新疆北路を行く2011(5)ウルムチ やっぱりラグメンは美味い!

8月14日(日)  (4) ウルムチ2

毛沢民

翌日は日曜日、夕方まで自由時間となる。N先生、M先生と街の探索に出た。M先生は実は歴史フェチ。タクシーで街の南にある八路軍新疆駐在事務所記念館へ向かう。ホテルからは30分ぐらい掛かった。突然道の脇にレンガ造りの独特な建物が出現。共産党の秘密基地といった雰囲気は全くないモダンな造り。

観光客でここを訪れる中国人はいないようだ。入り口のおじさんも暇そう。「写真は撮らないように」と言って中へ引っ込む。2階建ての建物に入ると意外と展示物が多い。新疆における共産党の歴史がきらびやかに書かれているが、恐らく当時は相当に大変な状態であったはずだ。

同時にここが同盟国ソ連との最前線になっており、何と初代の所長は陳雲。陳雲と言えば改革開放後、鄧小平に対峙した経済理論をもっていた人物。その後も共産党設立メンバーの一人陳潭秋が所長を務め、1942年に逮捕、翌年新疆軍閥の盛世才によって毛沢民・林基路らとともに殺されている。

毛沢民、毛沢東と一字違いのこの人物は実弟である。元々財務金融に明るかったのか、初代国家銀行総裁、経済部長などを務めていたが、1938年に新疆に派遣され、犠牲になっている。毛沢東はこの弟のことをどう思っていたのだろうか。

今の心境の情勢と当時の情勢は全く違っていたかもしれないが、漢民族である共産党がこの地に入り込み、そして制圧していく過程は1つのドラマかもしれない。毛沢民は華やかな共産党の勝利を見ることもなく、ましてや自分が毛沢東の弟として、飾られることなど想像すらしていなかっただろう。

書店の自動保管箱

道を歩いているととても雰囲気のよさそうな茶店があった。入ろうとしたが残念ながらラマダンで休業中。店の入り口からするとトルコチックなお店。どんな茶が出て来たのだろうか。

次に向かったのは新華書店。大学の先生、研究者は常に資料収集を行う。これは意外と大変な作業だと思う。ウルムチ、新疆の資料を探す。ここの新華書店もご多分に漏れず、どこに何があるかは分かり難い。しかしN先生などは初めて来たとは思えないほどの素早い行動力で、次々と関係資料を掘り出している。私が新疆の歴史に関する資料を手にすると「これは日本語版がここにあります」などと教えてくれる。凄い。取り敢えず1冊購入する。

今回驚いたのはバックを預ける保管箱。コインロッカーのようになっており、すべて自動化されている。最近北京に行っても書店に入ることは少ないが、北京や上海もそうなのだろうか。そして一番驚いたのは、取り出す際に預けた時に出て来たシートをかざすだけでロッカーが開いたこと。日本にこんなのあるかな。

また道を歩く。昨日来た大バザールを通過。その先にCDショップあり。いい民族音楽が流れて来て、N先生思わず中へ。「ウイグル音楽で一番人気があるもの」とのリクエストを出すと、CDを掛けて聞かせてくれるから有難い。周囲には物珍しそうに人々が、「こっちの方がいいぞ」などとちゃちゃを入れながら、皆で聞く。

それから民族博物館へ。ところがその場所に博物館はなかった。あったのは大きなビル。中では和田(ホータン)の玉が売られていた。ここは玉の市場かな。新疆民街と書かれており、政府がここを10年前に整備したことは分かったが、その後博物館は閉鎖し、市場になったようだ。

玉と言えば、ホータンの玉の値段はどんどん上がっており、石炭などで巨額の富を得た漢族が高値で買っていくと言う。たった一つの玉を4000万元で売り、その金で市内中心にビルを買った、などという豪勢なエピソードも飛び出す。今や博物館など儲からない、といった雰囲気が漲る。とても残念なことだが、これが現実。

バスとタクシー

先生達はもう一つの新華書店に向かう。不熱心な私はここで別れる。そして折角なので市内のバスに乗ってみる。ところが地図を忘れてしまい、停留所の名前を見ても、どのバスに乗ればよいか分からない。仕方なく適当に乗り込む。1元。

日曜日の昼間、バスは意外と混んでいた。ラマダンの時は家でジッとしているのかと思い込んでいたが、どうやら違うらしい。数駅乗ると紅山公園にやって来たので、ここが市内の中心であると思い、降りる。ところが、この公園は相当の広さの上に高さもある。ここを登るのは大変だと思い、目の前にやって来たタクシーに飛び乗る。

運転手は漢族ではないが、どの民族かは分からない。最近は景気も良いし、給与も上がっていると上機嫌で言う。「ウルムチは田舎だと思ってきただろう」とズバリ言ってのけたりもする。「最近この辺のマンションは8,000元/㎡はするよ。一番高い所は18,000元」街の発展を喜んでいる。「俺たちは民族なんかどうでもいい、平和に暮らせればそれでいいんだよ」とも言う。確かにその通りだ。

 

一人昼飯
ホテルに戻ったが、時刻はまだ2時台。何となく腹も減るが、それほど沢山食べたくもない。そこで麺を食べようとホテル内のレストランへ向かう。ところが・・「四川の担担麺ならあるが、ウイグルのラグメンはない」と言われてビックリ。仕方なく、ラグメンレストランの場所を聞き、向かう。歩いて5分、

店を覗くと沢山の人が食べていた。入り口で先ず食べる物をオーダーし、金を払う。私は迷わずナス肉ラグメンを注文。10元。ついでにシシカバブーも頼んだが、「1本なんて焼けないよ」とお姐さんに冷たく言われる。しかし後ろで順番を待っていた女性が「あたしも食べるんだから、一緒に焼こうね」と実に優しく言ってくれた。これだけも感激。カバブー1元。

昔の学生食堂のように、厨房が見える。自分のオーダーした物をその前で待つ。なかなかいい雰囲気だ。スープ麺もあり、こちらは出て来るのが早い。これも美味そうだが、熱いのだから、汗が出そうだ。10分近く待ってようやく、私の麺が出て来た。

ナスと羊肉の具と麺は皿が分かれていた。具を麺に載せ、思いっきり?かき混ぜる。ナスの香りが飛ぶ。食べなくても、既に美味い。麺は本当にしっかりしており、実に満足できるスパゲッティーである。日本では食べられないのだろうか。カバブーが遅れて到着。こちらも肉が柔らかい。

食事が終わってレストランを出ると、そこは下町の風情。ちょっと散歩。道沿いに木々が緑に映え、その下でカバブーを食べながらビールを飲む人々。昼からビアガーデン状態だ。N先生に早速知らせねば、と思う。

脇道を入ると果物を売っている。スイカにハミウリ、ブドウ、何でもある。一人ではスイカ一つでも多過ぎる。諦める。横を見ると携帯ショップがあった。そうだ、デジカメのカードリーダーを持ってくるのを忘れていた。店で聞くと、おにいさんが親切に私のカードに合うリーダーを探してくれた。価格は僅か10元。何となくその優しさに癒される。

更に歩いて行くと、靴磨きのおばさんと目が合う。そうだ、昨日砂漠に足を突っ込み、靴を汚していた。試に足を出して聞いてみると「これは革靴じゃないから、ちょっと高いよ」と言われる。いくらか聞くと「3元」との答え。磨いてもらう。磨くと言うよりクリームをつけて落とす感じか。

おばさんは河南省から出て来た出稼ぎだった。ここでの生活を聞くと「生活はどこだって同じだよ」と。でもウルムチは景気が良いそうで、商売は繁盛しているとも言う。僅か2-3元の商売だが、彼女は実に明るい。話していてもよく笑う。隣の2人も同郷らしく、話に加わり楽しく過ごした。



 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です