京都茶旅2015(8) 福寿園とおばんざい

4.京都2

福寿園

約束の時間より少し早く着いた。Hさんが『ちょっとお茶でも飲みましょう』という。これからお茶を飲みに行くというのに、なぜそうなるのだろうか。京都福寿園本店のビルのすぐ近くにある大丸の2階、茶房アドニス “福寿草”に連れて行かれる。ここはHさんの憩いの場、都市伝説としては『ここに来ればHさんに必ず会える』のだというほど、彼女のお気に入り。

 

Hさんの指定席、カウンターに座ると、すぐにウエルカムティーとして、水出し茶が出てくる。この茶房、福寿園のイメージを変える試みなのだろうか。勧められるままに、ほうじ茶ラテとケーキのセットを注文。ほうじ茶のラテ、意外やこれはなかなかイケル。日本茶は甘くしない、甘くないという概念を取り払っていてよい。平日の昼間、お客さんは女性ばかりだが、日本茶のイメージを変える、多彩なニーズに応える、という姿勢が感じられる。

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それから本店の地下一階へ。Hさんも一緒に行く。本店は各階で、茶の販売、喫茶、レストラン、展示場など、実に様々なお茶に関するスペースが設けられているお茶の百貨店だが、地下一階は『プロ仕様の設備で自分の好きなお茶が作れる』『お茶講座が開かれる』場としてある。日本茶インストラクター3名が常駐して、お茶のことを教えてくれ、色々なニーズに応えてくれる。

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前回はその中の一人、大学院で茶の歴史を研究しているHさんを訪ねたが、そこでチーフのIさんを紹介してもらった。2人とも日本茶の歴史の研究をしており、今回は主にIさんからお茶の歴史の話を聞くために立ち寄った訳である。ここでまた、江戸時代のお茶の歴史、日本の地方におけるお茶の飲み方の歴史、など様々な話が聞ける。併せて、限定品のほうじ茶を手に入れて、ご満悦で帰る。

 

おばんざい

次の約束は6時半にJR二条城駅。地下鉄で向かうが、福寿園での話が楽しすぎて、遅刻寸前となる。JRではなく、地下鉄を教えてもらって、よかった。何とか間に合う。今晩会うのは7-8年ぶりになるTさん。香港時代の10数年前、彼女はお茶を習っており、一緒にお茶会を開いた仲だ。その後彼女は実家のある京都に戻り、今は普通に働いているという。これまで何度か会おうとしたが、お互いの都合が合わず、今回実に久しぶりの遭遇となった。

 

彼女はこの近くに勤務しており、家との往復も自転車ということで、自転車を押しながら店に向かった。着いた場所は、住宅街の一角。『わらじ亭』、普通の人には分かり難い場所かもしれない。中は大きなカウンター席が並んでおり、レンコン・つくね、ベーコン・じゃがいも、おからコロッケ、ニラまんじゅう、など、実に美味しそうなおばんざいが並んでいた。もうそれだけで、どれにしようか、目移りしてしまう。

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そしてその美味しい食べ物を頬張っていると、カウンターの向こうから奥さんが話し掛けてくる。Tさんのお母さんの知り合いだというのだ。京都で育ったというが、実に世界各地に良く出かけており、中国などのアジアだけではなく、アフリカやヨーロッパにも詳しく、色々な国の事情に明るかった。これには正直かなり驚く。こんなところで、こんな話、という感じの会話が続き、お酒も飲んでいないのに、大いに楽しむ。常連さんが店と会話している。格式のある京都、とは全く別の世界を味わい、その奥深さを知る。これは本当に面白い。

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Tさんに京都のB級グルメとして、にしんそばを食べた話をすると、『ネギ焼の方がそれらしい』という。帰りに、ちょっと寄り道して、ネギ焼の美味しい店を紹介してもらった。さすがにお腹が一杯で、食べることは出来なかったが、次回は是非そこへ行って味わってみたい。バス停まで送ってもらい、また金閣寺へ帰っていった。バス路線さえわかれば、京都は意外と便利な場所である。

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10月7日(水)

フレンチとお茶話

翌日は朝ゆっくりと過ごした。Iさんの茶房も今日は週に一度のお休み。色々とやることがあるであろうに、今日は一日私の京都見物に付き合ってくれるという。そこで京都で紅茶や中国茶などを長く商っているお茶屋さん、Mさんを紹介しようと思い、ランチを企画した。待ち合わせ場所は京都市役所前、金閣寺からバスで向かうと、意外と直ぐに着いてしまう。

 

バスを降りると、そこには桂小五郎の像が見えた。ここはどこだろうと見ると、ホテルオークラ、江戸時代は長州藩邸があったところらしい。ということは幕末の動乱期、ここは尊王攘夷派のアジトと化し、多数の志士が出入りしていた。禁門の変でこの藩邸は焼き払われ、長州は都落ちした。この戦闘によって、京都の町もかなり焼失したという。京都市役所の建物も、まじまじと見たのは初めてだが、立派な建物だった。まるで博物館のようだ。

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