愛知、奈良お茶散歩2014(4)奈良 自然と共生する健一農園

農地の料亭

夜はUさんが食事に誘ってくれた。2人で出掛ける。何と農道を行く。真っ暗な道を進むと道に迷う。どう見てレストランなどなさそうな農道。周囲は田んぼか畑だが、それすら見えない。暗い。完全に道を間違えているとしか思えない。

 

ところがうっすら明かりが見え、その料亭はあった。車も何台か停まっており、お客もいることが分かる。お座敷が何部屋かあり、我々2人も通される。料理も素晴らしい味の物が出て来る。これだから日本は侮れない。

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我々はお酒も飲まずに語り合った。お茶のこともそうだし、個人的に進むべき道もそうだ。Uさんはまだ若い。これから行くべき道はいくつもある。だが人生はいくつもの道を行くことが出来ない。私は既に流れに任せて自分では考えなくなっているが、それが良いのだろうか。

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3月5日(水)

3.奈良

自然農園

翌日は曇り空。朝ホテルをチェックアウトして、Iさんの運転で奈良へ向かう。車は空いており、どんどん走っていく。どこを通ったのかはよくわからないが、三重を通過。三重は確か日本で4番目にお茶が採れる所。次回機会があれば寄ってみたい。

 

それにしても岡崎から奈良がこんなに近いとは思わなかった。2時間程度で目的地に到着してしまい、他の参加者の到着を待つ。道の駅、針テラス、ここはどこだろうか。お湯を調達し、お茶を淹れ始める参加者。さすが、と思っていると、皆が揃った。今日の主役、伊川さんの先導で行く。

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車で15分ほど行くと少し山沿いとなった。雄神神社といういかにも由緒正しい神社が見えてくる。思わず車を停めて貰い、参拝する。どうしてか分からないが惹かれてしまうこの神社。小雨の中、小走りで駆け上がり、写真に収めた。

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伊川さんによれば、この神社のある山がご神体であり、ここには踏み込めない、ここの木を切ることも出来ない、という。そのような聖域が必ず山にはあり、古来その仕来りは守られてきている。

 

それからかなり狭い山道に入る。茶畑が見えてくる。全てが茶畑ではなく、一部が茶畑、一部が畑であったり、木が伸び放題の場所もある。伊川さんが説明してくれる。『8年前に小さな畑を借りて茶作りを始めた。全く農薬や化学肥料を使わないことにより、茶樹そのものに自力で再生する、生きる力をつけさせている』『初めは様子見だった周辺の農家も、高齢化しているので、茶畑の面倒を見て欲しいと要請してくるとことが増え、少しずつ茶畑を増やしている』『近くにある障害者施設と連携して障害者の方に茶摘みなどの作業をお願いしている』『里山制度という、山全体を管理してその生産を行っていくシステムを試みている』

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話しには非常に説得力があり、現場で聞くと納得できるものが多かった。健一農園のこの取り組みは市や県も注目しており、支援に乗り出す動きがあるという。特に山の再生と障害者の活用は大きなポイントとなっているようだ。従来の農業とは違ったアプローチ、実績が上がってくれば、更に輪が広がりそうだ。

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それにしても大和高原にあるこの茶畑、斜面もきつく、農作業は大変だろう。既に放置されてしまった茶畑も目立つ。森林と茶畑の共生、確かインドのダージリンで見た光景だ。森林を再生させること、そこから全てが始まるのかもしれない。

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お昼に健一農園の茶葉を売っているレストランへ向かう。ところが満員。観光客が平日に小雨にもかかわらず、意外といるのに驚く。ここでは竈でパンを焼いており、こだわりの食品を提供していた。日本の田舎は侮れない。別のレストランへ行き、やはり地元でとれた物で作られた定食を食べる。

 

午後は工場へ。山から切り出した木を炭にして、ここで焙煎に使っていた。山との共生、ということか。大きな釜を使い、茶葉を焙煎し、番茶を作っていた。とても良い香りと共に、暖かい空気が流れてくる。

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ここで働いている人々はただ労働しているのではなく、何かを感じながら体を動かし、満足しているように見えた。このような労働が重要。ある機材をうまく活用して、きちんと茶を作る、この活動、今後も注目していきたい。

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