北限のお茶を訪ねて2015(2)新潟市内散策とB級グルメ

 

橋を渡って古町の方へ歩いていく。先ほどバスで通っており、何となく土地勘ができている。古い旅館などが見え、ここに泊まってみるのも面白かったな、などと思う。アーケードのある商店街を歩くが、残念ながら買い物客は少ない。なぜか古町演芸場という小型劇場が目を引く。今日も中では何かが演じられている。どんな歴史を持っているのだろうか、とても興味深い。その先を行くと、『タレかつ丼発祥の店』というのがあった。新潟独特には独特のかつ丼があるらしい。是非とも食べてみたかったが、今日は不幸にも定休日だった。

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この街には三越があった。駅近くには伊勢丹もある。新潟が日本海側でどのような位置づけにあるのか、よく分かる。かなり裕福な街だったに違いない。そして現在地方のデパートは撤退が相次いでいるが、いまだにそのまま残っているということは、それなりの売り上が確保されているか、何かよほど強い力が働いていることになる。その力はどこから来るのだろうか。

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更に行くと白山神社に出る。非常に由緒正しい神社。いきなり戊辰戦争で銃弾が当たったという松の木が見えた。新潟の戊辰戦争といえば、越後長岡の河合継之助が有名だが、この辺りでも戦闘があったことに少し驚く。その先を行くと、きれいな庭と池が見える。燕喜館という建物が目に入ってくる。明治の豪商の邸宅の一部を移築したようだ。見学しようと周囲を回ると、入り口は神社の敷地の外にあった。正面の門を潜り、入ろうとすると、玄関で一生懸命に三脚を整えて撮影している女性がいたので、遠慮して、神社本殿の方へ出る。

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立派な本殿ではお祈りする人々が多い。七五三という文字が見える。もうすぐそのような時期だな。初詣などでもきっと多くの人が訪れるのだろう。もう一度燕喜館の付近に戻ると、遊神亭という名の茶室がひっそりとある。その横には茶筅の碑が建っている。以前富山でも見たことがあるが、茶筅を供養するのだろうか。それなら茶碗はどうなるのだろうか。

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神社の横にはこれまた立派な公園がある。楠木正隆という初代新潟県令の像が置かれている。随分と新潟の為に尽くしたようで、その功績が称えられている。ちょうど大河ドラマ『花燃ゆ』では楫取素彦が群馬県令として活躍しているが、楠木もそんな存在だったのかもしれない。明治天皇が明治11年に巡行した際の碑も残っている。この公園は緑が深く、池も素晴らしい。

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その隣には新潟県議会旧議事堂がある。すごく立派な建物がバスから見えたので、気になっていた場所。入場は午後4時までで既に過ぎていたが、心よく中へ入れてくれた。このがっしりした建物、ちょっとしたところに西洋風を取り入れ、擬洋風建築と呼ばれるものらしい。1883年に建てられ、50年間議事堂として使われたという。その後の運命はどうだったのだろうか。

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1階は議会場や応接室、執務室などがあり、2階に登ると県の歴史が垣間見られた。新潟は港として栄え、明治維新では日本海側で唯一開港された港町。明治政府も新潟を重視していたはずだが、その後横浜や神戸などの発展を他所に、それほど注目されなくなってしまった。やはりロシアとの関係だろうか。ちょうど閉館作業をしに来た係員は喜ばしそうに『この時代の議事堂が残っているのは全国でもここだけ』と胸を張っていたが、新潟のその後についての話はなかった。

 

新潟のB級グルメ

またブラブラ歩き出す。台湾茶の店があったが、人がいないようだったのでスルーしてしまった。人情横丁と書かれた昭和を思い出させる小さい店が並ぶ一角もあった。続いて橋まで来ると近代的なホテルオークラ。陽が西に傾き、私もちょっと疲れてきた。駅の方に戻ると繁華街があり、伊勢丹もある。バスターミナルの2階に登ると、そこに『みかづき』というレストランがある。ファーストフード店のようだ。

 

ここが新潟のB級グルメ、イタリアン発祥の店だという。店内には55周年と書かれており、その歴史は古い。1つ330円と安い。もちもちした太麺はうどんのようにも見える。だがれっきとした焼きそばだという。もやし、キャベツと特製ウスターソースで炒め、粉チーズで味付けする。その焼きそばの上に特製のミートソース(トマトソース)をかけて、白生姜を添えている。

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これをプラスチックのフォークで食べると実にチープな感じがする。味は正直ちょっとぼやっとしており、お子様向き。おやつ感覚か。カレー味などもあるらしい。これが出来たきっかけは、町内運動会に出して好評だったというからよく分からない。店内は高校生などがチラホラ。敢えて大人が食べる物でもないような気がするが、ご当地グルメにも色々あるということだ。

 

それからまたブラブラして日が暮れた。先ほど気になっていたタレかつ丼を食べたいと探したが、なかなか見つからない。仕方なく駅まで戻ると、駅ナカ食堂のメニューにタレかつ丼があったので注文してみる。タレかつ丼は、揚げたての薄めのトンカツを“甘辛醤油ダレ”にくぐらせて、ご飯にのせただけのシンプルなものだった。ちょっと甘いタレに惹かれて、ご飯が進む。

 

ここでは普通のカツを切っていたが、発祥の地、とんかつ太郎では、一口サイズのかつが数枚、載っているらしい。だがどうして新潟でこのタレかつ丼が生まれたのか、そしてなぜ新潟市民に愛されたのかは良く分からない。『卵でとじないカツ丼』という言い方から、何か類推できるだろうか。この日は宿に帰り、ちょっと風邪気味のため、明日に備えて早めに寝る。

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