ミャンマー紀行2005(6)南シャンから北シャンへ

(6)電気

朝から写真を取り捲った。暗い内はフラッシュも随分使った。気が付くとデジカメの電池が切れ掛かっている。これはマズイ。今日はメイミョーまで車で行くのである。着くのは夜になるという。電池がなければ写真が撮れない。しかし出発の時間は迫っていた。慌てて部屋の電源に差し込むが反応しない。停電なのである。万事休すか??下に降りてTAMに事情を話すとホテルの人と相談してくれる。そしていきなりおじさんがこっちに来いと合図する。着いて行くとそこはホテルの建物の横。塀の向こうにはさっきの少数民族の人々が野菜を売っているのである。

 

何とおじさんは建物の横の地面すれすれの場所の扉を開ける。そこは半地下になっており、中には自家発電装置が備えられていた。かなり暗い所へ入り込むと充電を始める。正直言っておじさんと二人、こんな所に蹲って朝を過ごすとは??外を見ると塀の向こうから人々が何事かと覗き込んでいる。

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TAMも心配そうにやって来た。時間が無いと言う。残念ながら15分ほどで充電を打ち切る。どうなることやら??しかしこのホテルの親切には感動した。外国人ということはあったと思うが、機敏な対応には感謝したい。しかしTAMは何故そんなに急ぐのか??これから何が待っているのか??

3.ティボーへ

(1)ビンダヤから

充電は中途半端であったが、何とかなるだろう。車は出発した。7時15分。今日は一体どこへ行くのだろうか??聞いてビックリ。何と北シャンのティボーまで行くという。エー??車で12時間は掛るというのだ。何故ティボー?さすがに驚いたが名ガイドTAMに従うしかない。

 

ビンダヤの街から山を越える。眼下に湖が霧の合間に少し見える。下界の神々しい朝日とはまた違い、なかなか幻想的な風景。遠くに山がいくつも見える。山に囲まれた盆地、それがビンダヤであった。あの山の中に茶畑があり、茶農家があり、そして子供達が走っている。風が霧を押しのけて一瞬山がきれいに光った。

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実はこの旅には予備のデジカメを持ってきていた。これをSSに貸してみた。喜んで写真を取り捲るSS。何か面白い写真が取れそうである。今もTAMと二人、写真を撮り合っている。ミャンマーの大自然の中で、デジカメを使うミャンマー人、何となく不思議ではあるが、これが21世紀の姿か。

 

平地に出る。ユアンサン平原というらしい。確かに遥か向こうまで見渡せる平原である。畑には少しの作物もなく、山には僅かな木もない。ただただ広いだけ。その中を時折並木あり、一本道を行く。真っ直ぐに進む。暫く行くとマンダレーに向かう分かれ道に出た。最近出来たばかりの近道。以前よりはかなり速いらしいが、それでも4時間ぐらい掛るという。

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途中で車が止まる。オレンジなどこの辺で採れるフルーツが道端で売られている。TAMは何と生ジュースを注文していた。女性が一つずつオレンジを絞っていく。機械ではなく手で。時間が掛かるが美味しそうである。後からドイツ人女性を乗せた車も止まり、同じものを注文している。どうやら名物らしい。待つ間に周りを眺めると牛が放牧されている。実に長閑な光景。穏やかな朝日は暑さも感じない。爽やかなそよ風が吹き、手足が伸びる。幸せな気分になる。ジュースは本当にフレッシュでどろどろしていた。

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また車に乗る。少し行くとまた上り。山の中に入る。カーブがきつい。ぐるぐる回る。途中に小川があり、木の橋が架かっている。少し壊れており、渡るのは心配であったが、運転手は難なく越える。簡単に書いてしまったが、ここまで約4時間走っている。S氏からは『ミャンマーの旅行とは一日中車に乗って、宿に着き、翌日また一日車に乗るようなものだ』と聞いてはいたが、既にそれが目の前に起こっている。この先一体どうなるのか??このままこの風景が何時間も続くのであろうか??

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この山を越えるとシャン州境となる。平地は先程とは一変、緑もなく、木もない。ただの大地に禿山。まるで原始時代。『はじめ人間ギャートルズ』というアニメを突然思い出す。ああ、こんな所が大昔だったのだろうか??マンモスでも出てきそうだ。人影は全く見られない。

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木の陰からパゴダが見えた。州境である。検問がある。運転手が何か話している。私はパゴダとその前にある井戸に興味を持った。そして大胆にも車を降り、写真を撮る。SSはハラハラして見ていたようだ。何しろいちゃもんを付けようと思えばいくらでも出来る。外国人だからといって許されるかどうか??しかし私には何事にも思えない。車から降りて足を伸ばしたかった。

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以前もシャン州からマンダレーに入る時、見咎められた。シャンには中国系が多く、彼らはアヘンを扱っていることがある。私も怪しい中国系として声を掛けられたが、全く意味が分からなかった。TTMが慌てて『日本人』と告げると周りの皆が笑い出したことが思い出される。昼近くにチャウセーという街に入る。

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