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ベトナムGH11連泊の旅(14)ハノイ 古都ニンビンへの日帰りツアー

バイクの後ろで快適にハノイの街を走り抜ける。先日ミャンマーでバイク決死行3時間をやっているので、平地でしかもスピードも出ない旅は楽ちんだった。しかしいきなり日本から来た普通の観光客にやったら、大変だろうな。旧市街の一角でバイクは停まり、ガイドは旅行会社に入って行った。そしてバスがやって来た。既にヨーロッパ系の人たちが何人も乗り込んでいる。

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そのバスで他のホテルを回り、お客をピックアップした。客が揃うと郊外に向けて出発。ニンビンはハノイから南へ2時間、と聞いている。道路も郊外へ出ると渋滞もなく、快適なドライブとなる。ガイドは英語を話し、ジョークを飛ばす。お客はヨーロッパ人が多く、ノリが良い。あとはシンガポール人とマレーシア人。私は唯一の日本人。

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車は1時間ほど、農村地帯を走る。所々に建設中の建物などが見える。そして休憩所に入った。この辺、ベトナムもルールが厳しくなったのだろうか、いや商業的な目的でお土産物屋に合法的に連れて行く手段だろうか。トイレに行ってから店を覗くと、障害を持った人々が工芸品を製作していた。欧米人はこの辺に関心を寄せている。他のバスで来た中国人観光客は、朝からせっせと土産物を漁る。しかし以前と比べて中国人の姿が減ったなと感じる。これが5月の反中暴動の余波ということなのだろうか。中国国境からハノイまでは車で僅か2時間ほどの距離なのに。

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またバスは走り出し、そして1時間ぐらい行くと川が見えてきた。山水画のような風景、これは昔中国の桂林で見たものに何となく近い。ここニンビンは約1000年前、ベトナム初の王朝の都だったところ。古い宮廷の見学から始まる。橋を渡り、実に古びた門を潜り、かなりこじんまりした建物に入る。中には皇帝の台座があり、外には皇帝の墓と呼ばれるものがあった。全てに龍があしらわれており、この時既に中国の影響を大きく受けていることが分かる。そう見てみると、建物の構造や庭の配置なども中国風に見えてくる。

 

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今ベトナムは乾季であるが、日中は相当に暑い。マレーシアから来た私より年上の夫婦は古い樹木の下で涼を取っていた。彼らの息子はちょうど今、東京に旅行に行っているらしい。親がベトナムで子供が日本へ、そんな時代なのだ、日本も大変行き易い場所になったのだ、と感じる。更に古い寺を1つ見学した。

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ガイドが寄ってきて『よかったらここで午後まで過ごさないか?』と真顔で言う。私は何を言われたのか分からなかったが、頭を過ったのは『私のツアー料金にはランチ代が含まれていないので置いて行く』という意味。思わず『なぜ?』と強い調子で詰問するとガイドは冗談だ、と一言。ドイツ人の女性が寄ってきて『彼の英語は分かりにくいから気にするな』と言ってくれたが、何となく嫌な雰囲気になる。

 

それが的中したのが、ランチ。レストランに着くと、ガイドがお客を2つに分けていた。半分以上を2階に案内し、私と韓国人一家、シンガポール人一家、ドイツ人カップルは1階になった。まあ席の都合かと思っていたが、出てきた食事があまりにもみすぼらしい。野菜炒めと豆腐とご飯、そんな感じだった。ドイツ人カップルが早々文句を言うと『だったら更に10ドル払え』と言われている。そうか、ツアー料金が格安のため、食事が最低限に抑えられている。因みに2階へ行った組の食事はかなり豪華で食べ切れなかったと聞く。ツアー料金は重要だ。

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私はシンガポールから来た華人の母と3人の息子と一緒に食べたが、少ないおかずにテーブルは沈みがち。その中で息子の一人は流暢な英語で日本について質問してくる。彼は大学生で好奇心旺盛。私が普通話で答えを返すと、お母さんもビックリして、『あんたは日本人じゃなくて中国人か』と聞いてきた。彼らは福建から来た三代目と四代目、兄弟同士は普通話、お母さんとは福建語を話していた。

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直ぐに食事は終わり、周囲を散策すると、なかなかいい光景が目に入る。牛が荷を引き、湖にはボートが浮かぶ。この後ボートトリップがあると聞いていたので、ここから出るのかと思いきや、またバスで移動した。そして着いたところにはボートが沢山待っており、2人ずつ乗り込む。私はフランス人男性と一緒になる。後ろにおばさんが一人、櫓を漕ぎスタート。このボートは途中3つの鍾乳洞を潜り抜けて行く。何とも神秘的ではあるが、南国のゆったり感が強く、のんびりしている。

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いい景色を眺めていると後ろのおばさんがこっちを見ろ、という。何とおばさんは両足を使って櫓を漕いでいた。写真を撮れ、とサービス精神も旺盛。しかも言葉はフランス語。やはりベトナム、フランス語を話す客が多いのだろうか。後ろのフランス人に行くと『ベトナムでは今はあまりフランス語が通じない』というから、このおばさん、独自に勉強したのかもしれない。凄く豪快なおばさんだ。そして我々にも自分たちで漕げと言い、オールを取りださせて、自分は楽を始める。見ていると他のボーとも観光客が喜んでオールを動かしており、この辺はおばさんたち、観光客の行動を知り尽くしている。

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ガイドからは『降りるときに良かったらチップを1万ドン上げてくれ』と言われていたが、フランス人がおばちゃんに上げようとすると、さっと5万ドン札を取り上げた。お釣りなどくれない。更に私からも1万ドン徴収した。凄い早業だった。シルブプレ、というフランス語が川面に響いた。たくましいベトナム人、妙に愉快だった。フランス人も笑って諦めた。

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そしてバスはレストランに戻る。殆どの乗客が自転車に乗る。私は足が痛かったので大事を取って乗るのを控えた。レストランで携帯の充電をしながら待つ。40分位で一団は帰って来た。そしてブラジルから来た男性が『どうしてお前は行かなかったんだ、自転車に乗ったといっても僅か2㎞ぐらいをゆっくり。そこにはとてもいい景色、撮影スポットがあったぞ』というではないか。私はてっきり、サイクリングを想定したので、完全にミスをした。誰に聞いても行くべきだったと慰められたが後の祭り。これはオプショナルツアーなので、要注意だ。

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ベトナムGH11連泊の旅(13)ハノイ ビヤホイと劇的な再会

ビヤホイと劇的な再会

今日は何となく休みだな。遅めの昼ごはんに行く。だがあまり遠くへ行く気もなく、また今朝のメンバーで昼から目の前のビヤホイ屋へ行く。ビヤホイとは特にハノイに多い、アルコール度が低い、世界一安いビールと呼ばれている物。ジョッキ1杯、2000‐3000ドンらしい。アルコール度が低いのに更に氷を入れて飲む習慣があることから、あまり酔わない酒というイメージだ。ただHさんによると、ビヤホイの一気飲みを売り物にする店がいくつかあるという。いくら軽いといってもどうなんだろうか。このビールは肉体労働者が飲むもの、という感覚もあるらしい。

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ビヤホイ屋では料理も注文できるので、ランチ時間でも開いており、地元の人で結構賑わっている。我々は揚げ豆腐を頼んだが、これが美味い。どんどん食べてしまう。モツ系を炒めた食べ物も出てきたが、これもイケル。ある意味でビールのつまみなのだが、それとご飯で十分に食事になる所が素晴らしい。料金も高くないので、バックパッカーもよく行くらしい。

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食後は一人で散歩に出た。文廟の周辺を歩いたが、何となく既視感がある。確かに文廟には来たことはあるが、それとは違う何かだ。何となく路地に入った。見覚えがあった。どこなんだ、ここは。そう思ったら、ある店の前に来た。そこには2年半前にベトナム人の友人、ズンさんに連れてきてもらったお茶屋さんがあった。驚いた、こんな偶然ってあるんだな。

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店に入ると以前とあまり変わらない。昼下がりでお客は居ない。ここのオーナーの名前を咄嗟に思い出し『スオンさんはいる?』と聞いてみた。店員は英語を理解せず、ただスオンという名前に反応したが、何を言っているのか分からなかった。仕方なく、外へ出た。すると目の前に携帯電話を持ったスオン氏が立っているではないか。彼も一瞬私が誰か分からなかったようだが、すぐに認識した。彼は著名なジャーナリストでもあり、忙しいようだったので、取り敢えずこの喜ばしい再会を祝しただけで、今日は別れた。

 

それから市場付近で売っていたお茶を見たが、字も読めないし、言葉も通じないので、よく分からない。バナナを売っている女性がいたので、バナナを買う。高いのか安いのかよく分からないがバンコックの基準で買ってみた。このバナナ、かなり美味い。確か昔ベトナムと中国の国境に行った時、おばちゃんたちが担ぎ屋として国境を越えていたが、担いでいた物の中にバナナが多かったのを思い出した。ベトナムのバナナ、美味くて安いのだろう。

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そしてまた宿でダラダラして、夕方を迎え、Hさん、Kさんと文廟近くのおしゃれなカフェへ行った。ベトナムにはフランス風というか、コロニアル風というか、雰囲気の良いカフェが多い。ここもその一軒だろう。ゆるいソファーが置かれており、寝っ転がるのにちょうどいい。一日何もしないでボーッと寝っ転がっていたい、いいなそれ。コーヒーも本格的で美味い。お客がいなかったので静かな時を過ごした。夜はレストランになるらしい。

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夕飯はインスタント焼きそば

夕飯はどうしようかと思っていると、若者たちがフォーを食べたいという。そういえば文廟の横の路上でフォーを美味そうに食っている人がいたのを思い出し、行ってみることに。完全に道にテーブルと椅子を出して営業している。英語のメニューを用意しており、完全ローカルな店ながら、外国人も多く来ることが分かる。

 

皆がフォーを頼む中、私は焼きそばに惹かれていた。何となく横を通った焼きそばが美味そうに見えたのだ。ハノイは広東風であれば、焼きそばも美味いはずだと踏み、敢えて頼んでみる。見ていると、何とインスタント麺を茹で始めた。これは完璧な広東風。香港なら出前一丁にしますか、と聞かれそう。そして出てきた焼きそばはボリューム満点。味もかなりイケル。でもこれで5万ドン、というのはどうだろうか?一方フォーは本当に美味しそう。肉がたっぷり入っており、こちらもボリューム満点。次回は是非フォーを食べてみよう。

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11月27日(木)

ニンビン日帰りの旅

今日はハノイからの日帰り旅行にチャレンジした。Hさんと若者2人は王道のハロン湾ツアーに出掛けたが、私は日程の関係で1泊する余裕がなく、勧められてニンビンというところへ行くことになった。日帰りの英語ツアーだと、30ドルぐらい。ベトナムでは英語ツアーが安くてお得、ということを3年前の旅で味わったので行ってみることにした。

 

我々の宿は旧市街からちょっと離れていたが、それでも宿まで迎えが来るという。8時に路上で待つように言われたが、来るのは8-9時の間とのことで、かなり待たなければならない可能性がある。Hさんは向かいのカフェの外でコーヒーを飲んで待っている。私も隣に座り注文したコーヒーが来た瞬間、若者が『迎えが来ました』という。バスが来ると聞いていたが、何とバイクに乗ったガイドが現れた。

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さてお先に、と挨拶してバイクの後ろに乗ろうとすると『チケット』と言われる。私はお金を払ったが、チケットなる物を貰い忘れていた。慌てて管理人さんに電話しようとしたが、電話の使い方を習っておらず、使えない。携帯番号も聞いていなかったので、困る。ガイドも時間的に焦っているようで、『早くしなと置いて行くぞ』という雰囲気を満面に出している。だが私にはどうすることもできない。すると彼は『分かった。とにかく乗れ』というではないか。この辺の柔軟性、日本にも中国にもなさそうだ。

 

バイクの後ろで快適にハノイの街を走り抜ける。先日ミャンマーでバイク決死行3時間をやっているので、平地でしかもスピードも出ない旅は楽ちんだった。しかしいきなり日本から来た普通の観光客にやったら、大変だろうな。旧市街の一角でバイクは停まり、ガイドは旅行会社に入って行った。そしてバスがやって来た。既にヨーロッパ系の人たちが何人も乗り込んでいる。

ベトナムGH11連泊の旅(12)ハノイ 宿の若者と困った老人

夕飯と旧市街

結局夕方までダラダラしていて、HさんとKさんと、旧市街地に食事に出かけた。タクシーで行けば直ぐだったが、道はかなり細かい路地になっていてよく分からない。今回の旅は完全に人の後ろを付いていくので、道を全く覚えない。これは旅としては良くないな。旧市街の細かな路地を行くと、席を外まで広げて商売している店があった。我々もそこへ入る。

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この店は、焼肉屋。既にテーブルに鍋が置かれており、そこにアルミホイルを敷いて、その上から肉や野菜をふんだんに入れて焼く。まるで煮ているようでもあり、すき焼き風にも見える。食べてみるとなかなかイケル。この店が流行っている訳も何となく分かる。安くて美味い、は万国共通、誰にでも好まれる。

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それにしても地元の人ばかり、外国人が多いこの地区としては異例なほど。我々がとても異常な存在のように見えてしまう。外国人が店に入る前に既にベトナム人に席が占拠されていた、という感じだ。

 

ただこの店を出て、路地をブラブラしても、何となく元気がない。2年半前に来た時もこんな感じだっただろうか。ホーチミンのように店がきれいになっているという様子も少なく、あまり変わり映えがしない。それでもホアンキエム湖まで出ると、眩しい光が差してくる。湖がよく見えるビルの4階にあるバーへ行き、涼しい風に当たりながら、レモンジュースを飲んで、しばし休む。

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宿に戻ってみると、リビングにいるのは男ばかり。年齢も大学生から80歳を越えたおじいさんまで居て多彩。ただこのおじいさん、なぜこの歳で一人旅?自分の荷物を3階に上げることも難しい状況でゲストハウスにやってくるのはどうなんだろうか。若者が文句も言わずに荷物を運んであげているのが、せめてもの救いだが。まあ宗教的に言えば『徳を積む機会』ということだろうが、このおじいさんはどのような考えで旅しているのか。

 

そういえばさっきも管理人のキエンさんに『ベトナム人は英語が通じない!ATMにカードを入れたら、カードが吸い込まれてしまった。この国はどうなっているんだ!』と文句を言っていた。ベトナム人のキエンさんは辛抱強く、相手をしてくれていたが、彼が悪い訳ではない。結局キエンさんが付いて、明日また銀行へ行き、カードを取り戻すらしい。どうも年齢が上の日本人には『無意識に?アジアを見下す傾向』があるように思う。一方若者も偏った情報だけを浴びているから、顔や言葉には出さないがやはり上から目線、は存在する。これは何とかしないといけないと思うが、個々人が海外に出て、十分な体験を積まない限り、新しい目線は生まれないように思う。

 

その夜、誰かの歯ぎしりといびきでちょっと眠りが浅くなった。ベッドに入って5分以内には必ず寝られるのが自慢だが、疲れが出ているのだろうか。日本人の行く末について考えてしまうと眠りが浅くなりそうだ。

 

11月26日(水)

朝飯

翌朝の目覚めは少し悪かった。下に降りていくと、若者が3人おり、Hさんの先導で一緒に朝飯に出る。宿の目の前の道が市場に繋がっており、野菜や果物、豆腐などを売る露店が沢山出ている。この風景、昔の中国の田舎町でよく見た。いや、今もあるだろう光景だ。ここハノイはやはり中国の影響を大きく受けている。

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Hさんは行きつけのカフェに入る。Hさんは今年1か月ほど、この宿の立ち上げに参画し、ハノイに滞在したので、この周辺は熟知していた。アイスコーヒーを頼み、Kさんと外へ出て、バインミーを買って戻り、店で食べた。他の国では持ち込み禁止は当たり前だろうが、ここでは文句を言う人はない。この辺の大らかさも昔の中国、いや東南アジア全般との類似点か。

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そこでまたダラダラした。若者たちは、ゆっくりと世界1周、というか、数か国を回り、気に行った所に留まる旅をしていた。タイから入り、ラオス、カンボジアを訪ねて、ハノイに流れてきた。ラオスがよかった、という声を何度か聞いた。ベトナムやタイよりもっとゆるい社会に見えるラオス。確かに田舎には緊張感がなくて、よいのかもしれない。

 

宿に戻り、ネットを触りながら、ゆっくりと過ごす。それから洗濯をした。3泊以上泊まると洗濯機を無料で使えた。私はホーチミンで着ていたシャツやパンツを洗おうとしたが、洗濯機の使い方が分からず四苦八苦。どうも機械に弱い。何とか洗って干そうとしたが、先客が多く仏間の物干し場所にはスペースがなかった。どうやらハノイではこの時期?洗濯物が乾かないらしい。私の服も2日干して何とか使えた。

 

ベトナムGH11連泊の旅(11)ハノイ ブンチャーと快適な宿

搭乗が始まると、緊張した面持ちのベトナム人が大勢乗り込んでいく。初めて飛行機に乗るお婆さんやお爺さん、何だか初々しい。ベトナムにも少し中間層と言われる人々が出てきており、格安のLCCの登場と相俟って、世の中が変わっていく。機内は普通のLCC、特に問題はなかった。CAは英語が流暢で、多少の笑顔があり、好感が持てる。制服がアメリカ風?のショートパンツというのも、目を惹く。ベトナム航空のアオザイに対抗しているのだろうか?

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フライトは1時間半ほど。ベトナムも南北が長いと実感する。東京-福岡ぐらいの距離だろうか。LCCなので特に何のサービスもなく、手持ち無沙汰ではある。でもベトナム航空の国内線に乗っても、水のペットボトル1本を渡されただけの思い出があり、大差はない。乗客は外国に行くような雰囲気だ。ホーチミンからハノイへ行く、それは海外へ行くのに匹敵するほど、習慣、文化などが異なるのだろう。

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2.ハノイ

空港から

空港に着くと、市内へ行くバスを探した。空港から市内への距離は結構遠い。目の前に航空のシャトルバスと思われるバンが停まっていたので、乗り込む。親切にも荷物を積んでくれる。ただ乗客は一人もいない、おかしいと思い料金を聞いてみると一人20万ドン。あれ、確か空港からタクシーに乗っても40万ドンぐらいで行けるだろう。我々は二人だからこの料金ならタクシーの方が良い。

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そして更に前に行くと、もう少しぼろいミニバスがいた。すぐに乗れ、と合図している。料金は一人4万ドン。これはベトジェットのシャトルバスだった。これなら合理的だと乗り込むと車内はほぼ満席。席も狭いのはLCCだから?すぐに発車となる。そして空港を出て少しくと停まる。そこで降りる人がいる。恐らくはここから別の都市へ行くのだろう。中国でも時々見かける、高速道路下の待ち合わせ。

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それから田園風景を抜け、そして10年前にも見たキャノンなど日本企業の工場を通り、市内へ向かった。40分ぐらい乗って何となく見覚えのある道へ。キンマー路、日本大使館があったな、と思っていると、Hさんは降りるという。降りてみてビックリ、ここは文廟ではないか。10年前のハノイ家族旅行で来た場所、懐かしい。

 

そしてそこを歩いていると、ホーチミンから一端家族でバンコックに戻り、今朝ハノイに来たKさんとばったり出会った。宿の管理人キエンさんとお客さんも一緒だった。文廟から目指すEZ Stayは直ぐだった。ハノイはホーチミンの比べて涼しいが、この付近は樹木も多く、雰囲気は良い。

 

ブンチャーと快適な宿

EZ Stayハノイ(http://ezstayhanoi.com/)は道沿いだったが、入口がちっと見つけにくい。私一人だったら、まごまごしただろう。宿はホーチミンと同じスタイルだが、ちょっと狭い。3階と4階で男女は分かれており、部屋には2段ベッドはぎっしり。上段しか空いていなかったので、久しぶりに登って行く。尚女子のお客は少ないらしい。

 

5階には貸主の仏間があり、洗濯スペースに。更にはその上に危ない階段を上ると屋上がある。今は何も使っていない。是非ホーチミン同様、ここにも風呂場を、とオジサンは切に願う。Hさん、どうでしょうか??

 

まずは腹ごしらえ、ということで、外へ出た。ハノイで食べたい物、といえば、何と言ってもブンチャー。焼肉を汁に入れ、そこへ麺を付けて食べるつけ麺だが、これが実に美味い。ハノイに来たら、フォーなど食べる必要はない、と思える一品である。何と宿の目の前にブンチャー屋があり、入る。子供たちが肉を焼き、お母さんが会計を担当している。あれ、この風景、先日の広州で見たのと同じだ。ハノイは正直、広東の匂いがする。ベトナム語と広東語もかなり似通っていると聞く。

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肉が焼ける煙が上がる。香ばしいにおいが周囲に散乱する。ちょっと甘い汁に焼き肉と生野菜をぶち込み、米麺を付けてすする。ああ、誰がこんなものを考え出したのだろうか。実は後日ベトナム人の知り合いと話していたら、『この店はハノイでも有名なブンチャー専門店だよ』と教えてくれたが、本当なのだろうかと思うほど、素朴な店だった。勿論味は良かったが。

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宿に戻って休息。1階のリビング、2階(中2階感覚)のスペースとも寛げた。そこでPCを開いて、旅日記を書く。横ではHさん、Kさんがスカイプで東京との打ち合わせに参加している。こういう時代なんだな、どこにいても打ち合わせできるし、仕事もできる。ベトナムもネット環境の問題はないので、有難い。

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朝が早かったので3階のベッドに潜り込む。ここも清潔なシーツがあり、クーラーも効いている。この宿に11連泊しているという男性は昼間から自分のベッドでスマホをいじっている。涼しくて、清潔なら、居心地はよいかもしれない。あとで聞くと、体調があまり良くなかったので、休んでいたらしい。元気な時はどこでも寝られるが、いざ体調不良の場合、こういう宿は有難い。ここは1泊、10ドルだ。

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ベトナムGH11連泊の旅(10)さよならホーチミン

小盛りのフォーのはずが

雨は止んでいた。昼ごはんが軽かったのか、胃袋が大きくなっているのか、どうにも腹が減って仕方がない。一人で何か買って簡単に腹の足しにしようと思い、宿周辺を探し始めた。だがコンビニすら見付からない。やはり夕飯まで待とうかと引き返すと偶然にもHさんと行き合う。

 

Hさんは『それなら美味しいフォーを食べたらどうか』という。ちょうど今さっき宿泊客と一緒に食べてきたらしい。小盛りのフォーもあるというので、言われた場所に行ってみた。そこは私が歩いていた道と反対方向にあり、言われなければ全く気が付かない所にあった。

 

夕方5時過ぎというのにお客が引っ切り無しに出入りしており、期待が持てた。言葉は通じなかったが、フォーの小さいの、という表現はできたように思う。ところが出てきた麺を見ると、十分に普通サイズ。かなりの量があった。これを全部食べると夕飯が食べられなくなる、と箸を付けたが、スープを飲むとコクがある。牛肉にも味がある。これは美味いと、生野菜をぶち込んでどんどん食べてしまい、気が付くとスープまで全部飲んでしまっていた。

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お代は4.8万ドン、これが高いのか安いのか良く分からないが、普通盛りだと7万ドンするのだそうだ。店に金額が表示されているので、私にだけボッテいる訳ではなさそうだ。ベトナムに定価はない、と言われたが、このように表示する店も出てきている。そしてその料金は決して安くはなく、それでも客が来る自信があればこうなるのかもしれない。まあ地元民からは少なく徴収している可能性もあるが。

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お洒落な中華系メシ

宿に戻るとN社長が、Oさん、Fさんと一緒に食事に行くという。ちょっと腹はきつかったが、N社長との最後の夜、同行することにした。タクシーで行ったので、場所は良く分からなかったが、お洒落なレストランに到着した。男3人だったらいかないだろうな、この店。日本人客も何組かいたし、欧米人もいた。

 

4人掛けのテーブルに案内されたがOさんが何か言っている。席を替わりたいらしい。どうやらもう一人誰か来る。取り敢えず席を確保してビールで乾杯しているとその女性がやって来た。既にホーチミンに10年以上住んでいるという。N社長ともご縁があり、Oさんの仕事仲間らしい。非常にテキパキとした人。オーダーもどんどん率先してベトナム語でしてくれる。

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この店の食べ物も上品だったが、何となく中華の感じがした。さつま揚げのような物があり、かた焼きそばなどは、特に懐かしい味がした。ホーチミンには華人が住んでおり、チャイナタウンもチョロンにある。中国にほど近いハノイにはチャイナタウンがなく、遠いホーチミンにある、というのが何ともベトナムらしくて、面白い。

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その後、Fさんがどうしてもお洒落なバーで飲みたいというので、Oさん達は付き合った。Fさん、一人早く来て、最後まで満喫しまくりのホーチミンだったようだ。私はN社長とタクシーで宿へ戻り、最後の風呂をゆっくり浴び、そして安らかに寝た。

 

11月25日(火)

ベトジェットでハノイへ

翌朝は7時台のフライトでハノイへ行く。Hさんも一緒に行くので安心していたら、『私はバイクで空港へ行きますので、空港待ち合わせで』と言われ、ちょっと慌てる。まあ、だいぶん慣れたので問題はないのだが。住み慣れた(5泊もした)宿を離れるのは寂しかったが、また来る機会もあるだろう。

 

朝の6時過ぎ、道に出てタクシーを探したが、何と一台も走って来なかった。もし来なかったらどうなるんだろうか?これでは優良と言われるビナサンのタクシーを選んでいる余裕などない。何とかタクシーを捕まえなければ、とかなり焦る。そこへ一台、ヒョロヒョロとやって来た。マイリンと書かれたタクシー、これも比較的良いというので、すぐに乗り込む。

 

空港まで30分で着いた。タクシー代も正規に支払った。LCCであるベトジェットのカウンターへ行くと既に長い列ができていた。これはかなり効率の悪いオペレーションだ。ちょっと前にHさんがいた。バイクの方が早いんだ、やはり。そこへ入れて貰ったが、それでもチェックインまで30分近くかかってしまう。

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国内線なので荷物検査を経て、搭乗口へ。まだ少し時間があったので、ショップへ行き、バインミーを頼んだ。街中のモノと比べると、味も悪く、値段は4万ドン、2倍以上もした。まあ空港価格、仕方がない。Hさんが頼んだフォーも同様だった。そしていよいよ搭乗が始まる。ベトナムのLCC、ベトジェットへの期待と不安が高まる。

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ベトナムGH11連泊の旅(9)ホーチミン イオンモールに行ってみたが

日本食ランチを食べながら

昼前に出掛けた。社員旅行は昨日で終わり、今日は残った人々が思い思いに過ごしている。私も知り合いのKさんと約束していた。Kさんとは2008年のホーチミン訪問で知り合い、前回2011年にも会っている。考えてみれば私は3年に一度ホーチミンに来ており、来ればKさんと会っていることになる。

 

待ち合わせ場所は宿から歩いて行けるニューワールドホテルのロビーにしてもらった。ホーチミンには慣れたとはいえ、一人で出歩いて迷子になる恐れもあったので、そうしたのだ。このホテルの脇にはスターバックスのホーチンミン1号店が作られており、お客で賑わっていた。ただよく見ると外国人が多い。ベトナム人にとってスタバのコーヒーは高過ぎるのではなかろうか。バンコックと一緒で巷に安いコーヒーが出ているので、日本のような有難味はない。若者がその空間を楽しむスペースとして利用しているだけだろう。

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Kさんは変わっていなかった。すぐに近くの日本食屋に移動する。さほど大きくない店だが、日本人の老夫婦がやっている。焼き魚定食を頼む。サバは脂が乗っている。小鉢なども付いて、日本の味だ。最近ベトナム料理ばかり食べていたので、とても有難い。Kさんも奥さんはベトナム人であり、奥さんのコミュニティの中で暮らしているから、日本食を食べる機会はあまり無いのかもしれない。日本人と会う時は日本食にしているようだ。

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Kさんはホーチミンの庶民の暮らしを色々と話してくれる。昨日も見た地下鉄工事については『あれで我が家も立ち退きにあった。代わりの家は凄く遠くて、しかもようやくもらえて行ってみると、電気が通っているだけ。すぐにはとても生活できなかった。政府は一般庶民のことなど全く考えていない。その政府と連携してベトナムのためと言ってODAを出す日本政府の気がしれない』と。

 

日本はベトナムの庶民が必要としていない原発や新幹線をも売り込んでいる。地下鉄だって庶民は不要のものと考えている。それで被害を受けるのだから、日本嫌いにもなりかねない。先日の反中暴動の時に、間違って襲われた日系企業もあったが、あれは間違ったのだろうか。そういえば台湾企業もあったな。真実はいずこに。

 

日本企業の進出も『確かに沢山来ているけれど、必ずしも成功している訳ではない。ベトナム政府は金になりそうな進出案件は積極的に誘致するが、後はお構いなし』、『反中暴動だって、中国が嫌いというよりは、労働争議的な要素もあったはず。ベトナムの賃上げも凄い』とのこと。ようは中国の反日暴動と似ていて、人々のガス抜きであり、それほどに労働者や一般庶民が追いつめられているということだろう。

 

Kさんと話していると、日本の報道には出て来ないような話がいくつも出てきて、尽きない。現実に生活している人の意見は実に重要だ。8年前は確か不動産成金が沢山出て、ベトナムでは結束が固いされた家族が一部で崩壊、といったバブル現象が起こったホーチミン。今はどうなのだろうか。不動産価格は下落気味ということで、また固い一族の結束が図られているのだろうか。

 

イオンモールに行ってみたが

3時過ぎに宿に戻ると、出掛けていたN社長も戻って来た。小雨がパラパラ来たが、折角なので物見遊山でイオンモールへ行ってみる。『タクシーの運ちゃんも知らない人が多い』と言われ、ちょっとビックリ。日本の報道では開店時に10万人以上が訪れたと聞いていたので、ホーチミンの名所となっているに違いない、と思ったからだが。実際タクシーに乗り込むと何とか分かってくれたのでホッとした。

 

街中を抜けて車はどんどん走るがなかなか着かない。空港方面に向かっているのは分かったが、一体どこにあるのだろう。途中でロッテモールを見掛け、タイのビックCを見た。ライバルたちは大きな通りに面していたのだが、イオンは違っていた。かなり走った後、細い路地に入り、更にかなり行ってようやく建屋が見えてきた。ここは大型の住宅開発地。その一角に建てられていた。タクシー代は25万ドンにもなっていた。これは相当に高い。

 

まだ開店してそれほど経っていないので、きれいである。だが中に入って驚いた。お客は殆どいないのだ。スーパーには日本食品も置かれているが、高い。わざわざここまでタクシー代を支払って買いに来る日本人はいないだろう。平日の夕方、しかもかなりの雨が降っているということでお客がいなくても当たり前かもしれないが、レストラン街にもあまりいない。寿司を1個ずつ売っている店にだけ人がいた。

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2階の洋服、雑貨、玩具などには本当に人がいない。ダイソーの100円ショップぐらいは人気かと思ったが、どうやら使い方が分からず眺めるだけ買わない。多くの店が50%以上の値引きをしているが、お客がいなければそれも空しい。3階のシネコンもしかり。ボーリング場とゲームセンターでは多少遊んでいる若者や子供がいた。

 

ここは週末家族連れなどが一日ピクニック感覚で遊びに来るところであり、決して日用品を買いに来るところではない。『週末はそこそこ人が入っている』とは聞いているが、何となく日本人として心配になってしまった。N社長も『オールジャパンとして頑張ってほしい』と言っていたが、イオンは既にホーチミンに2号店をオープンしており、その面積はここに2倍とか。更にはハノイに3号店を建設中で、その面積はここの3倍と聞くと、思わず『うーん』と首を傾げてしまった。

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恐らくこれはイオンの長期的な戦略なのだろう。だから1号店は理由があってこのような場所に出していると思われる。人口9000万人のベトナム市場をいかに取り込むか、ベトナム政府の思惑もあり、簡単ではないだろう。最近市内のスーパーと提携し、商品をそこへ供給しているとも聞く。現場でやっている人は大変だ、と同情した。

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帰りは大雨に中を行く。路地は車で詰まったが、何とか切り抜けた。バイクの2人乗りが多いが、この雨でスリップ、転倒事故を2件目撃した。やはりバイクは怖い。何とか1時間で宿に着いたが、行きより安い20万ドンだった。どうやら行きのタクシーは遠回りした模様だ。

ベトナムGH11連泊の旅(8)ホーチミン 地下鉄工事はODA

地下鉄工事とランチ

そしてホーチミンの旧市街地、中心地に出てきた。昨晩もカジノに行く時、通ったのだが、昼と夜では雰囲気が違う。女性が喜びそうな土産物屋が並ぶ。センスが良い。日本人が経営している店もあった。ただ大規模な工事が街の中心で行われており、ちょっと違和感がある。よくよく見ると、何と地下鉄工事で、日の丸が描かれている。日本のODAによる支援だった。

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この辺にはおしゃれな店もあり、またホテルもある。だがこの地下鉄工事の影響で、実に通り難くなっている。ブティックなどの目の前が工事中というのでは、お客も入り辛い。我々もランチのために目指すレストランがあるのだが、Oさんがいつものようにそこへ向かうと、どこまでもこの工事が道を阻み、行くことが出来ない。仕方なく、元に戻って、先ずは工事現場を越えて、向こう側へ。そこには由緒正しいホテルがあるのだが、そこも大被害を受けており、ロビーが通路と化していた。

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かなり大回りして、お目当てのレストランへ着く。ここはガイドブックにも載っており、日本人も多く来るところらしいが、今日はお客がほとんど見当たらない。これも工事のせいだろう。Oさんのようなホーチミン在住者でも道に迷う訳だから、単なる観光客が来るのは簡単ではなくなっている。4階のベランダからいい風が吹き抜けているのだが、外を見ると工事の概要がよく見えた。今は昼休みだが、工事が始まれば、ここも煩いのではないだろうか。

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今日のお昼も豪華だ。サイゴンビールで乾杯し、春巻き、炒飯など、美味い料理が並んだ。なんかベトナム料理は酒の肴に良いようだ。暑いせいもあるがビールがことのほか進む。扇風機の風が心地よい。これからこの工事はどれくらい続くのだろうか。話によれば、大手百貨店は工事の関係で突然の閉鎖命令が出たらしい。まあ国営だから仕方がない、ということだったが、これは今の中国より遥かに酷い状況だ。

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ベトナムは中国を嫌っている、と言っているが、実は中国共産党の悪いやり方はしっかり盗んでいる。ODAを引き込んで、一部の幹部が甘い汁を吸っていると言われている。そしてそれを告発しようとすれば、消される、と聞いたことがある。世界で社会主義を標榜する国家は5つしかない。それらの国では、庶民からの収奪が合法的に?行われている。

 

ランチの後、一行は更にドンコイ通りに繰り出し、買い物を続けたが、私とN社長、老人組は、タクシーで宿に戻った。さすがにこの暑さの中、これ以上買い物に付き合うのは無理との判断だ。ビールも飲んだし、昼寝だな。

 

夜はカタツムリ

それから風呂に入ったり、ネットをやったりしている内に、夕方になってしまった。ご一行は全く帰って来ない。凄いパワーだ。今晩夜行便で帰るというのだから、おじさんからすると驚きだ。ようやく戦利品を携えて帰ってきたら、もう夕飯だ。先日我々が行ったバインセオの店に行くという。

 

私も付いて行った。もうビールは要らないので、コーラを飲む。何だかコーラが美味い。また大量のバインセオが運ばれてきて、旺盛な食いっぷりが見られた。今回の目玉はカタツムリ。と言ってもその殻を使って中に詰め物が入っているのだが、これがなかなかイケタ。皆さんも最後まで満足したことだろう。

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昨日クルーズに行く途中に偶然再会したFIさんとそのお知り合いも、やはりこの店に来ていたので、合流した。何だかご縁はどんどん繋がっていくようで、凄い。そして一行は空港へ向かった。既に別にバンコックに戻ったK親子もいない。ちょっと寂しくなる。ただこの宿には他の宿泊客も居るので、いつも知り合いがいるような錯覚に捕らわれる。

 

11月24日(月)

朝のカフェと宿泊者たち

翌朝はさすがに少しゆっくり起きた。何となく疲れが溜まっている。それでもまた今日もN社長と二人、バインミーを買いに行く。毎日よく飽きないな、と言われそうだが、中身は毎日変えている。今日はチキンだ。そしてコーヒーを道端のおばちゃんから買うと、1杯、1.5万ドンも取られた。明らかにおばちゃんは相手を見て商売していた。言葉が通じないことを逆手に取って、N社長の手から見事に札を抜いた。

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やはりベトナムのおばちゃんは逞しい。外国人に怯むこともなく、相手によって上手くあしらう方法を知っている。この強さがベトナム人を支えてきたのだと思う。あのアメリカや中国を敵にして戦う勇気、そしてとことん耐え抜くパワーはなかなかないものだ。

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宿に戻ると看護師さんと雑誌の編集者の女性がまったりしていた。看護師さんは急遽休みが取れたのでやって来た。友達と休みを合わせて海外旅行に行くことは、仕事柄難しいらしい。そんなときにこのような宿があると、とても便利。即席で知り合いを作り、一人でご飯を食べなくても済む。キッチンも使えるので自分で簡単に作ることもできる。そして何より現地の情報が入るので、旅が十分に楽しめる。もし一人でひっそりしていたければ、そっと輪から外れればいい。

 

ここにはホーチミンでレストランを開業しようする若手経営者も泊まっていた。進出過程での出費はできるだけ避けたい、でも快適に過ごしたい、そして情報を得たい、そんなニーズにも応えているようだ。ダンスを教えながら世界一周を計画している若者は『費用は節約しなければならないが、時にはホッとしたい』とこの宿に連泊している。彼は各地にネットワークを持っており、ご縁があると、地元の子供たちにダンスを教えに行っている。

 

ベトナムGH11連泊の旅(7)ホーチミン 買い物ツアーに参加して

11月23日(日)

路地を抜けて朝食を

翌朝も6時台に起きた。N社長と一緒に温い風呂に浸かる。さすがに皆さんは疲れたのか、起きては来ない。2段ベッドでぐっすりとお休みだ。とは言っても社員旅行は今日一日しかないのだから、早々ゆっくりしてもいられない。8時前には皆起き出してくる。今日は他のお客さんもいるので、急に慌ただしくなる。

 

この宿には朝食はない。希望者は皆揃って買い出しに行くことになる。GHの前の道を行き、狭い狭い路地に入る。普通の観光客なら、ここで怯む。路地には生活感があり、住民が怪訝そうな顔で我々を見る。にこやかな笑顔でそれをやり過ごす。すると突然、市場が出現する。路地の市場、にしては、規模が大きい。お寺がそこにある。この寺に関連した行商の人々が売り始めた場所なのだろう。野菜やフルーツ、豆腐から日用品まで、様々な物が並んでおり、買い物客も多い。

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FIさんはそこでさっそくフルーツを買う。言葉が通じなくても買い物はできる。若者たちは写真を撮りまくる。そして路地を突き抜けると、そこにはバインミー屋さんがある。バインミーの専門店。日曜の朝だが、人が並んで買っている。チキンにするかポークにするか、具で悩んでいる人もいる。注文を受けてから作るので、全員が買い終わるには結構な時間が掛かる。

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それから今度はベトナムコーヒーを買いに行く。ベトナムの朝食の定番、バインミーとコーヒー、最強だ。何故か朝から日本語が聞こえた。日本語ツアーの呼び込みをする日本人の若者達、ワーキングホリデーみたいなものだろうか。親切に美味しい珈琲屋やレートの良い両替屋を教えてくれている。彼らのモチベーションは何だろうか。商売とは違う何かを感じさせる。両替屋を覗くとそこにアメリカ人がいた。ホーチミンに来て2年、その前は上海でコンサル業をしていたという。アメリカンも中国からアジアシフトか。ここでアメリカ人と中国語を話すとは思わなかった。

 

宿に戻り、バインミーを頬張る。そういえば昨日もバスの中で同じものを食べたのだが、何となく味が違う。こんな朝食はありだな。1階の共有スペースが広い、というのは何とも有難いし、そしてこの宿の必要条件になっている。FIさんはさっき買ったフルーツを早速切って皆に振る舞う。何ともお姉さん的な所作が良い。

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買い物ツアー

編集者のOさんがやって来た。Oさんも東京オフィスのメンバーだが、現在はホーチミンベースで色々と活動している。今日はOさんが案内するホーチミン買い物ツアーに出掛けた。当然女子の期待度は高い。オジサンも付いていくべきか悩んだが、女子の観光傾向調査と称して参加した。

 

まずは宿から歩いて10分のベンダイン市場へ向かう。この市場はちょうど100年前に創設されたが、その後の戦乱で焼失、1950年に改修されたとある。中は小さな個人商店がものすごい数、軒を並べている。アジアによくあるマーケットだ。結構蒸し暑い。皆思い思いに買い物で出た。私はTシャツでも買おうと数軒見るが、なかなか価格が折り合わない。中国の価格で交渉すると売ってくれない。当然輸送費などが入り、中国より高くなるということだろう。

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店員は日本語で話しかけてくる。そしてやや強引だ。洗濯するのも面倒なので2枚ばかり買ってみたが、やはり価格には納得がいかない。それでも売り手も、私にかなり値切られたという思いがあるらしく、納得いかない表情だった。日本人は値切るといってもタカが知れているのだろう。買い物にはすぐに飽きてしまう。ジューススタンドにN社長がぽつりと座っていたので、そこへ避難してジュースを飲む。冷たいマンゴジュース、暑い時に飲むと美味い。

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時間通りに集合する、さすが日本人。市場から歩き始めると、すぐにおしゃれない雑貨屋が目に入る。Oさんの予定にはなかったようだが、女子たちはお構いなく、店に突入し、物色を始める。この辺は実にたくましい。それにしてもこの辺り、既におしゃれな店が沢山並んでいる。雑貨と言っても器もあれば、服や布もある。これは見ていて飽きないだろう。

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更にもっとデザインを重視したお店にも入る。こうなると、逆に無印良品あたりに来た感じで、ちょっとベトナム感が乏しいと思ってしまう。値段も当然高い。それでも皆さん器用に安くていい物を探してくる。私にはできない技だ。更に歩いて行くとパン屋がある。きれいな店構えだが、どこかで見た覚えがある。そうか、これはプノンペンにもあった韓国系ベーカリーだ。さすがに韓国色を全く出さずに、如何にもフランスのパン屋、と言った雰囲気で商売している。この辺が韓国の強みだろうか。

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気が付くとFIさんとFさんが道端にしゃがみ込んでいた。何を見ているのかと思いきや、お爺さんが笛を売っていた。二人とも手に取って吹き始めている。細い縦笛だが、何となく哀愁を感じる。一本5000ドン、と言っていたから日本円で25円?この笛、一日何本売れるのだろうか?お爺さんは生活できるのだろうか、などと余計なことを考えてしまう。周囲に人が集まり始めた。珍しいのだろう。

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ベトナムGH11連泊の旅(6)ホーチミン ゲームセンターのようなカジノへ行く

カジノとマジェステックホテル

夕食後、各人の嗜好に合わせて自由行動となる。半分以上はお洒落なバーへ向かった。私はFIさんとN社長が行くカジノへ着いて行くことにした。案内役はNさん。10年以上ホーチミンに住んでいるNさんでもカジノに行くのは初めてだそうだ。レストランから歩いて10分ほどで、市内中心部へ出た。この辺りのライトアップはきれいだ。

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一軒のホテルの前へ来る。ここにカジノがある。エレベーターで4階へ行くと、ボーイが恭しく迎える。ただカジノと言ってもマカオのような広さではなく、ちょっとしたゲームセンターのようだった。面白いのは外国人しか入れないようで、ベトナムドンを米ドルに両替して米ドルでプレーする。お客は日本人や韓国人がいたが、その数は少ない。中にはあまりカジノとは縁がなさそうな人までソファーに座って居る。深夜便でどこかへ出発する観光客がここで時間調整をするらしい。確かにちょっとした食べ物があり、飲み物もあるので、便利だ。

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何故私たちがカジノへ来たのか。それはFIさんがカジノ好き、いや一つの仕事がカジノだからである。彼女の本業は企画編集だが、同時にカジノのプロ。ラスベガスは勿論、マカオ、シンガポール、ソウルなど各地のカジノに行っている。3月に台北で会った時の第一声が『初めてカジノのない国に来た』というので驚いた記憶がある。専門はブラックジャック、ギャンブルは確率論なのでかなりの確率で勝てると聞き、その手法を勉強した。

 

このカジノ、機械化が進んでおり、まるでゲームをしているようだ。ディラーというよりスタッフとFIさんが向き合い、そしてお互いに下を向いて、機械を操作する。あの賭場、と言ったイメージは丸でなく拍子抜けだ。どうやら社会主義国?ベトナムでは外貨獲得のためにカジノは許すが、射幸心を煽ってはいけない、単にゲームしているだけ、という感じでやらないといけないらしい。

 

肝心の勝負だが、確かにFIさんの確率論を使った手法で勝ったり負けたりを繰り返したが、最終的には80ドルを投入して120ドルになっていた。ここでスパッと終了。『1.5倍になったら止める』というポリシーらしい。この辺鮮やか。N社長はルーレットに興じていたが、一向に成果は上がらない。そこでFIさんが簡単に指導したところ、みるみる勝つ確率が上がって来た。ただ最終的には、非常に低い確率で負けるところに当たってしまい、惨敗。それでも、『カジノは数字』という意味が少しわかって来た。もし機会があればちょっとチャレンジしてもいかもしれない。

 

このカジノは活気がなく詰まらないということで、もう一つ、大きなホテルのカジノへも行ってみた。ここは中国人観光客もいて、人が多かったが、その分、何かをするのにも、面倒だった。そして中国人自身も決して楽しそうではなかった。FIさんはちょっと試して見て、すぐに止めた。私も一周回ってみて、満足した。Nさんが『ベトナム北部に1か所だけ、中国人の熱気がはらむカジノが存在する』と言っていたが、とにかくここでは巨大ゲームセンターなので、疲れる。

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カジノを出て気分転換に街を歩く。するとそこにマジェスティクホテルが見えてきた。ここのルーフトップバーには6年前にホーチミンに来た時、一度来ていた。沢木耕太郎が泊まり、ここで思いに耽ったと読んだからだ。N社長も私より年長者なので、ベトナム戦争時に各国特派員が集ったこのバーを気に入っていた。

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ホテルはクラシカルだが、年々きれいになってきている。昔は数十ドルで泊まれたが、今は200ドルぐらいするかもしれない。クラシックなエレベーターに乗り込み、上階へ行ってみたが、レストランには人影はない。ボーイが『屋上は濡れているから止めたほうが良い』というのを振り切って、階段を上がり、ルーフトップへ。確かに椅子はちょっと濡れていたが、気にならないほど、そこから見る夜景には独特のものがあった。

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前回もオーダーしたカクテル、ミスサイゴンを頼み、しばし暗闇の河を見つめる。風は心地よく吹いてくる。初めてのFIさんは『こんなところがあるんだ』と感心していたが、昔はお客が一杯いたのにな、と少し寂しい。きれいなホテルが沢山出来て、カジノまで出来て、このホテルのバーで物思いに耽る観光客などいなくなってしまったのだろうか。確かに周囲のホテルも改装が相次ぎ、昔の良さが失われていく感じがしている。でもそれは私の感想であり、新しく来る人々には、新鮮でよいのかもしれない。それが発展、ということなのだろうか。

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一杯飲んで退散した。帰りはタクシーを捕まえて宿に戻る。まだ他の組は帰ってきていない。若者は夜のサイゴンを楽しんでいるようだ。我々はそれから風呂に入った。何と言ってもサイゴンの発展はこの風呂なのである。一日の疲れが癒される。その後すぐに寝入ってしまう。夢は見なかった。

ベトナムGH11連泊の旅(5)ホーチミン アクシデントと豪華ディナー

事件発生

村上春樹の小説の話などしている時、突然携帯が鳴った。Hさんからだったが、『氷を持ってすぐに来てくれ』というSOSだった。一体どんな事態が起こったのだろうか。Hさんに何かアクシデントか?ベトナム人の彼女が直ぐに氷を分けてもらい出発。最初は歩いて行こうとしたが、とても無理との判断からバイクの後ろに乗って行った。

 

しかしその後の状況が全くつかめない。ちょっと困ったことになった。その内に誰かがやって来て何か言っているがよく分からない。海外での危機管理とはこのような場面で出てくるのだろう。結局30分ほどして、Kさんが戻って来た。Kさんの息子、S太君が自転車の後ろに乗っていて足を挟まれたらしい。痛みで泣いているというので、大事を取って、すぐにホーチミンの病院にタクシーで運ぶという。皆彼の無事を祈るしかなかった。結果的にはそれほどの怪我ではなかったようだが、それでもその後1週間以上歩けなかったらしい。知らない土地で急に何かが起これば5歳のS太君、ビックリしただろう。

 

更には電話を掛けてきたHさんは自転車で見えない道を突っ込み、軽い負傷。あれ、この自転車散歩はサバイバルレースだったのだろうか。Hさんが電話してきた時に、自転車が突っ込んでしまった、と言っていた意味がようやく分かる。2つの出来事が同時に話されたので、こちらが混乱したようだ。

 

ランチには豪華な魚料理が出た。象耳魚(カー・タイ・トゥオン)というらしい。カリカリに揚げられた象耳魚、これをライスペーパーで巻いて食べる。予想外の美味しさ。そして象耳魚も突っ込んで、鍋を皆でつつく。が、先ほどの出来事の衝撃により、粛々と食べる。私などは現場に立ち会っていないので、何もわらかないのだが、他のメンバーはS太君をかなり心配していた。

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食事が終わると、午後またボートに乗る。Kさん一家と、ベトナム人学生がいなくなってしまったので、船内は広々としていた。何となく寂しい。S太君に関しては、その後刻々と情報が携帯に入り、ホーチミンと病院で治療を受け、重症ではないと診断されたようで、安堵した。

 

そしてメコンクルーズのクライマックス、小舟に乗り替え、細い運河を行く。3人ずつ乗り込み、船頭の女性が櫓を漕いでいく。何とも風情があり、皆夢中でカメラを向けた。私は前回ミトーでこれを経験していたが、あの時よりは運河が広い。ミトーは本当にジャングルクルーズだったが、こちらは岸辺に民家があったりする。

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急に雨が降りだした。まだ雨季は終わっていないのだろうか?我が船では船頭さんにビニールのカッパや傘などの用意があり、何とか雨を凌ぐことができたが、他の船ではずぶ濡れになった人もいた。まあ寒い訳でもないので、楽しい思い出、ということかな。それにしてもいきなりスコールが来ると恐ろしい。

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そして雨が止んだ頃、小舟は運河を突き抜けた。そこにはちゃんとボートが待っており、再び乗り込んだ。ガイド君が笑いながら出迎えてくれた。そしてボートは元来た岸に戻り、楽しいクルーズは終わった。ちょっとハプニングもあったが、それもこの社員旅行の良き思い出になっただろう。あとで聞くと、若い女子たちは『このクルーズがめっちゃ楽しかった』と言っていたのが印象的。

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豪華ディナー

そしてバスは来た道を走り、市内の渋滞もなく、宿に帰り着いた。このGHは疲れて戻ってきても何とも落ち着く。中には早々に風呂に入った宿泊客も居たようだ。皆寛いで過ごす。そしてNさんのアレンジでディナーへ。タクシー2台に分乗して、とてもきれいなレストランへ着いた。

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中庭もあり、凄く雰囲気の良いレストラン。我々、団体さんは特等席ということで、ガラス張りの個室に案内される。私も含め、いつもは一人旅が多いメンバーからは『偶には大勢でレストランに来るのもいいね』などとの声も聞かれる。しかもこのレストランの食事、どれをとっても美味しい。

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生春巻き、私はベトナムを歩いていて、なかなかこれに出会わなかった。だからベトナムのような暑いところで生春巻きなんて、あまり食べない物、と思い込み、日本人が日本のベトナム料理屋で食べる物と認定していたのだが、ここで出てきた物は中身がジューシーで、独特だった。

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鶏のから揚げのような物に塩を付けて食べたが、これもイケた。サラダも上品。そしてここの炊き込みご飯は絶品だった。皆が競ってお代わりした。デザートのプリンまで、あまりの上品で驚いた。いつも安い物しか食べていないと、一方方向しか分からないな、と実感した。雰囲気もよく、食事も美味い、N社長にも感謝。

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