愛知、奈良お茶散歩2014(3)西尾 抹茶巡り

3月4日(火)

2.西尾

抹茶巡り

翌日は西尾へ向かう。初めて知ることだが、西尾は抹茶生産では最近宇治に抜かれるまでは、ずっと日本一だったという。抹茶は茶道に使われるもの、というイメージがあったため、正直あまり興味がなかった。アジアでは抹茶アイスなど粉末が使われているが、これは単価の高い日本製ではないだろう。

 

西尾に着くと地元のお茶屋さんが案内をしてくれた。紅樹院というお寺へ行くと『茶祖の寺』との表示があり、鎌倉期に西尾に茶がもたらされ、その後すたれたらしい。明治期にこの寺の住職が宇治から茶の種を持ち帰り、西尾のお茶が再び始まったと聞く。院内に古い茶樹が大切に保存されている。周辺にも茶畑がある。

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次に実相寺というお寺に車で行く。このお寺も創建は鎌倉初期。境内に入ると実に古い松の大木が見える。建物もいい感じに古い。そして敷地は相当に広く、裏に回ると、何と土が盛られていた。この寺は戦国時代、城のような機能を持っていたのであろう。よく見てみると1560年、桶狭間の合戦の年に織田信長に攻められ、焼けたらしい。間違いなく、かなりの勢力を持ち、僧兵がいたのだろう。

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続いて稲荷山茶園公園に行く。ここは茶園見学ができるように整備された場所。台湾人の茶農家?が数人で見学に来ていた。ここの茶園は基本的に手で摘まれるとか。煎茶の価格に対して抹茶は相当に高いらしく、人件費を賄えるという。それでも最近は人手が確保できていない。西尾市の小学校では年に2日、生徒が授業で茶摘みをするらしい。これに賛否両論あるが、私はこのような地元の特色ある活動は続けていくべきだと思う。勿論収益の一部は学校に還元すべきだが。

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そして赤堀製茶を訪問し、製茶の機械などを見学。今は製茶の時期ではないため、機械は止まっていたが、ここはかなり大型の機械を入れ、大量に作るらしい。お茶作りそのものはシンプルだが、抹茶の場合は最後の工程に比重がかかる。

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工場の外に茶畑があったが、一目で2種類あることが分かる。機械摘み用と手摘み用。茶樹の葉の揃い方が全く違うので直ぐに分かる。大量に作る場合は機械摘みが主。当然コストを掛けられない。

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それから本日案内をしてくれている朝日園にも立ち寄る。ここは分かり難い所にあるが、古民家を改造したような造りで雰囲気がとても良い。囲炉裏の横で、お母さんは、サササッと抹茶をたてて出してくれる。『これはインスタントコーヒーと一緒です』と言われると、そうだなと思ってしまう手際の良さ。西尾では普通の家庭で普通に抹茶が振る舞われるそうだ。茶道ではなく、普通の抹茶を飲む、いい感じだ。ここにはずっと居たいと思わせる何かがあった。

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午後は昨日に引き続き、ここでもお茶会が。西尾城脇の立派な家。古民家を移築したらしい。いい感じだ。庭も素晴らしい。お城を背景に梅が咲く。実にゆったりとした空間、勿論家の中もゆったり。先ずはここでランチを頂く。今日はひな祭り(昨日)ということで、ちらし寿司にお雛様が。このような芸当が日本は得意だ。外国人も喜ぶサービスだろう。実に細かい。

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そしてお茶を淹れ始めたところに、もう一軒見学許可が出てお茶道具をそのままに急遽外出。面白い。葵製茶、ここはかなり有名らしい。きれいな店舗の横に工場があり、見学。ただ見ることが出来たのは、最後の茶葉を引く工程のみ。

 

ここでは工程よりもむしろ、碾き臼の特徴を勉強した。臼の挽く方の面は実は様々な模様が描かれており、細かい線が入っている。この線によって茶葉の味が変わってくるそうだ。そしてこの臼を作る職人さんも不足しており、常に募集しているとか。10年ぐらい修業を積むと一人前になれるらしいが。このお茶屋さんでも『もしなりたい人がいたら是非ご紹介を』と言われ、一人前になればくいっぱぐれはない、とも。

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先ほどのお茶会会場に戻り、購入したばかりの抹茶と和菓子を頂く。何種類もの抹茶、それも製茶メーカーから購入したばかりのお茶を頂くのは面白い。各抹茶の特徴を見る上でも興味深い。当たり前だが抹茶と一口に言っても、その味は千差万別。今日も実に勉強になるプログラムだった。

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