ミャンマー紀行2004(14)マンダレーヒルの夕陽

(3)アートギャラリー

TTMが行かなければならない所があると言う。又始まった、面白そうだ。良く分からないが行くことに。『ななえさんが居ます』誰?車は南に向かって延々と行く。一体何処に向かうのか?アートギャラリーである。そこでパガン在住の日本人が作品を展示しているとの事。又その建物は日本のNGOとミャンマー政府が建てた物。

ミャンマー 108m

 

途中大小の壷を作っている場所を通る。何軒もが軒を並べて大きな音を立てて壷を作っている。その時は気が付かなかったが、後で考えてみるとあれはミャンマーの坊さんが托鉢に行くときに持っている壷なのである。ミャンマーには一体何人の坊さんがいるのだろう。坊さんの数だけ壷が必要。小坊主には小さい壷が必要な為、色々な種類の壷を作っていた。ミャンマーでは壷作りは一大産業なのではないか?

 

40分はタップリ掛かった。マンダレーは広いなと言うとここはマンダレーではなく、アマラプラという別の街。なかなか立派な建物が見える。しかし人の居る気配が無い。漸く探し当てるとななえさんは既にパガンに帰っており、作品も無かった。残念。大きな建物の中に人が居た。そこには驚くべし、数十年前の自動機織機が数十台並んでいた。殆どが日本製。ミャンマー政府が国の機織技術を上げるため、これらの機械の導入を要請したらしい。今でも4時までは人が来て機を織っている。機械もここまで使われれば本望であろうか。しかし政府活動とはいっても現在はメンテもされているのかどうか?一部の善良な市民の手で守られているといった感じ。日本のODAが中国で批判されていたが、本当の協力は設備を入れた後にあるとつくづく思う。

ミャンマー 107m

 

(4)ウー・ペイン橋

160年前に作られた橋がある。チーク材を選び、タウンタマン湖を渡る為に1.2kmの橋を架けた。湖岸から見るとドミノ倒しのように綺麗に木製の橋が架けられている。橋には途中何箇所か休息所があり、乾季にはガンガン日に照らされる観光客を守っている。又干し上がった地面を見ることが出来るようだが、今は雨季。橋に到着すると多くの土産物屋が見える。西洋人の団体がバスで乗りつける。湖を見ると水位がかなり高い。こんな所を歩いて行くのか?大丈夫か?私は高所恐怖症、こういう所も苦手なのである。

ミャンマー 109m

 

橋の入り口に行くと、残念ながら通行止めである。もし橋から落ちたら溺れること必死である。160年前の橋、幾らメンテしているとは言えやはり危険なのだろう。西洋人が残念そうに写真を撮る。ウー・ペインは橋を作った時の市長だそうだ。アマラプラは1780年代以降2度都となった街であるが、1857年にミンドン王がマンダレーに遷都。その後大地震で街は崩壊。現在は小さな街になっていて、昔の面影は無い。

 

(5)マンダレーヒル

再びマンダレーに戻る。目指すはマンダレーヒル。時刻は6時。何故この時間かと言うとずばり夕日を見るためだ。マンダレーヒルはマンダレーの北の端にある小高い丘である。仏陀がこの丘に立ち、『2400年後にこの山の麗に偉大なる王朝が生まれるだろう』と予言したと伝えられる。(ミンドン王はこの伝説に合わせて都をマンダレーに遷都した)ミャンマー人は1時間ぐらい掛けて歩いて登る人が多い。我々は車で歩く人を追い抜いて直ぐに着く。非常に申し訳ない気分と有難みが無いなあという感覚。但し私が歩いたら夕日には間に合わない。

 

パゴダを登って行くと四方が見渡せる。絶景である。王宮が一望出来る場所、田園風景が広がる場所、列車が通って行く様子などが、楽しめる。TTMは座って瞑想を始める。SSと私は涼しい風が吹く場所を探し座り込む。本当に涼しい。隣には西洋人が若いミャンマー僧を囲み座り込む。疑問を次々にぶつけて行く。僧は英語できれいに応えて行く。爽やか。西洋人の好奇心は満たされたであろうか?

 

その横には日本人が2-3人ずつ3組。写真を取り捲り、ここには関係ない話題で盛り上がり、そして早く夕日が落ちないか、と仕切りに動き回る。西洋人が偉いとは言わない。彼らも単に好奇心を満たしているに過ぎない場合が多く、夜には忘れている可能性もある。しかし日本人のようにガイドの言葉もうわの空、深く考えずに納得したりするのはどうか?西洋人、恐らくヨーロッパ人の中には自分の感性で疑問を発し、理解していこうとする人、特に若者がいる。先にガイドブックでお勉強し大いに先入観を叩き込んでくる日本人(又は他国の人)は実際のその場所に行くことが目的となっている。真に文化を理解していこうと言う姿勢が無く、残念である。

 

夕日が落ち始める。すると突然のにわか雨。皆庇の下に逃げ込む。しかしかなりゆっくりとした動作である。雨を楽しむ人もいる。向こうでは雨に構わず、日が落ちて行く。そして雨が止み、愈々雄大な日の入りが・・?陽は何とあっさりと雲の中へ吸い込まれてしまった。厚い雲の中へ。期待して待っていた人々はガッカリした様子である。しかし私は違った。薄っすらと光が雲に反映され、何ともいえない良い感じである。大きな景色の中、こんな夕日も良いものである。

ミャンマー 115m

 

エヤワーデー川はかなり増水し、川ではなく湖のようだ。多くの木が水没し頭だけが見えている。家も水没しているのだろうか?これは自然災害というのだろうか。毎年この情景が繰り返されるのでは?20分ぐらいボーっとしたが、TTM、SSのことも考えて帰ることにした。

ミャンマー 117m

 

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