茶旅の原点 福建2016(11)上梅を訪ねて

429日(金)
上梅

翌朝、李院長と会う。携帯番号のことを相談すると、『新しく買った方が速い』との一言で、近所のお茶屋にいた人が助けてくれて、すぐに新しい番号になった。勿論実名登録も済ませたので、問題は無くなった。ただ電話番号が変わってしまったのはやはり痛い!取り敢えず100元を入れて、様子を見ることにした。鄒さんに連絡してみたが、忙しいようで今回は会えなかった。これもまたご縁か。既に51の休みが近づいており、観光地で且つ茶の時期である武夷山には多くの客が押しかけてくる。

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下梅があれば、上梅もある。どういう因果か、下梅の鄒さんではなく、今日は上梅を訪問するという。若い女性の先生が、彼氏に車を運転させて、迎えに来てくれる。日本ではこんなことはあるのだろうか。上司の前に彼氏を連れてきて、その車で出かけるなんて。まあ、中国らしいとはいえるし、あまり違和感もない。むしろこの機会に李院長に紹介しようという目的かもしれない。車は高速道路に乗る。今日はかなりの遠出になる。

 

高速を降りて、山道を行く。途中の村で道路が塞がっており、通れなくなる。後ろからも車が詰めてきて、動きが取れない。かなりの時間を費やして脱出したが、一時は立ち往生かと心配になる。そして着いたところは、かなりの山の中にある茶工場だった。午前中にもかかわらず、製茶機がかなり動いていて、活気があった。ここでも武夷学院の学生が研修に勤しんでいる。

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2階でお茶を頂く。この茶工場は周囲3㎞に人家がなく、自然の中にある、と説明を受ける。更にここの土壌はよく、岩茶の香りがよく出るとも話が出た。ただ私の試飲能力の低さからか、どうも岩韻のようなものは感じられない。実は製茶で気になっていたことがあった。外に広い敷地があるのに、茶葉が全く干されておらず、室内に広げられていた。李院長もこの点を強く指摘していた。聞いてみると『実はこれは他の茶農家が持ち込んだ茶葉で、自分たちの物ではない』との説明を受けた。

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茶葉の摘み取りが始まり、自分のところで処理しきれない茶葉が持ち込まれてくることもあるのだろう。だがもしそうであっても、天気が良いのに、日光萎凋が全くない茶作りをしているところがあるとは、正直驚きだった。これを見てしまうと、他の作業工程も手を抜いているのではないかと疑ってしまう。岩茶と言っても大量に作られており、一抹の不安を感じた。学生の研修としても好ましいとは思えない。儲け主義の一端を垣間見る思いだ。

 

お昼はやはり工場で頂く。食後、学生たちが散歩に出たので、後をついて行ってみる。聞いてみると『労働はかなり疲れる。夜も眠れない』などの不満が出てくる。そして『フルーツが食べたい』と言った女子は、山道の道端で野イチゴを見付けて、摘み出した。かなりの量を摘んで皆のお土産にした。こんなことは日本の学生ではできない、中国でも田舎の子の特性だろう。因みにこの小さなイチゴはかなり甘く、美味しかった。工場の周囲は確かに環境がよかった。山沿いに茶畑が広がり、理想的な風景に見える。

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もう1つの茶工場へ行こうと、皆で車に乗る。学生だと思っていた若者の中に、卒業生が数人おり、先生に付いていくというのだ。彼らはここで製茶研修を行い、懐かしさで再訪したという。もう1つの工場は別の村にあったが、こちらは摘まれた茶葉が敷地一面に敷かれており、李院長も早速見分して、茶葉の摘み方と日光萎凋について、指導をしていた。こちらは正常な製茶工程が遂行されていた。茶業者によって質がかなり違うということだろう。

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その後、その村の近くを観光することになった。遇仙橋というかなり古い橋を見る。橋の真ん中に像が置かれている。何だかベトナムのホイアンに架かる日本橋を思い出した。小川が流れる中、数百年前にこの橋を渡った人がいるのだろうか。この付近はなぜか、昔の佇まいを完全に残しており、もう少し先には、昔の村がそのまま残っていた。茶畑はないものの、茶景村という名前に心惹かれる。村の大木は数百年前からこの景色を見ていただろう。

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夕方になり、朱熹の故居にも行ったが、博物館になっているその家は既に閉まっていた。紫陽楼遺跡という石碑が建っていたが、何だろうか。その付近で地元料理の夕飯を頂き、真っ暗になった高速道路に乗って帰る。高速で30分も走ってようやく武夷山に戻ったところで、初めて相当遠くに来ていたことを知る。部屋に戻るとかなりの疲れが出て、すぐに寝てしまう。

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