ミャンマー紀行2005(8)ティボー 熱いシャワーと停電

4.ティボー

(1)熱いシャワー

ホテルはミスター・チャールズ・ゲストハウス。庭にはテーブルが出ていて、西洋人がビールを飲みながら談笑していた。とてもミャンマーとは思えない。この小さな街に何故こんな洒落たホテルがあるのか??TAMによれば、ここティボーには外国人が泊れるホテルは2つしかない。その内条件の良いこのホテルを選んだと言う。オーナーは海外経験もある。フロントに行くと女性から『ウエルカム』と英語で言われる。この片田舎では結構驚きの対応である。

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部屋に案内されると清潔で快適そう。満足。案内してくれた男性が『お湯も出ますよ』と流暢な英語で言ってくれるので、嬉しくなる。何しろ12時間も車に乗ってクタクタである。早くシャワーを浴びたい所だ。早々にシャワーの栓をひねる。ところが・・?何時まで経ってもぬるい水しか出ない。仕方なくさっきの男性を呼びにフロントへ。彼は『おかしいな』と言いながら部屋へ。そして『これはお湯ですよ』と言う。えー、冗談でしょう?押し問答が繰り返される。

 

その内彼が『ではお湯を持ってきてあげましょう』と言う。どこにお湯があるんだ?自分でその場所に行ったほうが早いと言うと彼は案内してくれた。そこは裏庭。コンクリートの建物の中にはシャワーがある。『これは家族用ですよ。でも風呂好き日本人のあなたに特別開放しますよ』と親切に言う。

 

有り難い。熱いお湯が沢山出ている。今までのもやもやが吹っ切れる。服を置く所がなくてTシャツが濡れたが、気にならない。人間疲れたときには熱いシャワーに限る、これは人生の鉄則に加えられるかもしれない。シャワーから出て部屋に戻る時、ホテルの従業員、いや家族が居間で皆でテレビを見ていた。怪訝そうな顔をしていたが、挨拶すると笑顔になった。いい人たちが、外国人のためにホテルを作ってくれたんだ、とその時は思ったのだが・・?

 

(2)ティボーの夕食

既に午後8時。夕食に出掛ける。街は小さくメインストリートらしき所に直ぐ到着。両側にレストランが並ぶ。が、みなこじんまりした食堂。TAMが串焼きを食べようと言う。店先で焼いている。日本で言えばうなぎ屋のように見える。食べたい物を選んで焼いてもらうのだ。

 

勿論店はオープン。少し涼しい風が吹き抜ける。見ると普通の鶏肉や豚肉、魚もあるが、何だか分からない肉もある。野菜もしいたけやねぎもあるが、オクラもある。オクラの串焼き?オクラの串焼きは美味かった。鶉の卵も絶品。完全な炭火焼。スープは塩気が強い。よく分からない臭気が強い食べ物も出てきたが、食べられない。何しろ暗くてよく見えない。まるで闇鍋状態だ。

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TAMがお酒を飲みましょうと言う。珍しい話であり、受けることにする。ラベルのはがれたビール瓶が出て来る。グラスに注いで飲むと、何と『甘酒』である。子供の頃にひな祭りかなんかで飲んだ、あの懐かしい味がする。やはりここは昔の日本なのである。更に食後TAMが出して来た物を貰ってビックリ。口に入れると、何と仁丹である。よく食後に舐めているらしい。

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店の中の方を覗き込む。丸い七輪で焼いている。これも日本である。ネコが横で丸くなっている。退けようとしても動かない。猫はコタツで丸くなる日本と変わりがない。車の中で疲れを見せていたSSも元気になり、ネコをかまっている。薄暗い光の中、何となく暖かい。

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店を出ると歌声が聞こえる。他の店では酔ったおじさんが大声を張り上げていた。カラオケなどもなく、どんな歌かも分からないが、懐かしい気分になる。道の角まで来るとしゃがみ込んで七輪に何かを載せている人がいる。近づいてよく見ると、それは煎餅であった。海苔を巻いているものもある。いやー、これこそ日本の源流。本当に明かりのない中、内輪をパタパタさせて七輪に向かう男性は私の分身ではなかろうか?

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(3)しかしホテルは

そして歩いてホテルに戻る。空を見上げると綺麗な星がシャワーのように降ってくる。こんな星空は見たことがない。やはり乾季に見る星は素晴らしい。実にクリアー。そしてホテルの前に来ると唖然??ホテルは真っ暗であった。TAMは予期していたかのように、ドアを叩く。中から女性が出てきて何かを手渡す。蝋燭である。太い蝋燭を手渡される。部屋は別棟になっているので真っ暗な廊下を歩いて行く。停電なのだろうか?

 

思い出したのは充電。既に完全に切れている。部屋に入ったが、全く電気が来ていない。仕方がないので蝋燭をテーブルの上の蝋燭立てに立てる。赤々とした蝋燭の火を見て、何だかどっと疲れてしまった。そのまま寝入り、気が付くと何と朝になっていた。初めて蝋燭の炎に包まれて寝た。

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