ベトナムGH11連泊の旅(15)ハノイ 昨今ベトナム事情

昨今ベトナム事情

これでツアーは終了し、元来た道をハノイへ帰る。帰りも同じ休憩所に寄る。バスはかなり汚れていたので、運転手が水を掛けて洗っている。その姿が妙に良い。涼しい風が吹き抜けていく夕暮れ時。バスはまたひた走り、日が暮れた頃、ハノイに着いた。2つほどホテルを回り、後はホアンキエム湖のあたりで全員下ろされてしまった。実は私は宿の近くのあるホテルまで連れて行ってもらえるはずだったが、何とガイドまでもが運転手から降りろ、と言われ、引き下がる。

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ガイドに強く言うと、『じゃあ、おれのバイクで連れて行ってやる』と言われたが、朝降りたバイクを停めている場所までも歩いて10分は掛かった。まあちょっとした散歩だと思えば、良い街歩きだ。ガイドも可哀想だ。色々と用事を言いつけられ、客からは怒られ、運転手に置き去りにされる。やってられないよ。バイクで何とか目的地に運んでもらう。

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このホテルでは大学の同窓、Nさんが待って居てくれた。2年半前に人の紹介で知り合い、ハノイで会った後、同窓、しかもほぼ同じ歳であることが分かり、共通の知り合いが何人も出てきた。是非再会したいと願っていた人である。彼はベトナム語の専門で、既に10年以上ハノイに住んでおり、ベトナム事情に明るい。今後もずっとここで生きていく予定だという。

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連れて行ってもらったのはホテルの向かいにある路地。ここだけは海鮮料理屋などが客引きをしており、妙に元気な道だったが、入った店はその中の静かなところ。2階に上がると、何となく韓国のオンドルを想起させるような、床に座り、ちゃぶ台があるスタイル。フエ料理の店だという。

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ちゃぶ台には、エビとひき肉の小皿、つくねみたいなものとビーフン、粽のような物が、次々と並び、ビールを飲みながら、次々と食べていく。この小皿料理が古都、フエの伝統なのかもしれない。ハノイの地元民、友達同士、家族もやって来て、この料理を味わっている。中国南方の料理に似通っているようにも思えるが、独特でもある。

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Nさんとはベトナムの話で盛り上がる。特に私が知りたい華人に関して、1979年の中越戦争とその後に起こった第2戦争など、実に興味深い話を沢山聞いた。ベトナムでも最近は政府の手法に異議を唱える人々が出てきており、その中で歴史の真実を明らかにする動きもあるという。中国でもそうだが、時の政権にとって不都合な真実は沢山あり、これからの火種であることは間違いない。反中暴動もその文脈で読んでみると、中国は嫌いだが、だから中国企業を襲ったというよりは、不満のはけ口を政府が容認したからだと思われる。これは中国における反日暴動と似た構図であるが、それにより、外資頼みのベトナム経済は投資が来なくなり、不況に陥っている。

 

この店は早く閉まる。話は尽きないので、近くのカフェへ移動した。ハノイではカフェでも深夜営業は認められていないというが、この店は11時に一度看板として、それから灯りを落として深夜営業を行う珍しい店だという。当局とは通じ合っているのだろうか。ベトナムの若者で店内は満員。こんなところにもベトナム人の心境が出ているように見えて、とても面白い。

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中国企業は公共事業などでは名前が出てきているが、普通の企業活動には慎重で、その実態も分かり辛い。当然台湾系なのか、大陸系なのかも、区別がつき難い。ただハノイに観光客が大挙して押し寄せたりすると、日本のような島国と違い、すぐ近くに国境のあるこの街ではかなりの拒否反応が出る。しかも彼らの態度は横柄で、金を振り回して威張っているように見えるのだから、プライドの高いベトナム人には耐えられないだろう。勿論政治問題も絡んでくるので、結構複雑だ。経済が悪くなった今、政府は中国に頼るのか、他の手を打つのか、注目される。

 

日本企業でベトナムを目指すところは相変わらず多いが、どうもあまり上手くいっているようには見えない。強かなベトナム人を使いこなすことは難しく、苦戦している様子もうかがえる。円安も効いているかもしれない。今や単に安いからモノ作り、ということであれば、日本に戻った方がよいのでは、とアドバイスすることもあるらしい。

 

11時過ぎのハノイは確かに静かになっている。トボトボと歩いて宿へ帰る。ハノイの旧市街は早々変わり様がないが、郊外の開発はかなり進んでいるという。だが、開発しても不動産価格が以前のように上がらない、売れない。これも消費を急速に冷え込ませている理由だ。中国モデルでやって来たベトナムは完全に岐路に立っている。

 

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