリーフも庶民の興味の対象外。値段も相当に安い。ティーと言えばミルクティのお国柄である。これも植民地時代の名残りか。

Wewesseのウバ茶

ホテルをチェックアウトして、今日も茶畑へ。スマも飽きずに良く付き合ってくれる。車で30分ほど上ると、きれいな茶畑が森の中に出現。かなり急な斜面に植えられているものもあり、茶樹がびっちりだ。そんな中で茶樹に埋もれるように茶摘みをしている女性たちを発見。滝があり、いい音を立てて水が落ちる。

今日は日曜日で残念ながらWewesseの工場はお休み。工場前のティショップでお茶を飲んでいくことに。今日は時間が無く、朝食も抜きだったので、ここでバターケーキも取る。ストレート(プレーン)ティは15ルピーだが、ミルクティは40ルピーもする。ミルクがよほど高いのか。皆ミルクティを飲む中、一人ストレートで飲む。実にあっさりしていて飲み易い。またケーキのハーモニーが良く、美味い。

屋外で風に吹かれながら、コテージ風の椅子に座り、ゆっくりと飲む。疲れを感じさせず、癒しがある。ずーっとここに座っていたい衝動に駆られる。ここの工場は1936年に出来たらしい。よくぞこんな山奥に工場を作ったものだ。イギリス人は逞しい。

ブッダが訪れた寺

もう一度バドゥッラの街まで戻り、針路を北にとって、キャンディまで直接帰るルートが選ばれる。2時間以上車に揺られているとウトウトしてくる。突然起こされて外を見ると、何ともでかい湖が。良く見るとダムのようになっており、水力発電をしていることが分かる。この辺りは地面がフラットで道路も整備されており、快適に進む。

兎に角この2時間ほどは、何度も道路工事に出会い、通行を止められていた。何故そんなに工事があるのか、昔の日本の年度末工事を思わせるほど、現場が続く。だが、快適な道路へ出ると途端に、デコボコ道の工事の必要性を痛感する。人間とは何と我儘なものだろうか。

途中で突然スマが声を掛ける。何事かと外を見たが、何もない。車を降りて見に行くと、何となく小さな碑があった。「ここがスリランカの真ん中だ」とスマが言う。しかしどう見ても真ん中とは思えない存在感の無さ。どうなっているのだろうか。我々が車を降りたのを見て、後ろの車の人々も降りて見に来た。意外と物見高い人々かもしれない、スリランカ人は。

マヒヤンガナ、と言う街を通るとスマが言う。「ここに大きな寺がある。ブッダが訪れた寺だ」え、こんな田舎にブッダが訪れた?スマに寄ればブッダは3回スリランカを訪れており、その内の一度、この地へやって来たのだという。そんな昔にどうやって?「ブッダはどこへでも行ける」というが、どうなんだろうか。

寺の参道は新しく、周囲は畑。何とも素朴だが、昔からある寺とも思えない。正面に見える仏塔も、真新しく2500年前にブッダが来たとは思えない。人々が思い思いに座っていたが、雨が降り出し、退散した。

いろは坂

「18ものヘアピンカーブ?があるんだ」、ウバ県からキャンディのあるセントラル県に入るとスマが言う。因みにスリランカには10の県があるらしい。北海道の80%の面積と書かれているが、北海道とはかなり違って山岳地帯も多く、平地が少ない中で10県は多いのでは。

キャンディに行くには山越えとなるが、今年新たに道路が開通した。それが冒頭の発言。確かに番号が振られた表示が18から順番にある。まるで日光いろは坂だ。上るにつれて景色が良くなり、霞掛かった向こうの山が実にきれいに映える。

この道路を作るのに何年掛かったのだろうかと思うほど、難工事だったらしい。一番上で景色を眺めているとサルがやって来て、こちらを眺める。彼らは住処を追われたのだろうか。スリランカでは田舎町でリスなどを見掛けることも多い。自然が残っているということだが、今後は経済成長に軸足が移るのだろうか。




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