ミャンマー紀行2005(3)ヘーホー空港の幸せのシャンヌードル

(5)シャン州へ

TTM家に戻る。ミャンマー茶を頂く。何だかんだで時が過ぎ、空港に行く時間となる。今回のお供はSS一人。実はシャン州に行くのが今回の目的。3回目であるし、行くなら自分ひとりでよいと考えていたが、S氏より『旅行会社社員としてSSを鍛えて欲しい』と要請されていた。

 

香港からTTMにメールを打った。いくら親しいといっても、またS氏の依頼とはいっても20歳の娘と二人で旅行させろというのは如何なものか?母親であるTTMに意見を聞いたのだ。案の定TTMからの返事はネガティブであった。しかしその理由は『SSは経験が浅すぎてガイドとしてあなたの旅行をサポートするのは難しい。乗り物酔いもするし、足手まといになるだけで、とても連れて行って欲しいとはいえない』という旅行会社的な回答であった。結局飛行機は二人で乗っていくが、シャン州の旅程全てにあのティンエーマー(以降TAM)が同行する、という条件でSSを同伴者とした。果たして結果はどうなるのだろうか?

 

さて、ヤンゴンの飛行場に到着するとTTMは不安なのか、何くれとなくSSに指示を出し、また自らも飛行場内まで入って来て世話を焼く。余程心配なのだろう。TTMと別れて、待合室まで入ると二人切りになる。さすがにSSは緊張気味。それは中年男と二人でいることの緊張ではなく、これから飛行機に乗るという恐怖であろう。前回は終始TTMに靠れて上空で耐えていたが、今回は頼れるものは自分しかいない。

 

今回は昨年開業したばかりのエアーバガンという航空会社に乗る。近年ミャンマーも遅蒔きながら空路の発達を見ている。これだけ人が動き始めているから当然ではあるが、国営ミャンマー航空の評判が余りに宜しくないこともあり、新規参入する航空会社が後をたたない。エアーバガンというぐらいだから、バガンを中心に運行しているはず。そうなるとヤンゴンなどに行くにも遅れる可能性がある。TTMはどうしてこんな会社を選んだのだろうか?? 飛行機は案の定遅れた。空港でひたすら待つのかと思ったが、数十分であっさり呼ばれてタラップへ。

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ジェットではないが機体は新しい。乗り心地も悪くない。そう思ってみているといきなり離陸だ。あのふわっとした感触は未だに慣れないが、それでも何回も乗ったので恐怖心は薄れてきた。しかしSSはそうは行かない。しっかりと目を閉じ、体を強張らせている。本当に可哀想だ。この飛行機はヘーホー直行のはずだったが、やはりマンダレーに先に向かった。これももう慣れたことであり、特に驚かないが、SSは再度恐怖を味わうことになった。添乗員への道は険しい。ヘーホーに着いた時には既にSSは死人のようにぐったりしていた。大丈夫だろうか??この先??

 

2.ビンダヤ

(1)シャンヌードル

3度目のヘーホー空港はやはりひっそりしていた。以前は2度とも雨季に来た為、特に観光客が少なかったらしい。しかし今日も空港で降りた客は多くない。その少ない団体などが次々通り過ぎる中、SSが私のパスポートを持って手続きをしてくれる。添乗員らしい行動である。外へ出るとTAMが心配そうに立っている。SSは走り寄って行く。やはり心配だったのだろう。嬉しそう。あの空港脇の涼やかな並木道は健在。大きく深呼吸すると全身が痺れる様な奇妙な感じ。

 

今回はどうあってもTAMの行動を阻止して、この並木道脇の食堂に入ろうと思っていた。それは最初にここを訪れた時、帰り際にTAMがご馳走してくれたシャンヌードルが忘れられなかったからだ。いつもは朝ごはんを食べない私が思わず2杯食べてしまった程の美味さ。目の前に車がやって来ても必ず主張しようと身構えていると、車は食堂脇に駐車してあるという。拍子抜け。あの並木道をゆっくり歩いて、あの食堂にヌードルを食べに行く幸せ。人間の本当の幸せとは何だろうか??『食べたい物を食べる為に歩いて行く気持ちの良い並木道を知っていること』ではないだろうか。

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食堂は1年半前と全く同じ。きれいとはいえないが趣のあるテーブル。注文するとあっと言う間に出て来るシャンヌードル。横には小皿に載った高菜漬け。きしめんのような麺の上にねぎと挽肉を載せたどんぶりがやってきた。スープはあっさりした鶏がらか。あっと言う間に来てあっと言う間に食べた。2分位だっただろうか。本当はもう一杯食べたかったが、何故か幸せは1杯目だけな様な気がして止める。ここまで来て、思い焦がれて、やっと来た幸せな瞬間、本当はそのプロセスで9割は終わっていたのだろう。

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(2)ビンダヤへ

車は晴れた日の午後、いつもの道を走り出す。やはり雨季に比べて乾季はからっとしていた。さすがに暑いが、不快感はない。車の窓を少し開けて風を呼び込むと気分が良い。畑に作物が実っている。農民は見えないので、お昼寝中であろうか。私も今度来る時はこの辺にホームスティでもしようか。

 

小一時間行くとこれも毎度通る分岐点に着く。今回もトイレ休憩。TAMはフルーツを載せた台車に近づき、アボガドとみかんを買った。何でアボガド??彼女は笑って答えない。この謎めいた所が彼女の魅力である??ボロボロのトラクターが穀物や玉ねぎを積んでゆっくりゆっくり進んでいく。相変わらずの時間経過である。店の中でミャンマー茶を飲む。ちょっと欠けた茶碗、何時からあるのか分からないポット。これもミャンマーらしい風景である。それから1時間ほど畑の中を車が走る。広い、どこまでも続く畑、所々に大きな木がある。一里塚というわけではないが、何百年もの間、目印として、また農夫の休み場所としてあの木はあるのだろう。

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ビンダヤは3回目であるが泊まるのは初めてである。先ずは今日の宿、ミピャザジ・ホテルに入る。特に豪華なホテルではなく、街のホテルといった感じ。いいところは湖畔に面しており、部屋の窓から湖が良く見える。ちょっと昼寝したい心境であるが、何故かTAMは直ぐに集合をかけた。しかし今回何故ビンダヤに来たのかが分からない。TTMにはシャン州の北側を訪れたいと言っていたのに。何か手違いがあったのだろうか??毎度の事ながら今回も予定も聞かずに旅を始めている。我々はどこへ行くのだろうか??

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