《北京歴史散歩2008》(9)龍譚湖公園付近

【龍譚湖公園付近】2008年3月16日

いよいよ春到来。今日も朝から天気がよい。オリンピックのマラソンで世界記録保持者が大気汚染を理由に北京マラソン出場辞退、この衝撃か今日の北京は空も青い。散歩日和だ。

 

しかし北京歴史散歩の本も有名どころは大体歩いてしまった。さて、どうする??悩んでも仕方がない。歩いてもその後文章にする時間も無く、調べる時間もない状態。取り敢えず買い物ついでに1ヶ所行けばいいや。買い物はイトーヨーカ堂へ。一番近い東三環路の徑松橋辺りの地図を見ると西の方に龍譚湖公園の文字が。ここだ、さあ、行こう。

 

  1. 体育館路

タクシーで行けば直ぐだが、そこは散歩。基本は地下鉄。崇文門まで2号線、そこから5号線に乗り換え、天壇公園東門駅下車。西を見えれば天壇公園が見えたが、無視して??東へ。この道の名は体育館路。体育館でもあるのだろうか??歩いて行くとやたらとスポーツ用品店がある。人気のバドミントや卓球用具を売る店が多く見える。スポーツウエアーも多彩。多くの人が買いに来ている。本当に中国も余裕が出てきている。

 

そして体育館があった。入れてもらえるのかどうは不明であるが、外から見ると西洋風の建物。中はどうなっているのだろうか??その東側にも洋風クラシックな建物が並んでいる。よく見るとここは国家体育総局という役所。更には中国オリンピック委員会などという名前も見える。

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そうか、ここが中国スポーツの総本山か。今年は忙しいんだろうな。しかしこの由緒正しそうな建物は一体なんだったのか??1952-1955年の間にこの路は建設された。その際に体育館と北側に国家体育運動委員会が建てられる。その後総局は後に移転されたのだろう。

 

その先を南へ下るとそこは昔の北京。胡同が立ち並ぶ。しかもしっかりしたレンガ造り。かなりの歴史を感じさせる。名前も『幸福南里』という。幸せそうな雰囲気がある。天気がよいので老人を中心に皆外で日向ぼっこ。胡散臭そうに私を眺める。そうそうに退散。

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龍譚路に出た所には沢山の腕章を巻いた警備の人が??捕まるかと思うほど。その後も多くの警備の人々を見た。これは全人代のための警備か??昨日で終わったはずだが。それともチベット暴動への対応??遠すぎるような気もするが。

 

そこから直ぐの交差点、西側には北京遊楽園という遊園地がある。ここは昔からあるが一度も行ったことはない。日本企業が関係していると思うが、果たしてどんなところなのだろうか??天気のよい日曜日、バスが何台も入っていた。

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 2.龍譚湖公園

東側に龍譚湖公園の入り口がある。なかなか立派な門である。入場料2元。多くの人々が入っていく。龍譚湖公園は戦前墓地が点在していたという。二環路の外は城外という時代、この辺りは荒涼とした荒地であったのであろう。

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1952年市政府はこの地を開墾し、人工湖を作った。龍譚湖である。今では市民の憩いの場であり、毎年旧正月にここで盛大な廟会が開かれているという。墓地の跡、ということもあるのであろうか??

 

今日は天気もよく、人出が多い。社交ダンスをする男女、子供の遊び場では歓声が聞こえる。しかしなぜここで歴史散歩??実はこの公園の中に『袁崇煥廟』がある。袁崇煥は明末の英雄。満族ヌルハチの北京侵攻を防いでいる。この戦闘で負傷したヌルハチは後日亡くなっている。

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硬骨漢であっただろう。宦官に陥れられ、職を奪われたが、その後復職。ホンタイジ(ヌルハチの子)の北京侵攻の際も守り抜いたが、計略に遭い、猜疑心の強い明朝最後の皇帝崇禎帝により処刑された人物。その後この皇帝も李自成の乱で北京を占拠され、宦官一人を連れて故宮の裏山景山で首を吊った。その際さぞや袁崇煥を処刑したことを悔いたのではあるまいか??

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今日訪ねた公園内の廟はひっそりと、そしてこじんまりと建てられていた。殆どの人は気が付かず通り過ぎていく。廟内には袁崇煥の遺筆が飾られている。また康有為の書も数点飾られていた。康有為は恐らくはこの袁崇煥を手本の一人として、皇帝を立てながら国を守った人物を尊敬していたに違いない。

 

因みに民国初袁世凱が大統領になろうとした時、彼の出自を華麗にするため、同じ姓の袁崇煥の末裔であると名乗ろうとしたらしい。一部学者に袁崇煥を称えさせたことにより、この名前は復活した。奇妙な巡り合わせである。しかし最後は袁世凱も野望を果たせず死ぬ。

 

これだけ大きな仕事していた袁崇煥に対して、この廟は如何にも小さい。現代の中国人は彼についてどのような印象を持っているのだろうか??評価が大きいとはとても思えない。

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