台湾南部ぶらり茶旅2015(14)鹿野 気持ち良い自転車散歩

おばさんたちはここが気にいってしまい、次々に出されるお茶に釣られて、帰らずにいた。仕方がないので、『紅烏龍とはなにか』という質問を始めると、おばさんたちもそれに食いつき、色々と言い始める。廖さんはまた、私に本を差し出す。そこには紅烏龍について書かれていた。

 

それによると、1957年に廖さんの義父である李紅甲氏が苗栗から鹿野へ移住して、高台にアッサム種の茶樹を植え始める。だが紅茶の輸出は競争力低下で難しくなり、茶樹は放置されて行った。80年代に家業を受け継いだ廖さんが茶業改良場の支援の下、その茶葉を使って、新種の紅烏龍を開発したとある。紅烏龍はそんなに昔から作られていたのか。『阿公茶(自然農法管理)』と表に表示があったのは、廖さんの義父のお茶、ということなのだろうか?

 

かなり長い間、座って本を眺めていたので、腰が痛くなる。気分転換に外へ出て、茶畑を見に行く。この茶畑、平地に植えられているが、何とも言っても、その茶樹の種類が多い。畝ごとに違う種類、まるで試験場のような多さで、アッサムもあれば、在来種もあり、紅茶品種もあれば、烏龍茶用もあるという具合。かなり広々とした茶畑で整然とした植えられ方である。

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フラフラして戻ってくると、何と廖さんが弁当を用意していてくれた。昨晩も食べるところがなくて困った。今日の昼もどうしたものかと思っていたのだが、これは何とも有難い。しかもこの弁当、実にうまい。鶏肉、野菜は新鮮だし、魚の味付けもよい。こんな弁当が売っていれば食事の苦労はないのだが、恐らくは知り合いの家に頼んでいるのだろう。そういう家は看板など出してはいない。内輪商売だから、我々は入り込めない。しかし農家もだんだんと忙しくなり、自分でご飯を作らずに、弁当などを買うようになっているのだろうか。

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食べ終わると、廖さんと一緒に再度茶畑を歩いてみた。一々品種の説明などをしてくれたのだが、やはり種類が多過ぎて、写真を撮っても把握できなかった。『高山茶などと違って、ここでは色んなお茶を作り、工夫していなかないと生計を立てるのは難しい』ということらしい。茶業改良場とも連携して、開発していかなければ個人でン開発は難しいと思うのだが。

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自転車散歩

軽トラで送ってくれるという廖さんの親切を断って、自転車を漕ぎだした。道は複雑ではないので、迷子になる可能性はなく、今民宿に戻っても、特にやることはない。折角自転車があるのだから、その辺をぐるっと回ってみようと考えた。バナナ畑を通り、北へ向かう。そこにも茶畑があった。ここも相当に広い。そこを過ぎると、立派な建物が見えた。何と茶業改良場があるではないか。そうか、ここは改良場の茶畑だったのだ。明日又来よう。

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更に自転車を走らせると、茶摘みをやっていた。この暑い炎天下に茶摘みとは、どうなんだろうか。それもかなりの人数が出ている。こんな時間に茶摘みして、何を作るんだろうか?やはり紅茶だろうか。それにしてもこれだけ平らな場所なら、機械を入れて摘んだ方が効率的だと思うのだが。今や人件費が高騰している台湾で、手摘みで採算が取れるのなら、それはそれで素晴らしいが。

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暑いには暑いのだが、自転車で風に吹かれながら、村を回っていくのは気持ちが良かった。さすがに高台に行く勇気はなかったが、下はほぼ平らだから、サイクリングに適していると思う。日曜日のせいか、車は殆ど走っていない。少し汗をかいたが、まさにいい運動になる。自然も素晴らしい。一面の花畑の向こうに山が霞んでみえる。子供連れの観光客が車を停めて、それに見入っている。花には蝶々が停まり、周囲に甘い香りが風に吹かれて拡散していく。私もしばし、自転車を降りて、その香りを楽しみ、その風景を十分に味わった。

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村には古い建物がたくさん残っている。瓦屋根の家、木造住宅、日本時代からそのまま建っているような家もあった。人口はどう見ても多くはない。特に娯楽もないように見える。若者は都会に出てしまっているのだろう。観光客としては良いが、住人としては将来に懸念はあるだろう。

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夕飯2

明るいうちに今日の夕飯場所を探し始める。自転車でメインストリートを再度巡回したが、たった1つ、外れに看板が出ている食堂があり、満を持して夕方そこへ行ってみた。が、『今日は休み』と言われ、この辺に食べるところは他にないかと聞くと、あっさりとないと言われてしまう。昨晩は暗かったから見付からなかったのだ、と思い込んでいたが、実際にないのだ。

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