バングラディシュ・スタディツアー2011(2)コックスバザールでホームステイ

(2)   延々と

それから市内メインの通りに入った。そこには驚くばかりの人、リキシャー(インドと同じでオートと人力)、そして車。空港を出た時は快適だったが、この通りではバスは一向に動かない。Sさんが『これは6時間は掛かるな』とつぶやく。通常3-4時間と聞いていたので、先の長さが思いやられた。

チッタゴンの街はこの通りを中心に延々と続くようだ。何でこんなに道が長いのだろうか。あたりはだんだん暗くなり、バスに薄暗い電燈が点く。何だかとても怖い物を見ているようだ。その中でクラクションと人の叫び声が響く。

学生たちは旅に疲れで寝入る。私はずっと外を見て過ごす。それしかやることがない。道はガタガタで、また車内は暗く本などは読めない。気持ち的には完全にバングラに圧倒された。この渋滞はイスラムの祭りの影響だと聞く。はた迷惑だと一瞬思ったが、ここはイスラム教国。我々は完全なアウエーだ。

市内を抜けバスが漸くスピードを出す。しかしそこからが長かった。3時間以上経ち、そろそろつくかと思うと何と中間の休憩だった。ドライブインとは言い難いが、食堂があり、トイレもある。チャイが出て来て一息つく。正直食欲はない。

一部元気な学生は建物を飛び出し、道の向かい側に見学に行く。そこには様々な食べ物を売っていたが、暗くてよく見えない。焼き鳥のようなものがあった。言葉が通じなくても彼らは積極的に身振りでコミュニケーションを図ろうとしている。だが一部の学生は既にぐったりしてしまい、この先が思いやられた。

(3)   遂にコックスバザールへ

それから夜道を延々と走った。外は暗くよく見えないが、畑らしい。時々村々を通過すると灯りが見えるが、それも直ぐに遠退く。確かに遠くへ来たもんだ。このままずーっと走り続けるような錯覚に陥る。気が滅入るが、感覚もマヒしてきたかもしれない。

突然灯りが見え、バスが街に入った。既に時間は11時近い。チッタゴンの空港を出てから6時間は過ぎている。恐ろしく長い旅は突然に終わる。街には人影もまばらで、店も閉まっている。バスから降りて腰を伸ばす。流石に疲れた。腰も重い。バスの椅子はそれ程に堪えた。

Sさんからの指示で男女が分かれた。私は5人の男子と共に、迎えに来ていた人に連れられて行く。彼が誰かもわからないが、兎に角休みたい気分。バックパックはないので、コロコロを引っ張る。道が悪く、ちょっと苦労する。小道に入り、一軒の家の門の前で止まる。

3.コックスバザール  (1)   一日目夜

ホームステイ
中に入ると広い中庭があり、一段上がった所にテラスがある。私はその脇の部屋を指定される。指示している人は30代の男性、この方がこの家の大黒柱Aさん、通称先生だ。先生は我々が訪ねる学校の先生をしている。流暢な英語を話す。

 

学生5人は2階の一室をあてがわれる。私はチームリーダーのような存在になった。しかし何も分からず、明日の予定すら知らない頼りないリーダーだ。私の部屋には大きなベットがあり、シャワーとトイレが付いていた。有難い。

夕飯

夜11時だというのに、彼らは我々の為に夕飯を用意して待っていてくれた。かなり疲れている学生もいたが、取り敢えず食卓に着く。どんな料理が出るのか興味津々。焼き魚は日本とそれほど変わらず美味しい。きゅうりとトマトのサラダは生野菜だが、特に気にすることなく頂く。これも新鮮。

オクラの煮込み、鶏肉の煮込みもご飯に混ぜて食べると美味しい。初めはおっかなびっくりだった学生も、『これはイケル』とせっせと食べ始める。人間、食事が出来れば幸せな気分になる。

周囲の様子もこの家全体の様子も殆どわからないまま、一日目は終了。疲れていたので、あっと言う間に就寝。

11月7日(月)  (2)   二日目午前
初めての買い物

翌朝は鶏の鳴き声で起きる。快適な朝だ。庭に出ると木造2階建ての家と分かる。ヤシの木などもあり、南国ムード漂うが、朝はそれほど暑くはない。学生たちはまだ寝ているようだ。

散歩に出る。朝7時だが、もし可能であれば買いたいものがいくつかあった。それはバックパックに入っていたものの中で必需品に当たる。Tシャツ、タオル、ビーチサンダル、と数えながら進む。

ところが街の中心と思われる通りを歩いても、店は皆閉まっている。雑貨屋などは早くからやっていてもよさそうなのに。小道に踏み込むと1軒、店が開いていた。それがサンダル屋だった。実に様々な種類のサンダルを売っていた。若い店番に英語で話し掛けると英語で答えが帰って来た。

180タカ、は日本円で180円。この国の物価が高いのか安いのか想像が付かないが、日本的に言えば、問題ない価格だったので、取り敢えず1つ購入。店番は名刺までくれ、兄貴の店だ、としきりに言っていた。何だかいいやつがいる街のようだ。

しかしその後、タオルやシャツを売る店はとうとう見付からなかった。後で聞くと、今日はお祭りらしい。食事を終えて、集合場所に向かう時、牛が捌かれているのを見た。イスラムの世界では、牛を祭りに使うようだ。

朝ごはん

8時頃朝ごはんとなった。パンを軽く揚げた物やピラフのようなあっさりしたご飯が出た。今日も朝から美味しい。学生たちも昨日の疲れが少しずつとれ、緊張もほぐれた様だ。ご飯の時、食べているのは我々だけ。先生の奥さんや妹さんが気を配って、お替りなどをしてくれる。何とも恐縮。

食後、顔合わせという感じで、学生から家人にお土産が渡される。お爺さん、先生、先生の奥さん、妹さん、次々に持って来た物を渡す。こんな交流はちょっと恥ずかしいが、心が通い合う第一歩だ。

外では、親せきの子供だという13歳のチュミちゃんと先生の一人息子が遊んでいた。その内、隣の家から男の子が二人、遊ぼうとばかり侵入。日本では既にないこのような光景が懐かしい。そしてみんなでバドミントを始める。当方の女子もやって来て、バドミントンで盛り上がる。


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です