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《宇治お茶散歩2013》(4) 大阪 街を歩き回る

3. 大阪

それから急いで地下鉄で京都駅へ戻り、コインロッカーに入れた荷物を取り出し、大阪へ向かった。今日は2回目のセミナーがあったのだ。今回はアパホテルを予約しており、大阪駅から梅田に回り、地下鉄で淀屋橋へ。結構時間がきつかった。

 

アパホテルは派手な女社長のイメージが強く、どんなものかと思っていたが、前回の東横インよりはかなり良いように見える。ただ朝食は別料金で1000円以上するのはどうか?と言っても日本にはコンビニがいくらでもあり、朝ごはんに困ることもない。

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夜はセミナーがあり、熱心な皆さんにアジアのお話をした。その後懇親会もあり、大阪の熱気を感じた。東京より大阪の方がはるかにアジアに近い。それは距離的な問題ではなく、雰囲気、流れのようなものだ。心地の良い夜だった。

 

11月2日(土)

大阪散歩

翌朝は大阪散歩に出る。と言っても特にあてはない。近くをフラフラしているときれいな川沿いに中之島公会堂があった。修学旅行生がたむろしていた。何だかとても懐かしい気分になった。それから大阪駅までフラフラ。環状線に乗り、大阪城へ。

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大阪城公園駅で降り、ゆっくり歩く。秋の空気が気持ちよい。城に上る坂は意外ときつかった。体力の衰えか。秋の週末、沢山の人々が行楽に訪れていた。まさに日本の行楽、という感じがした。隣の駅まで歩いて行く。

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それからまた環状線に乗り、鶴橋へ。ここは一度も来たことがなかったので、下りてみた。駅に隣接して韓国系食材店が並ぶ。チジミ、などを販売しており、思わず買い食いする。ここもかなりのお客さんで賑わっている。大阪の経済は悪いと聞いているが、どうなんだろうか。

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それから地下鉄で難波まで行き、何とそこから淀屋橋までは商店街を歩いて戻る。大阪の人にも『そんなに歩くヤツはおらん』と笑われたが、歩くと色々なものが見えてくる。前回気に入って買ったバッグをもう1つ買おうと探したが、すでに閉店していた。やはり経済は厳しいのだろう。

 

午後は大阪駅前のビルでセミナー。その後早めの懇親会。そしてそのまま新大阪へ行き、新幹線で東京へ戻った。この週末は3連休で、どこも宿が取れなかったのである。勿論お金を出せばあったのだろうが、これで十分。

《宇治お茶散歩2013》(3) 京都 茶旅の大先輩を突然訪ねる

2. 京都

伊右衛門サロン

夜大阪で予定がある。昼は暇なので京都で過ごすことにした。さて、どこへ行こうか?銀閣寺方面へ、と思ったら、駅前のバス停は長蛇の列。行く気も失せた。地下鉄に乗ろうか、いやせっかくなので歩いて見る。京都の道はどうせ真っ直ぐだ、迷うこともあるまい。

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5分も歩くと東本願寺がある。入ってみると、ここも改修中だ。確か1200年の記念行事が迫っていた。それにしても広い寺だ。大きな堂だけでいくつもある。ゆっくり見ていたら1時間ぐらい過ぎてしまった。

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そのままずっと北上した。三条烏丸という場所まで歩いたと言ったら、関西の人に『本当か』と言われた。一応歩くのが仕事なので、と言うことにしているが、それにしてもちょっと疲れた。Tさんが昨日言っていた伊右衛門サロンで休むことにする。

 

このサロンは三条烏丸の駅にすぐ近くにあった。周囲には古いお店が並んでいた。だがここはモダン。12時過ぎとあって、店内は込み合い、待っている人もいた。普通は待ってまでお店に入る気はしないが、疲れていた。そのまま座り込む。

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ここはショップにもなっていて、お茶の本から、お茶そのものまで、色々と売っていた。しばし見る。お茶の売り方も色々とあるものだ。茶筅や抹茶も揃えており、雰囲気を出している。

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20分ぐらいで順番が来て、カウンターに座った。ここはバーカウンターのようだ。店内も色々と工夫されていて、飽きさせない。ランチも手ごろで1000円以内で食べられる。特にどうということもないが、見せ方としては面白い。

 

メランジェへ

伊右衛門を出て、さてどうするか?突如思い出したのが、京都のお茶屋さん。と言っても元々紅茶屋さんで、中国茶などお茶全般を商っている。今年の8月にタイのメーサローンに視察に来たとバンコック在住のMさんから聞いていたので、一度訪ねてみようと思っていたが、調べるとここからすぐ近くだと分かる。

 

お茶屋さんと言ってもビルの5階。以前はサロンなども開催できるスペースだったようだが、現在は茶葉を売る場所となっている。ただ歩いていても絶対に気が付かない。店のドアを開けるとお客さんがいた。常連さんのようでお茶の細かい話をしている。どうやら相手をしているのが、オーナーのMさんだ。

 

少し待って、私の氏素性を述べると、Mさんは『あー』と言って分かってくれた。お茶の世界は狭い。そういえば7年ほど前にこちらのサロンに出ようと申し込んだが、父の具合が悪くなりキャンセルしたことも思い出した。あれは角山先生の講演会だったろうか。

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突然訪ねたにもかかわらず、それから3時間、話し込んでしまった。このお店にはお茶の歴史に関する資料もたくさんあり、何よりもMさん自身が世界の茶畑にほぼ行っており、その関連資料もきちんと揃えていて、私の茶旅にも大いに参考になった。

 

Mさんいわく、『あと行っていない茶畑はケニアとグルジアだけ』。うん?グルジア、その地名に引っかかった。グルジアと言えばトルコの茶樹の供給場所であり、先日もモンゴルで何度も出た地名だ。是非私も行ってみたい。そういうと、『来年行く機会があるか知れない』というので、これもご縁かな、とひそかに思う。

《宇治お茶散歩2013》(2) 宇治 茶の香りに包まれて

茶の香りに包まれて

Tさんの事務所兼自宅にお邪魔する。ここには3月にも一度お邪魔したが、実に居心地の良い空間だった。Tさんは日本ばかりでなく、ヨーロッパなどに出かけていき、煎茶の良さを伝えるいわば伝道師。独自に作成したお茶箱に道具を詰めていく。何となく寅さんのようで格好良い。

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先ずは茶香炉で茎茶を炒る。蝋燭の淡い火でゆっくりと焙る。茶の木の枝で時々かき混ぜる。このパフォーマンスはヨーロッパで受けるらしい。そういえば昔、日本でもお茶屋さんの前を通ると香ばしいにおいがした。今この空間にそんな香りがしてくる。

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今回Tさんは1か月半ほど、ヨーロッパに滞在して帰国したばかり。チェコのプラハやベルリンのティハウスに煎茶を卸しており、そのお店でパフォーマンスをしているそうだ。プラハのような文化都市では、ティハウスに大量の茶のメニューがある。インドやスリランカの紅茶にはじまり、中国茶、日本茶も並んでいる。この中から日本茶を選んでもらうにはそれなりの動機づけがいる。更にミラノの展示会にも出掛けたそうだ。

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Tさんの茶室にいい香りが満ちてきた。その中で良質の煎茶を頂く。今回はちょうどヨーロッパ向けのサンプルが作られており、玉露、嬉野の釜炒り、浜松の山茶などを飲んだ。浜松の山茶は、なぜこんなに美味しいのか?同じ静岡と言っても浜松のお茶を知る日本人は少ない。

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何と夕飯までご馳走になってしまった。日本茶は初心者の私のとっては、とても良い勉強の場が与えられた。いくらでも疑問は沸いてきたが、とても質問しきれない。Tさんには申し訳ないが、今後もお付き合いを頂き、質問を重ねることとしたい。宿まで私を送ってくれたTさんはこれから会合があるという。色々と忙しいのだな、地方都市も。

 

宿のドアは開いており、勝手に自分の部屋に入る。本当に静かで物音がしない。勿論ネット環境はないので、自分のポケットWIFIを使うが、疲れて早々に寝入る。

 

11月1日(金)

平等院は

翌朝は早く起き、散歩に出た。朝の宇治川は輝いて見えた。宿の前の川には船が何艘も停まっていた。宇治といえば宇治川の合戦、そして先陣を競った佐々木高綱と梶原景季、その碑も建てられていた。この川を馬で渡るのか、うーん。福寿園の茶房もあったがまだ開いていない。宇治上神社、とても背景の良い神社だった。紅葉にはまだ早いが、そこここに神社があり、落ち着いて歩ける。

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そして再度橋を渡り、平等院へ。平等院は恐らく中学の修学旅行できて以来だろう。参道を歩いて行くとお茶屋さんが沢山ある。観光名所ということだ。そして中へ入ろうと拝観料を払うと『今は改修工事中ですが、宜しいですか』と聞かれる。そう聞かれてもここまで来たら入るしかない。本当に全面的に覆いが掛けられ、平等院は全く見えなかった。池の向こうに単に建物があるように見えるだけ。藤原頼通が造ってから何回改修したのだろうか。観光客も殆どいない。

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鳳翔館という博物館があるのでそちらをさらっと見学。帰ろうと思って出口を探すと、源頼政の墓があった。1180年に平家追討の旗を上げ、ここで自刃した武将。見ると76歳だとか。あの時代の76歳は今の90-100歳では。それでも立ち上がった彼は凄いと思う。勿論立たなければならない理由はあったにせよ。

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荷物を引き摺り、宇治駅へ。相変わらず平日の午前中、観光客の姿もないが、お茶屋さんが開き始めた。京都の老舗、という雰囲気を醸し出しているところが多い。私にとってはどこが老舗で、どこが有名なのかも分からない。宇治駅から京都へ向かう。

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《宇治お茶散歩2013》(1) 宇治 変わる茶園の風景

《宇治お茶散歩2013》  2013年10月31日-11月2日

 

今年に入って日本を何回か旅している。日本は意外と面白い、私にとっては知らないことばかり『ワンダーランド』だというのが率直な感想だ。茶畑もたくさんあるし、行くべきところはいくらでもありそうだ。本格的に日本の茶旅を開始したいと思う。

 

先ずは3月に訪れた日本でも最も有名なお茶処、宇治。茶問屋のTさんとはその後も連絡を取り合っており、宇治に泊まりに行くことにした。10月末では紅葉にはまだ早いが、時期を選んでいては進まない。行けると時に行っておこう。

 

10月31日(木)

1. 宇治

お茶事情

朝品川まで行き、新幹線の自由席に乗ると、2時間半で京都に着く。本当にこれは便利で早いと思うのだが、何でこんなに高いのだろうかとも思う。この片道運賃で今や成田‐那覇が飛行機で往復できる時代。何とかならないのだろうか、外国人観光客も悲鳴を上げている。

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京都駅も慣れたもので、すぐにJR宇治線に乗り換える。快速が停まっていたので乗り込むと、20分で宇治駅に着いた。駅にはTさんが待っていてくれ、すぐに河沿いの今晩の宿に投宿した。1階は土産物を売り、2階に宿泊できた。何とも昔ながらの宿。意外と奥行きがあり、部屋はいくつもあった。Tさんがこの部屋が良い、と勝手知ったる様子で案内してくれた。お客さんは居ないようだった。

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宿を出て、Tさんの車で宇治田原へ。途中に山の中に放置された茶畑があり、茶樹が伸びていた。最近は茶栽培を止めてしまう農家も増えているという。茶樹の横には古い柿の木があった。『昔農家は冬の仕事に干し柿を作っていた』とTさん。先日見た蘇州の茶畑を何となく思い出す。

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それから弘法大師の井戸へ行く。ここは旅の僧、弘法大師が『ここを掘れば水が湧く』と示した場所と言われており、今日まで水が枯れたことがないという。横には近所の農家が作った梅干しが置かれ、お金を置いて買っていくことが出来る。この梅干し、食べるとなかなか美味しい。これも農家の冬仕事なのだろうか。

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茶園を通り過ぎる。これから冬に向かって養分を養う時期だろう。普通は茶樹の下に枯葉が大量に落ち、それが養分になるのだが、どうやら最近は事情が異なるらしい。日本茶は全体の需要は統計上伸びているのだが、伸びているのは茶飲料。茶葉を急須で淹れるお茶は残念ながらどんどん買われなくなっている。

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茶飲料といえども茶葉は必要だ。勿論高級な部分ではない。そして国産茶葉使用と表示するためには国産でなければならない。必然的に従来使われていなかった茶葉が使われるようになるというもの。どう考えればよいのだろうか?